それこそが正道
臆することなく国王の前で真っ直ぐに立つレイラの姿は、まるで、
<神が作り出した芸術品>
のようでさえあった。
腰まで届くプラチナブロンドの髪はどこまでも滑らかで、それ自体が光を発しているかのごとくきらめき、どこにも破綻のない姿勢は、完璧なバランスで立っていることを物語っている。国王の前でそれができるだけでももう並大抵ではないのだ。大抵の者は緊張により無駄な力が入って姿勢が崩れるものである。
なのに彼女にはそれがまったくないのだ。
「むう……」
たおやかで、神々しいまでに美しい彼女のその姿に、国王までが息を呑んだ。
貴族や王族にさえ、これほどまでの気品と気高さを見せる者は滅多にいない。
そして、エギナとパティリエカだけでなく、シェイナも改めてレイラに見惚れ、自分が国王の前に引き出されていることさえ暫時忘れてしまう。
さらに、衆目が集まる中、レイラは、
「私めにデモニューマ討伐の任をお与えいただけますれば、必ずや陛下に栄光を献上いたしますことをお約束いたしましょう!」
実は必ずしも文言的には正確なそれではなかったものの、その場の雰囲気を優先した<演出>として、いささか大仰な言い回しをしたのだった。
だが、ロボットである彼女に<嘘>は吐けない。それを実現できる十分な可能性があればこその言葉でもあった。
この時のレイラの姿こそが、千の言葉よりも雄弁に彼女の<力>を物語っていると、その場にいた誰しもが納得した。それを察することができる者達の集まりだったのだ。
自身が目の当たりした現実に目を背けて妬みや嫉みを表に出し無駄に場を乱すような愚者はいなかったのである。
だからレイラも、
『大変に優秀な君主とそれを支える誠実な臣下によって成り立っている国なのですね』
と感心する。
しかしそれは、同時に、城壁の内側に住む者達のみを<守るべき国民>とし、城壁の外に集まっている者達は埒外とすることで<選択と集中>を徹底、限りあるリソースを十全に活かすことで成立しているものであることも彼女は察した。
『冷酷ではありますが、この国が持つリソースを考慮すれば、それこそが正道なのでしょうね。
けれど、私はロボットとして、城壁の外に暮らす方々を切り捨てることはできません。ならば、最大の戦果を得るための施策を練る必要があるでしょう。
エギナ様は、『魔王を倒す』とおっしゃっていました。それはつまり、デモニューマを統べる存在を示唆している。<魔王>を撃破することで大きく状況を変えうるということでしょうね』
レイラはそう考え、自身の最大のパフォーマンスにより最大の効果を得るために動き出したのだった。




