20:翌朝
「ん……?」
何だかいい感じの重さが左右にあるのが分かる。
そういえばかなりぶっ飛んだ夢を見たなー……エイルさんとやれたしリリスがいい感じでサポートしてくれたし、最高な夢だった。
……でもこれだけスッキリしているということは……も、もしかして打ち出してしまったか……?
そう思いながら腕を上げようとすれば何かが引っかかって動かなかった。
なんだと右腕の方を見ればエイルさんが全裸でぐっすりと眠っていた。
「……えっ」
さらに左腕の方を見ればリリスが同じように寝ていた。
この狭いベッドで三人が密着して川の字で寝ていることになるが……どういうことだ?
あれは夢だったはず。それなのにこうなっているのは……また夢とか?
……いや、たぶん……夢じゃない……よな。うん……確実に起きているのが分かる……んだよな。
えっ、あのハーレムが現実だったのか? 嘘だろ!? どんな徳を積んだんだよ俺は!?
「んぅ……おはようございます、優斗」
「えっ、はい、おはようございます。エイルさん」
「……エイル」
「えっ」
「エイルって、呼んで?」
ぐはっ! エイルさんの可愛らしいお願いが効く! やっぱり夢じゃなかった!
「……エイル、おはよう」
「はい、おはようございますっ」
エイルさん、じゃなくてエイルとやっている最中に雰囲気でため口で呼び捨てになった。
いや俺はあの時夢だと思っていたからな……そういう雰囲気だろうと思ってそうなってしまった。
「あの、優斗」
「は、はい」
「その、昨日はうやむやになったのですが……優斗と私は、その、お付き合いしているということでよろしいですか……?」
あっ……そういえば夢だと思っていきなりやったんだった。普通の女の子ならそんなことを言われたら冷めるだろうにエイルはそんなことはなく俺とリリスに付き合ってくれた。
今思ったらエイルからお慕いしていると聞いてからのやるかはひどすぎるだろ。まあその前に欲情している話になったからギリセーフか。
でもまあエイルに好きとか愛してるは言ったけど告白には答えていないからこうしてエイルに聞かれている。
「は、はい。その、俺と付き合ってください」
「はい……! 末永くよろしくお願いいたしますっ」
エイルは嬉しそうにしているが俺もめっちゃ嬉しい。
性格も容姿もいいから俺とは不釣り合いだろうが、まあエイルに見切りをつけられるまでは楽しんでおこう。
「おー……」
そんな声を出すのは一人しかいない。
リリスがこちらを見てすごく感動している様子だった。
「お、起きていたのか……」
「話し声で起きた。でもまあ……すごいものを見れた」
「何もすごいことなんて起きていないだろ」
「いやいや、普通に告白とかすごいでしょ」
「えっ」
告白がすごい……? な、なんだ、どういうことだ? サキュバスは何か違うのか?
「だって告白ってするものじゃないよ。体の相性が良ければそのまま結婚するだけじゃん」
……そういうことか。サキュバスとかそういう魔族は体を重ねてから続けば子供ができて結婚、みたいな感じなのか。
それなら告白がすごいことだと言うのは納得するか。
「……そのような文化は魔族でしか起こりえないことでしょう。私たち人は心でつながるものですから」
その話を聞いてエイルは俺の方を見てそう言ってきた。
めっちゃ恥ずかしいがここで目をそらしたらいけないと思ってエイルと見つめ合うことにする。
「まー、あたしもそういう文化は好きじゃないんだけど」
「そうなのですか?」
「だって、あたしの体を見て気持ち悪く興奮しているやつとセックスなんて嫌」
あー、なるほどね。リリスは本当に自身の体に欲情するやつがあまり好きではない様子だ。
だから昨日言っていた好みの匂いが他の女に欲情した精液なんてことになっているのか。
リリスもリリスで大変だな。
「……そうですか。リリスさんは本当に普通のサキュバスとは違うようですね」
「そういうこと。だからサキュバスの悪口は気にしないからー」
そもそもリリスのこの体質は女神フレイヤのせいなのか? それともリリスが持って生まれたものなのか。
まあそれを聞くのはよそう。こういう話題はリリスはあまり好きではなさそうだからな。
起きてから全裸のまま話していたが俺たち三人は体液でべとべとになっていたから順番にお風呂に入る。
エイルは俺と一緒に入ろうとしたり、リリスはこのままの匂いがいいと言い出したりとかしていたがそれを何とか説得して一人ずつシャワーを浴びてスッキリとした。
朝食の準備を俺がしている間、エイルがテレビをつけて朝の情報番組を見ているのをリリスが目撃した。
「えっ、なにこれ」
「テレビです。発信される様々な情報を見ることができる機械です」
おっ、異世界人が異世界人に地球の機械を説明しているという状況になっている。
「へー……どういうこと?」
まあそれだけでは意味が分からないよな。
「優斗がいた世界から送られてくる電波という情報を受け取るのがこのテレビです」
「うーんと、どういうこと?」
さらに情報を増やされたことで困惑するリリスはまあ面白い。
こういうリアクションは何回も見ても面白い。海外の人が日本のアニメを見てリアクションをしてくれる動画も好きだ。
まあとりあえずリリスに説明しないといけない。
「リリス。俺はこの世界とは別の世界からきている異世界人なんだ」
「まじ? ……あっ、そういえば異世界人が最近話題に上がっていたような気がするなー」
まじか。ということはあの時のメンツの誰かが話題に上がっているということか。
「魔族側で話題になっているのか?」
「さー? 異世界人がいるってのは知っているけど詳しい話はなんとも。もしかして優斗?」
「いやそれはない。俺は三十分ほどは異世界にいたがすぐにここに引きこもったからな。あるとすれば俺がこっちに来た時に他のメンバーもいたからそいつらだろう」
「へー、複数人でくるんだ」
「俺はいの一番にこの世界に来たから他のメンバーがどうなっているのかは知らないがな」
そもそも同じ世界からきているというだけの他人だからな。興味がないのは当然だ。
「それでその世界にはこういうのがあるんだ」
「あぁ。異世界にいても元の世界のテレビを見ることができるんだ」
「私が一番好きな家電です!」
「ふーん……」
そっけない態度だがテレビは気になっている様子のリリス。
エイルがテレビを見ている近くでリリスもテレビを見ている姿を見て、こんな状況になるもんだなと思いつつも俺は朝食を作る。
リリスはお腹が空いたと言っているからガッツリとしたものを作る。
俺もエイルも朝はエネルギー源としてしっかりと食べるようにしているから全く問題がないし、何なら運動をしたから余計にお腹が空いている感じがするからな。
☆
朝食を食べ終えて満足そうにしているリリス。
「優斗、買い物に付き合ってくれませんか?」
「あー、そういえば調味料とか少ないものがあったか。分かった」
エイルからそう提案されて俺は頷いた。
「買い物? ここから出て買い物をするのか?」
リリスから至極まっとうな質問がきた。だけど俺がここから出るなんてことをするわけがない。
「いや違う。この地下には俺が作ったショッピングモールがある。そこで足りないものをとっているんだ」
「ショッピングモールって?」
「色々なお店が並んでいる場所のことです。お洋服や日用品が売っているお店が並んでいますよ」
エイルは行ったことがあるからリリスにそう説明する。
「へー、なんか面白そうだから行ってもいい?」
「エイル、構わないか?」
俺に断る理由はないが一応エイルに確認をとる。それからエイルと呼び捨てにするのが慣れなくて困る。
「はい、優斗が良ければ私は構いませんよ」
「それじゃあ三人で行くか」




