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73.なりきり師、帰路につく。

「コイツで最後だ!」



〈キシャ…〉



 残っていたリトルデススパイダーも手分けして倒しこれで最後の一体を倒し終わった…。


 まぁギルマスとマーガレット所長とシルバさんがそのほとんどを倒してくれたんだけどね……


 おかげでフロアはボロボロだ。ある場所は地面がめくれ、ある場所は木が折れ、ある場所は穴が空いている。


 と、言うのも倒しながら糸をインベントリに入れれ無いか試していたところごっそり糸が収納できた時があった。


 周りにドームのように張っていたデススパイダーの糸が無くなった事でそれに繋がっていたリトルデススパイダーの糸も一気に収納できたのだ。


 そこからリトルデススパイダー退治は急加速。周りを気にする必要の無くなったギルマス達の猛攻は凄かった…。

 それで結果的にこのフロアがボロボロになってしまった…。



「はぁ〜…やっと終わったぁぁ…」


「ホークお疲れ様。水飲むか?」


「うん!ありがとう!」


「はいどうぞ。」


「ねぇ、ユウキ?これで終わったんだよね?ダンジョンは元に戻ったんだよね?」


「そうだな。まぁ今倒せてるボスはこの階層だけだからこのダンジョンにはまだ後34体のボスがいるんだけどな…」


「それはギルドに任せとけ!もうお前たちは十分過ぎる程街の為に働いてくれたよ。」


「ギルマス…」


 ギルマス達もおれたちに合流し話が聞こえていたのか割って入って来た。



「そうだよユウキ君。君達の役目はここまでだ。新人の君達をこんな危険な目に合わせてしまって本当に申し訳なかったね…」


「シルバさん…」


「あたしが元気でいられるのはユウキちゃんのおかげよぉ〜。ここから先はあたし達がギルド総出で攻略しちゃうわぁ〜!」


「ゴロ……マーガレット所長…」


 怖っ……つい、ゴロズ所長って呼びかけたら顔が『カッ!』ってなったぞ『カッ!』って…

 マーガレット所長って言い直した事で顔は元に戻ったけど今後は気を付けないと……


 あっ、そうだ!今の内におれたちの今後の事を話とかないと…



「あ、あの!おれたち皆さんに話さなきゃいけない事があるんです!」


「話さなきゃいけない事?なんだユウキ?」


「えぇっと…おれたち他のダンジョンを先に攻略しようと思ってるんです……

このダンジョンは今のおれたちには強すぎて攻略に時間がかかりすぎてしまうし…

その…そうしたら悪魔が魔王に力を注いでしまうので、このダンジョンを離れようと思ってて…だから他のダンジョンの悪魔から倒そうってホークと相談して…ごめんなさい!」


「ごめんなさい!」


 言いたい事がまとまらずぐちゃぐちゃな説明になってしまった…

 最終的にまとめるのは諦めて中途半端にダンジョンを離れる事を謝った。



「なんだよそんな事か…。改まって言うからまた何かとんでもねぇ事を言い出すのかと思ったぜ!

ユウキ、ホークお前らは冒険者なんだ!別に一つの街に留まる必要はねぇよ!

