第38話「地獄の始まり」
【地獄の始まり】
朝だー!!
眠い・・・・・
昨日の部活で疲れていたせいで
熟睡した。
だから、美琴から鍵を奪い返してない。
これはピンチだ!!!
「流一、鍵はここだよ」
「美琴!!!」
俺が教室に入ると美琴が俺の部屋の鍵を
ヒラヒラさせていた。
「鍵返せ!!」
「やだよー」
美琴の奴、鍵を返さないつもりだ。
「無理矢理でも返してもらうからな」
「やってみたら?」
何か見下されてる感じがする・・・・
「りゅうー!!」
「幸平!!良いところに来た!!美琴から鍵を奪え!!」
「なんで?」
「俺の部屋の鍵が取られてるんだよ」
「美琴、加勢する!!」
「幸平ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
こ、幸平が美琴の味方になってしまった・・・・・
さらに鍵が奪いにくくなった・・・・・
「りゅーうちゃーん!!!」
「丈翔!!美琴から鍵を奪え!!」
「みーちゃん、俺は君の味方だよ」
「丈翔までぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
くそっ!!
丈翔まで加勢しやがって・・・・・
「お前らは朝から騒ぎすぎ・・・・・」
「工藤!!お前は俺の味方になってくれるか?」
「なんのことだ?」
「俺の部屋の鍵をアイツらから奪い返すんだ!!」
「う~ん、協力してもいいけど、俺も困ってることあるから・・・・」
「協力するよ!!」
「・・・・んじゃ、まずは丈翔からとっちめるか」
よしっ!!
工藤が味方になればこっちの勝ちだ!!
でも、工藤の困ってることってなんだろう?
変なことに巻きこまれないといいんだけど・・・・
「白川、俺は丈翔をやるからお前は幸平をやれ」
「俺も丈翔がいいんだけど・・・・」
「丈翔の方が弱いから楽して勝てる。だから、俺は丈翔をやる」
「俺だって、楽して勝ちたいよ!!!」
「お前が巻いた種だろうが!!」
「いいじゃんか!!」
工藤に楽させるために味方にしたんじゃない!!
俺が楽するために味方にしたんだ!!
「お前らうるさい!!」
「「しげちゃん!!」」
「今日はお早い登場だね」
「白川、それはどういう意味だ?」
「そのまんまの意味だよ」
「お前はそこまでして職員室に来たいのか?」
「嫌です!!」
まったく、職員室に行きたい奴なんて
この教室には一人もいないと思うけどな・・・・
「あっ、工藤。お前は保健室いけ」
「ッ!!!!!」
あれ?
工藤の顔色がだんだん青く・・・・
「白川、お前もついてくるよな?」
「えっ?」
「さっき、協力するって言ったもんな?」
「言ったけど・・・・・ッ!!!!」
工藤が俺を引きずって教室から出た。
ここまで頑張るってことは、相当、厄介ってことだ。
俺は、なんて失敗をしてしまったんだ・・・・
「お、俺の、俺の一生がかかってるんだ」
そ、そこまで酷いことを・・・・
「工藤、今度は何をしたんだ?」
「き、金曜日の、あ、朝、下駄箱の中に、て、手紙が入っていて・・・・・」
「それはまさか、ラブレターと、いうものでは?」
「そうなんだ・・・・・」
「そ、それで?」
「手紙に放課後、体育館裏で待ってるって書いてあったから・・・・」
「行ったのか?」
「あぁ。それで、断ろうと思ったんだけど、相手の子が俺の幼なじみで・・・・」
「それは、また、複雑だな」
「妹みたいな奴だからな。俺の弱点をしってるんだよ・・・・」
「厄介だな」
「それで、ふ、不覚にも、(キ、キスされたんだ・・・・)」
「ッ!!!!」
工藤は、言いにくそうに
小声で言った。
ってか、それってやばくないですか?
「工藤、もしかしてバレたりは?」
「・・・・・あはは・・・・・」
バレたのかよ!!
それって大ピンチじゃん!!
「それで、小澤から保健室に呼び出されたのか?」
「たぶん・・・・・」
「お、俺・・・・・」
「行きたくないって言ったら殺すよ」
「い、言いませんよ、そんなこと・・・・・」
く、工藤の奴、目がマジだったぞ。
言っていたら殺されてたのか・・・・・
い、行きたくない・・・・・
って、もう、着いてるし!!
なんだかんだ言ってるうちに保健室に着いちゃったよ!!
な、なんか保健室の扉の奥から黒いものを感じる・・・・
「地獄だ・・・・・」
俺と工藤は保健室に入った