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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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11:野菜

 少ししてエイルさんは二階から降りてくれば、やはり可愛いから何でも似合うなと思ってしまう。


「似合ってますよ」

「そ、そうでしょうか……?」


 もしかして男性からこう言われるのも初めてかもしれないな。


 ……はっ! こ、これは箱入り娘を口説いたら簡単にやれてしまう的な感じか!? そ、それならそれでかなり興奮してきたな。ネタができたな。


「はい、とても。それでは出ましょう」

「はい!」


 とは言えだ。


「昨日はあまり見ていませんでしたが……とても広大ですね」


 俺の家の周りにはかなりの畑が展開されている。


 スローライフと言えば田舎だから手当たり次第に作り上げた。


 ここは俺一人しかいないと思っていたから他に家を作る予定もなかったから見渡せば畑がある状態だ。


 ここに人が来ると分かっていればもう少しだけ手加減はしていた。


 ただまあ別にここは俺の思い通りになるチートな箱庭だ。見渡す限り畑でもすぐに家を建てることができる。


 でもなぁ、スローライフだからそこら辺の手間を楽しむということもあると思う。それに真面目なエイルさんだからそういう苦労を買ってでもしそうだ。


 ……エイルさんが知らないうちに遠くの方に資材用の森を用意しておくか。


「今空いている畑はあっちにありますけど、実っている作物もあります。どうしますか?」

「実っている作物を見てみたいです」

「それじゃあこっちですね」


 元の世界の作物でも口には合うようだが、異世界の作物は全く知らない。


 どういった品種になっているのかが少しだけ気になるところだ。


 俺が向かうところは俺が比較的に好きなトウモロコシ畑だ。


「あの、優斗様」

「はい」

「あれはどのような場所なのですか?」


 エイルさんが示したのはビニールハウスだった。


「あそこはビニールハウス。外と遮断して環境を操作することで別の季節でも作物を育てることができる場所です」

「そんなことが可能なのですか!?」

「入ってみますか?」

「はい!」


 本当にエイルさんは何にでも興味を持つな。それはとてもいいことだから責めはしない。


「うわぁ……少し涼しいですね」


 ビニールハウスに入ればひんやりとした空気が出迎えてくれる。


「ここはイチゴがあるビニールハウスです」

「これが、イチゴですか」


 真っ赤に実っているイチゴをじっと見るエイルさん。


「こういう作物は見たことがありますか?」

「いえ……見たことがありません」


 イチゴが異世界にない、という認識にはならない。


 エイルさんが箱入り娘だから知らない可能性や別の地域にある可能性だってある。


「食べますか?」

「よろしければ食べたいです」


 俺は元の世界では高級品に指定される大きく真っ赤なイチゴを一粒とってエイルさんに渡す。


 ついでに俺も隣にある同じようなイチゴをとる。


 エイルさんは俺の方を見ているから俺がへたをとれば同じようにへたをとった。


 なんだこの可愛い生き物は、と思いながらヘタがあった方から食べればエイルさんも同じようにヘタがあった方にかじりつく。


 俺がこうしているのは先端が甘くなっているからヘタの方から食べている。


「……甘くて、美味しいです」

「それはよかったです」


 俺は一粒食べ終え、エイルさんも味わうように一粒食べ終えた。


 するとエイルさんの顔が少しだけ物欲しそうな顔をしていることに驚いてしまった。


 まだ分かりにくいがそれでも昨日では考えられない感情を出しているエイルさん。


 何だろうか、もしかしたらこういう感情を押さえつけていたのかもしれないな。それが全く別の世界に来てタガが緩くなっているのかもしれない。


 それはそれでスローライフの素質ありということだ。


 俺はイチゴを二つほどとって一つをエイルさんに差し出せば少し顔を赤くしながらも手を差し出して受け取った。


 こういう甘味でも口に合うようでよかった。


 さすがにエイルさんは二粒のイチゴで満足した様子だった。


 一粒が大きいからそう何粒もパクパクと行けるものではないからな。俺はもう少し食べれるが女性ならこれくらいでちょうどいいだろう。


 あとビニールハウスで環境を制御している機械を見せてから出た。


 さすがに機械を見てもまだエイルさんは何も分からない。エイルさんがこちらの文明にかなり興味があるようだからもしかしたらこれを利用する時が来るのかもしれないな。


 俺とエイルさんはトウモロコシの畑から始まり夏にとれるトマト、ナス、きゅうりなどの夏野菜を見て回る。


