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虐めに耐え兼ねて自殺した少女が復讐する話  作者: 徒然草


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5/5

第五話

 続きです。


「それじゃあ最後に、佐藤くんに復讐するよ。これで終わり…。」

 

「…っ、ま、まってくれ!!」


 武は顔を青褪めさせる。明宏みたいな、いやそれ以上に残酷な方法で殺されると思い恐怖する。


「待つ訳無いでしょう? 一番のメインなんだからさぁ…。」


 名子が呆れたように、そして楽しそうに武に失笑すると教室が、空間が歪んでいく。


「っ!? ……あれ?」


 教室が消えて現れたのは、武の部屋だった。


「…この部屋だけじゃないよ。私は佐藤くんの家を再現した。キッチンも玄関もトイレも…全部あるよ。服や置物、ゲームもね。」


「…!?」


 名子は得意気な様子で話す。武は恐ろしい目に遭うだろうと警戒していたのに、自分の家を再現されて驚いてしまう。それと同時に何か違和感を覚えた。


「電気も電波も通ってるからテレビも携帯も見れるよ。あと勿論水も使える。それと、食事は佐藤くんが食べたいと思った物が出てくるように設定してある。部屋が汚れても勝手に綺麗になるし、ゴミも消える。まさに魔法のお家でしょう?」


「…えっ!?」


 違和感が何かを考えていた武だが、名子の話に驚いてしまう。名子の話す内容は本当に魔法の家のようだ。だが武が驚いたのは家の話にではなく、好待遇ともいえるような仕組みが用意されている事だった。


「そして佐藤くんは年を取る事もなく、病気にかかる事もありません! 佐藤くんは不老になったんだよ、おめでとう!」


「…は?」


 だが笑顔でパチパチと拍手をする名子からの衝撃の発言に、武は不穏なモノを感じて固まる。


「でもね、残念ながら出来ない事もあるの。まず電話やメールは出来ない。そしてネットは見れるけど感想を送ったり自分でサイトを作ったり動画投稿は出来ないんだ。そして佐藤くん、まだ気が付かない?」


 名子が態とらしく首を傾げて武を見る。武がずっと感じている違和感の事を言っているのだろうと感じた武は困惑しつつも部屋を見渡す。


「………っ! 窓がない。」


 武は違和感の正体に気が付く。武の部屋にある筈の窓がなく、何もない壁となっていた。


「正解。そして、それは佐藤くんの部屋だけじゃないよ。この家に窓は存在しない。そして玄関の扉もね。ここまで言えば分かるでしょう? 何が出来ないのかをね…。」


「〜っ…。」


 武の顔が恐怖で引き攣った。


「これが佐藤くんへの復讐。永遠の牢獄刑…て感じかな? 佐藤くんは何があってもこの家からは出られない。誰にも逢えずに永遠に独りぼっちで過ごす事になる…いや、存在する事になるんだよ。」


「な…な、何だよ…それ…。」


 狼狽える武に、名子は冷たく微笑んだ。


「本当は佐藤くんに私と同じ経験をさせて、めった刺しにして痛めつけたりしたかった。ズタボロの状態にしてから此処に閉じ込めるつもりだったの。逆に柿原さんと田中くんは殺すだけで終わらせるつもりだったの。私と同じ経験をさせるつもりはなかったんだ。」


「なっ…!」


 武は名子からの本来の計画を聞いて驚く。


「でも柿原さんと田中くんの態度にムカついたから、思い知らせてやりたくなったの。その結果、2人に力を使っちゃって佐藤くんへの余力が無くなっちゃったんだ。まぁ、そのお陰で柿原さんの心からの謝罪を聞けたし、田中くんの情けない姿を見れたから悪くは無かったんだけどね。」


 仄暗い笑みを浮かべる名子の言葉を聞きながら、武は恐る恐る口を開いた。


「その…玲奈と明宏はどうなったんだ?」


 武の部屋が現れてから、玲奈と明宏の姿は見えなくなっていた。殺された2人がどうなったのか分からない…。


「2人の魂はあの世に行って生まれ変わるんだと思うよ。2人の死体はさっき学校の裏庭に置いておいた。その内ニュースで流れるんじゃないかな? 学校の裏庭で2人の生徒の死体発見! …そんな感じかな?」


「っ、…うぅっ、あぁ…玲奈…明宏…っ。」


 玲奈と明宏の最期が頭に浮かび、武は2人の死を実感して悲しむ。


「もう終わった2人の事を気に掛けている場合じゃないと思うけどなぁ。2人は死体とはいえ発見される。でも佐藤は此処から二度と出られないから行方不明になるんだよ。佐藤くんの両親はずっと佐藤くんを探し続けるんだろうね、可哀想に…ふふっ。」


「っ!?」


 楽しそうに笑う名子の言葉に、武をは絶句する。


「こんな碌でなしを育てたんだから罰は必要でしょう?」


「っ!? ま、待ってくれ! 父さんと母さんに会わせてくれ!!」


 自分を探して泣き叫ぶ両親の姿を想像した武は悲痛な顔をした。


「駄目に決まってるでしょう。これは復讐なんだから、徹底的に佐藤くんを苦しめてやらないと気が済まないの。」


「そ、そんな…頼むよ名子!」


「絶対に嫌。」


 楽しそうに武の苦しむ姿を見る名子に、武は絶望した。


「…さて、私はこれで力を使い果たしちゃったから、柿原さんと田中くんみたいに生まれ変わりにいかないと。」


「っ!?」


 名子の身体が透き通っていき、段々と消えていく。


「ま、待ってくれ名子っ!! ご、ごめんなさい、本当にごめんなさいぃっ!! 俺、お前の事が好きだったんだよ!! 心から反省してるっ!! 赦してくれっ! ここから出してくれぇっ!!」


 焦った武は土下座をして必死に謝罪する。額を床に何度も打ち付けて懇願する。


「巫山戯ないで、絶対に赦さない。」


「っ…な、名子。」


 冷たい声で、顔で、憎しみを込めて名子は武を睨みつける。


「やられた事を同じようにやり返す。復讐方法としては定番なネタだよね。でもさ、私は自分がやられた以上の苦しみを相手に与えたくなっちゃったんだ。だって可笑しいもの。私は何もしてないのに嫌がらせをされたのに、嫌がらせをした佐藤くんが同じ事をやり返されるだけなんて納得出来ないもの。」


 名子は意地悪な笑みを浮かべる。


「どうしたら佐藤くんを思いっきり苦しめてやれるか考えて、思い付いたのが永遠の牢獄刑だよ。私が経験した事がない、そして私以上に苦しむ筈の罰を味わってよ! ふふっ、あははははっ!! 私を好きだなんて理由で嫌がらせをしてこなければ、私がやめて欲しいといった時に聞いてくれてれば、こんな事にはならなかったのにね? ざまぁみろっ!!」


「ひっ…!」


「最期に1つアドバイスをしてあげる。佐藤くん、()()()()()()()()()()からね。」


 意味深に、強調するように名子がそう言った瞬間、名子は姿を消してしまった。


「…あ、ああ…そん、なぁっ…う、ぅう、…っ。」


 ただ1人、取り残された武はそのまま座り込んで涙を流す。暫く嘆き、悲しんでいた武は気を失うようにその場に倒れて気絶してしまった。


 本当に何でもありの設定です 笑 ニートにとってはご褒美かもしれない空間ですよね。でも終わりがなく、永遠に続くと思うと喜べないのではないでしょうか? 次で最後となります。


 ここまで読んで頂き有難うございました!

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