第一話
魔法要素ありのホラー小説です。
「…お、お願いだから…もう、放っておいてよ。わ、私に構わないで…。」
10歳の少女、鈴木 名子は怯え、声を震わせながら彼女の目の前にいる3人の同級生に懇願した。
「…聞こえねぇよ、もっとハッキリ言えって。」
不機嫌そうな少年、佐藤 武は顔を顰めながら名子を小馬鹿にしているかのような声で話す。
「ふふっ、名子ちゃんってば照れてるの?」
武の幼馴染の少女、柿原 玲奈は名子に微笑みながら名子をからかうように笑った。
「ぷっ、照れてるのは鈴木だけじゃなくて武もだろう?」
武の親友の少年、田中 明宏は武をからかうようにニヤつきながら肘で武をつつく。
「はぁ? 何訳わかんない事を言ってんだよっ!」
武は明宏を睨みつけて明宏から離れる。玲奈と明宏は不機嫌そうな武とは真逆に楽しそうに笑っている。
「っ……。」
3人のやり取りを名子は下唇を噛みながら無言で見つめ続けた…。
◆◇◆
「…ここは何処だ?」
武が気がついた時には、全く見覚えのない真っ白な空間の中に居た。床も天井も見えず、白い空間に自分が浮いているようにも見える非現実的な光景だった。
「な、なんだよこれ…夢、だよな。」
夢以外には説明がつかない状況だ。身体は自由に動かせるが、足が地に着いている感触がなくて前に進む事が出来ない。そして後ろにも下がれず上にも下にも行けない。武はただその場に居る事しか出来ない。
「佐藤くん。」
武以外は誰もいない筈だったのに、武の背後から聞き慣れた声がした。
「な、名子? …っ! 玲奈と明宏まで何で一緒に居るんだよ?!」
武が後ろを振り返ると名子が居た。さらに名子の数歩後ろに玲奈と明宏も居た。
「私が皆を集めたんだよ。」
「…は? 何を言ってるんだよ…。」
武はこの不思議な空間と名子の関係が理解出来ない。名子の言葉が信じられず、不審そうに眉を顰めた。
「別に信じてくれなくても良いよ。正直どっちでも良いし。」
「は? …な、なんだよ。名子の癖にそんな言い方すんなよっ!」
冷たい名子の言い方に、武は困惑しながらも顔を顰めて文句を言った。武の知っている名子はか弱くて弱々しく、冷淡な態度を取るような女の子ではない。
「やめて武! 名子ちゃんにそんな態度とっちゃダメよ!」
「っ、玲奈…?」
玲奈は武の態度を必死な様子で注意してきた。いつもは武の態度を仕方がないなぁ、といった様子で微笑ましそうにする筈の玲奈に、武は疑問を浮かべる。
「言い方に気をつけろ…。」
「明宏…?」
明宏も武の言葉を注意してきた。何時もなら、武をからかって笑ってくる筈だ。それなのに今は顔を顰めて武の事を睨んでいるようにも見えてしまう。
「ど、どうしたんだよお前等?」
名子だけじゃなく、玲奈と明宏の様子も可笑しいと思った武は何があったのかと説明を求めて問いかけた。
「「…。」」
玲奈と明宏は質問してきた武ではなく名子を見た。名子の様子を伺う…いや、名子に怯えているかのような眼差しだ。
「私が3人を呼んだ理由だけどね。」
名子は玲奈と明宏に振り返る事はなく、ただ冷たい目で武を見ている。
「復讐する為に呼んだんだよ。」
名子はそう言うと、意地悪そうなニヤリとした笑みを浮かべたのだった。
虐められた女の子が復讐する話を書きたくなって衝動的に書いてみました。まだこの第一話では残酷な描写も暴言もありませんでしたが、自殺や虐め、死の描写が苦手な方にはオススメ出来ない小説になると思います。それでも大丈夫でしたらお付き合い頂けると嬉しいです。
読んで下さり有難うございました!