それにこのダンジョンが気掛かりなのかもしれねぇがさっきも言ったようにここからはおれたち上級冒険者が引き受ける。お前達は自分の使命を果たせばいい。」


「そうよユウキちゃん。あたし達よりよっぽど過酷な戦いをしなくちゃいけないあなた達が今必要なのは何よりも経験なの。

このダンジョンがその足枷となってしまうならこんなダンジョンほっときなさい。」


「どこまで僕達が攻略できるかはわからない。だけど少しは君達の負担を減らせるように僕達も頑張るよ。

それにまたこのダンジョンにも戻ってきてくれるんだろ?」


「「はい!強くなって必ず戻って来ます!」」


「うん、二人ともいい顔になったね。僕達は君達の事を引き止める理由はないよ。

この世界を回って、世界を見て、大きく、強く、立派に成長してきてくれ。

これは君達の秘密を知ってる僕達の願い……いや、世界の命運がかかってるんだから秘密を知らないこの世界全員の願いだね。」


 この世界全員の願い…元はプライのお願いを気まぐれで引き受けたけど現地の人に直接言われると重みが違う…。

 おれたちが魔王を倒せないとこの世界の全員が死んでしまうんだ…

 支配された世界で生きていたって死んでるのと変わらない。この世界を救うには復活する魔王を倒すしかないんだ。



「だけどユウキ、この世界の為に自分を犠牲にする必要はないからな。」


「???」


「お前はなんでも自分でやろうとするからな。やりたく無ければやらなきゃいい。休みたければ休めばいい。

無理して一人で抱え込むなよ。世界なんて滅ぶ時は滅ぶんだ!あまり重荷に考えるなよ。」


 世界が滅ぶ時は滅ぶなんて聞いた事ないんだけど…きっと無理するなって事だろうな。



「ありがとうございます。無理せずやっていこうと思います。」


「ユウキちゃん、すぐに街を離れるのぉ〜?」


「いえ、少し街を見て回りたいですしギルドの依頼も少しは受けてみようと思ってます。それにまだ次の目的地も決めてませんしね。」


「そうなのねぇ〜。出発する時は教えてねぇ〜!」


「わかりました。離れる時は必ず伝えます」


 そうしてその場で1日過ごしギルマス達から色んな話を聞いたり休んだりしてダンジョンのボスが復活するのを待った…。










 〜次の日〜



『カサカサ…』



「よし、本当に元に戻ったようだな。それじゃあさっさと倒して帰るか!」


「あれが十階層のボス…?」


 そこには一体の蜘蛛のボスがいた。

 リトルデススパイダーよりは大きいんだけど、昨日巨大なデススパイダーと戦ったせいであれをボスって言われても首を傾げてしまう…。

 もちろん大きさだけが全てでは無いが明らかに迫力もなく全然強そうですらなかった。



「ユウキ君、本来はこれが普通なんだよ。ここは最弱のアイズダンジョンだからね。」


「最弱?」


「あれ?話して無かったっけ?数あるダンジョンの中でこのアイズダンジョンは一番難易度が低いダンジョンなんだよ。」


 なんか聞いた気もする…でも詳しく覚えてない…。だったら初めて聞くのと同じだな。



「ここが一番難易度が低いダンジョンだなんて勇者パーティーのせいで信じられないんですけどあれを見ちゃうと納得するしかなさそうですよね…」


 カサカサと動いている大きいけど小さい蜘蛛を見る。



「ねぇギルマス!なんか弱そうだしおれが倒していい?」


「いいぞ!ホーク。男ならドーンと行け!」


「よっしゃあ!ヴィブラブレード!」


「あっ、ちょっとホーク…」


 確かに弱そうだけどまだどんなモンスターかもわかってないのに…

 ホークはそんな事も関係なく走って行ってしまった。



「うぉら!………えっ!?」


「へ…?」


 なんとヴィブラブレードを使ったホークの一撃で名前も知らない蜘蛛は真っ二つになりそして消えてしまった。

 あまりにあっけなさすぎる…なにより攻撃したホーク自身が驚いている。



【鑑定士の熟練度が10に上がりました】

【鑑定士専用スキル 完全鑑定を覚えました】

【EXスキル鑑定阻害が完全鑑定阻害へとランクアップしました】

【鑑定士の熟練度が限界まで上がりました】

【なりきり師のレベルが5に上がりました】

【転職可能職業が増加しました】



「レベルが上がったって事は本当に一撃で…?」


 いやいやいや、ふざけんなよ!最弱ダンジョンって本当ならこんなに弱いのか?マジで今までの敵は何だったんだよ…

 おれがこのダンジョンで何回死にそうになったと思ってるんだ!勇者パーティー今度あったら絶対ぶっ飛ばす!



「ギルマス、なんか敵弱くない?」


「弱いな。だがこのダンジョンはこんなもんだ。まぁまだ十階層で初心者でも来れる範囲だしな。

 だけどホークまさか一撃で倒すとは思わなかったぞ。お前もユウキに負けず強くなってるな!」


「本当!?」


「あぁ本当だ!おれが嘘付いた事あるか?」


「う〜ん……ない!」


 いやあるだろ!ん?おちょくっては来るけど嘘は付いて無いのか?

 もう色んな事が一気に起こってて訳わかんなくなってきた…。



「このダンジョンでやる事も終わったし帰るか!お前ら帰りにもボスはいるんだからな街に帰るまで気は抜くなよ!」


「は〜い!」


「はい…」


「なんだユウキそのやる気の無さそうな返事は!元気出してけ!ガーハッハッ…」


 おれの背中をバシバシ叩きながら笑っている。


 こうなったらもうヤケだ!後はボスを倒しながら帰るだけだ。せめて経験値を稼いでレベルアップしてやる!

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