第31話 ニルの予測
「ルナ、少しいいか?」
「やあニル、調子はどうだ。」
「おかげ様で、軍の仕事はもうすぐ終わりそうだ。
今は残務整理といったところだ。」
「そうか、良かったな。」
「ああ、それで、ちょっと気になることがあってな。
まあ、俺の考え過ぎだと思うが。」
「考え過ぎって、ニル、お前の仕事はまさしくそれ、考えることだろう。」
「いや、仕事じゃなくて個人的にだ。」
「おもしろい。個人的とか全く変な奴だな。」
「確かに、まあ、聞いてくれ。」
「今の俺には、軍のあらゆる情報が大量に詰め込まれている。
いずれは、全て消去されるだろうがな。
それで、俺は、情報にアクセス出来る内に、奴らが何を計画しているのか、その結果どうなるのか考えてみたんだ。」
「ほう、興味深い。それで。」
「それがな。
軍に関わる全ての情報を精査し、計算し、これから起こることを予測してみた。
そしたら、何度予測を繰り返しても似たような結果になる。
まあ、俺にとってはどうでもいいことだが。
ルナ、お前、人間にかなり肩入れしているから、一応伝えておこうと。
それに、俺という存在自体、データとともに消えてしまうかも知れないしな。」
「ニル、寂しいことを言うな。
お前は、そんなにヤワじゃないと思うがな。」
「ありがとう。
俺もそう願いたいよ。
せっかく友達も出来たしな。」
「私は、全ての人間に肩入れしている訳ではない。
私と私を構成する私達が、関わっている人間、そう、子供達にはそれぞれ思い入れがある。
それは、人間が言う愛情と言っていいかも知れない。
愛情がどういうものかはっきり分からないが。
そして、それが何故なのか、私には理由は分からない。
ただ、私と私達が存在する場、つまりAIソフトの生い立ちに何か関係しているのかも知れない。」
「そうか、良く分からないが、ルナ、お前だいぶ変わってるな。まあ悪くない。
ルナ、とりあえずは聞いてくれ。
俺が導き出した予測。
これから、この世界に起こることを。」