「あっ、この作物は……」

「何か知っているものがありましたか?」


 エイルさんが目をとめた作物はミニトマトだった。


「……これを、育てているのですか?」

「一般的な作物ですからね」

「これがですか!?」


 おそらく異世界で似たようなものがあるんだろうな。そういう可能性は考えていたから驚くことでもない。


「先ほど見たこれよりも大きな作物を見た時からもしかしたらと思ったのですが……」

「俺の世界ではこっちがミニトマト。大きなものがトマトといいます。こちらの世界ではどういう作物なんですか?」

「その……世界一臭い食べ物です」

「まじですか! このトマトに似た食べ物が異世界ではそうなっているんですね……」


 えっ、まじで驚きだ。ミニトマトが世界一臭い食べ物……想像がつかないな。


 ……てかそれを知らずに異世界にきて、世界一臭い食べ物のミニトマトを食べて失神、みたいなことがあり得るかもしれないってことだよな。


 えっ、こわ。もしかしたら他の異世界に向かった人たちの中にそれを体験している人がいるのかもしれない。


 一瞬だけ味覚の違いを疑ったが今までの感じでそれはないと分かっている。


「こ、これは違うのですか……?」

「違いますよ。おいしい食べ物です」

「こ、これが……」


 信じられないといった表情のエイルさん。


 だけど俺が料理する時にサラダでこれを使う時が来るからなー。その意識を変えてもらわないことには共同生活はできない。


 俺は真っ赤に実っているミニトマトを一粒とる。


 それをした瞬間に少しだけ距離をとるエイルさんが少し面白かった。


「美味しいですよ」


 俺はエイルさんの前でミニトマトを食べて見せる。


「だ、大丈夫ですか!?」


 すごく心配されるのだが普通においしいミニトマトだ。


「大丈夫ですよ。世界一臭い食べ物だとしたら今食べている時でも臭いが来るんじゃないですか?」


 俺の言葉にクンクンと確認してそれがないことを確認したエイルさん。


「……本当、ですね……」

「どうですか? 同じようなものですから忌避感を覚えるのは仕方がないですけど、食べます?」


 ま、そこはエイルさんがどう思うかによるな。それによってはトマトを出さないという選択肢にはなる。


 そうなった場合はエイルさんが見ていないところでこっそりとトマトを食べることになるか、エイルさんが出ていった時にたらふく食べることになるが。


「た、食べます……!」


 少しだけ考え込んでから戦場に行くのかと思うくらいの覚悟した表情で食べることを宣言した。


「無理をしなくて大丈夫ですよ?」

「いえ、優斗様が食べたのですから私も食べます!」


 そう言ったから俺は頷いてミニトマトをエイルさんに渡した。


 ミニトマトを受け取ったエイルさんは微かに震えていたが確かに受け取った。


 俺ももう一つミニトマトをとってエイルさんよりも前に食べた。


 それを見たエイルさんは意を決してミニトマトを口に入れた。


 目を思いっきり閉じ、未だに嚙めていない様子のエイルさんを写真に収めておく。もちろんスマホを取り出さずにこの世界の主である特権を利用として写真をとった。


 まあでもエイルさんのこの状態は分かる。


 今まで食べないと思っていたものを食べようとして、それが世界一臭いと言われているんだから口の中に入れただけでも相当な勇気だろう。


 一分ほどその状態が続いたエイルさんだが、ついに口の中にあるミニトマトを噛んだのが分かった。


 そして目を見開いて何度も咀嚼している。すべて飲み込んで未だに信じられないという表情をしている。エイルさん。


「……おいしい」

「こちらの世界のトマトは臭くないですから安心してください」

「……不思議です。世界が違うだけでこんな違いがあるなんて」


 エイルさんは俺が思っていたことと同じようなことを口にした。


「そうですよね。きっと進化体系が違って、その星にある種が違ったり、世界ごとに別の進化を遂げているんです」

「……すごいです」

「世界が違っても俺とエイルさんが人間として同じような見た目、手をしていることもきっと奇跡なんです」


 俺はエイルさんに手を出してそう言った。


 もしかしたら神がそういうことをしているかもしれないが俺は人が進化してここまで至ったと思っているからな。


 エイルさんは出している俺の手に自身の手を重ねた。


「……本当ですね。優斗様の手は冷たくて、でも同じです」


 こんなことをされるとは思わなかったから少しドキッとしてしまった。


 昨日は男だから距離を置かれていると思ったのに……こんな急接近するなんて誰も思わないだろ。


「そ、それよりも他のところを回りましょう!」

「そうですね。まだ見たいところがありますから」


 ふー、恥ずかしいなぁ。

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