教師
「ようこそ。<学校>へ! レイラ様、パティリエカ様、シェイナ様!」
三人がまず訪れたのは、臣民及び<予備校>で優秀な成績を修めて進級してきた賤民の生徒が通う学舎だった。そこの生徒七十余名が、目をキラキラさせて出迎えてくれる。
その学舎は、元々は貴族の屋敷で空き家だった建物を改修したものだった。それなりに大きな建物だったので、まだ十分に余裕がある。
そして、憧れの三人を前にして興奮を抑えきれない子供達を指導してるのが、七人の<教師>だった。その教師の代表である女性が前に出て、
「皆様の来訪を、心より歓迎いたします」
丁寧に挨拶をする。
「あなたもすっかり慣れたみたいね。シズカ」
恭しく頭を下げる女性教師に、パティリエカは声を掛けた。
「それもこれも、パティリエカ様のご厚情の賜物」
さらに頭を下げる<シズカ>に、パティリエカは、
「あなたは、ベル・ルデニオーラの大恩人レイラ様を救ってくださった恩人なのですから、そこまで遜る必要はありませんよ」
と、少々呆れたように告げる。馬鹿丁寧なシズカの振る舞いに感じるものがあるようだ。するとシズカは、
「そうおっしゃっていただけるのは嬉しいんですが、さすがに王家の方に馴れ馴れしくするのは、生徒達に対して示しがつきませんから」
少し困ったように微笑みながら返した。
彼女の名前は、シズカ・フジワラ。隣国<帝政バルラシアム>領内でレイラに保護された生存者の一人で、今は<学校>の主任教師としての任に就いている女性だった。というのも、彼女には別に<目的>があり、その実現のためにも<学校>で必要な知識を身に付けてくれる人材を求めていたのである。それを自分で育てようということだ。
シズカの<目的>。それは、
『水力発電で電気を生み出す』
こと。そう。電気を必要としているレイラのために<水力発電所>を作ろうとしていて、そのための技術者を育てようとしているのだ。遠大ではあるものの、まったく一からすべてを作り出さなければいけないので、結局はそれが確実だと見られている。
そしてそんな彼女の後ろに控えていたのは、副主任教師の<ニューティ>。元々はパティリエカの屋敷の使用人の一人だったが、シェイナを指導した際の指導力を買われて、今はこうして教師の職に就いていた。
優しく丁寧な指導でありつつ確実に能力を伸ばすその手腕は、パティリエカからも絶大な信頼を得ている。教師としての能力だけなら、シズカ以上だろう。
そんなシズカやニューティをはじめとした七人の教師が、女子五十余名。男子二十余名の生徒達を指導しているのである。




