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【完結】『魔力アレルギー』の病弱令嬢は『魔力なし』の辺境伯爵に、心も体も健やかに愛し抜かれました  作者: 藤崎まみ


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評価、ブクマ、リアクションありがとうございます。


朝、目覚めたステラは、案の定体が重くて起き上がれなかった。


ヴォルフラムが昨夜を反省しつつも不安げな様子に、ステラは寝台の上で寝返りを打つ。



「もしかして、まだ不安なんですか?」

「…そりゃ、なあ。王都はステラの兄貴たちみたいな貴族の男たちがたくさんいるだろ。

俺みたいな無骨な男と違って、口説くのも上手いだろう?流行りの服やアクセサリーとかもあるだろうし」

「…私はそんなものより、美味しいお肉やミルクで満足しています」



あんなに愛を確かめ合ったというのに、大きな身体で不安げにするヴォルフラムを、珍しい物を見るかのような目で見るステラ。


ステラは王都では、ほぼベルシュタイン家の自室の寝台の上で寝てばかりいた。社交界は、倒れたデビュタントが最初で最後の華やかな場所だった。


確かに煌びやかな貴族たちの中には入ったが、猛烈な目眩と吐き気と頭痛を耐えるしかない最悪な環境に、死に物狂いで立っていただけなので、全く覚えがなかった。


そんなステラが元気になった社交界に出れば、出会いがあるというヴォルフラム。



「まさか子連れで実家に帰省して、浮気して帰ってくるとお思いですか?」

「…う。いや物は例えというか」

「ヴォルフラム様。私は『魔力アレルギー』です。

魔力の高い貴族男性や女性と長く一緒にいたら、拒絶反応が出てしまうかもしれません」

「…そうだったな」



すっかり忘れていた重大なステラの体質に、安堵を隠さず、ほっとするヴォルフラムにステラは思わず吹き出してしまった。



「あ、いや!今のはステラの体質を喜んだわけじゃないんだ。

…でもそれで、俺たちは夫婦になれたわけだろう」

「ふふっ、分かっています」



ステラは自分の体質が完治しないことに少しだけ引け目を感じていた。これからアイゼンベルク領で過ごす中でもきっとたくさん迷惑をかけてしまう。


…この体質がヴォルフラムへの安心材料となるなら、悪くないのかもしれない。


ステラは自分の体質に初めて前向きな気持ちになれたような気がしていた。

バツの悪そうな顔をして、ステラを抱き寄せるヴォルフラム。



「昨日の俺は怖かったろ。頭に血が登ってたんだ。

…もうあんな風に問い詰めたりしないから、許してくれ」

「そうなんですか?いつもの優しいヴォルフラム様も大好きですけど、…強引なキスもワイルドで素敵でしたよ」



腰が抜けて起き上がれないステラはされるがままに、頬にキスを受け、じゃれ合いながらヴォルフラムをからかう。

本当に思ったことを口にすると、彼が動きを止めた。



「…前から思ってたんだが、ステラって趣味が悪いと思うぞ」

「まぁ…!ふふふっ」



心外だとばかりに目を見開いて、笑みを浮かべるステラ。


一晩経って、自分の勘違いと一連の流れに罪悪感に苛まれていたヴォルフラムは、全てを受け入れるステラに頭が上がらない気持ちになっていた。



***



二人の兄にステラが少し体を休めたいと伝えると、やはり昨日の案内で張り切りすぎたため疲れが出たと勘違いした兄たちに、あまり追求されなかったヴォルフラム。


…ほっと胸を撫で下ろしていた。


エリックが、ヴォルフラムの案内ならば討伐に同行したいと言い出した。


兵士と一緒に森の中の採取などを行う人々の護衛も兼ねていたので、単独行動をしないことを条件に共に森へ出かけることになった。


夫人であるステラの兄が王都から訪問していて、二日ほど休みを取ると言ったはずのヴォルフラムが、交替の兵士とともに客人を連れて戻ってきて驚く部下たち。


王都の貴族に、始めは遠巻きにしていた兵士たちだったが、エリックの砕けた話し方と、アルベルトの真面目なアイゼンベルクへの関心のある質問に慣れ、次第に応えていった。


いつの間にか兵士たちの方から説明をし始めるような、馴染みの速さにどこかステラと同じものを感じるヴォルフラム。


ベルシュタイン家の人間はそもそも好奇心が旺盛で、威張り散らすお堅い貴族のイメージからかけ離れていると感じていた。


森の奥で闘いの気配を感じたヴォルフラムは、行ってくると言付け、大剣を片手に奥の戦地へと駆けていった。


アルベルトとエリックはその野生に満ち溢れながらも、闘志にみなぎる力強さを、大きな背中から感じ取っていた。



***



夕方、屋敷に帰ってきた時には三人とも土煙で薄汚れており、順番に体を洗うとさっぱりついでにお酒が用意されていた。


ステラも無事起き上がれるようになったため、果実水で乾杯して、アイゼンベルク産のチーズやサラミなどを口にする。


アルベルトは、癖の強いヤギのチーズが気に入ったようで赤ワインを流し込んでいた。



「それでね、こーんな角のキラーラビットなんて、普段街で屋台やってるらしいおっちゃんが、あっという間に倒してくの。アイゼンベルクの民、強すぎー」

「まさかお兄様たちが討伐に同行していたなんて、驚きました」

「…今度実家に帰っても母上には内緒で頼む」

「まぁせっかくこんな所まで来てくれたんだ。浅い所で間引きの手伝いをしてたから、いい暇つぶしになったなら良かった」



興奮冷めやらぬエリックが酒の力もあって、声量が上がっていく。


ヴォルフラムの話し方が、砕けているのをみて自分の知らない間にヴォルフラムと兄たちの距離が縮まったのを感じたステラ。


自分の知らないところで仲を深めて楽しくしていたことに、少し面白くない気持ちになるステラ。


…ヴォルフラム様のお仕事するところ、私も見に行きたかった。



「ステラはもう体調はいいのか?」

「はい、アルベルトお兄様。もうすっかり動けます」

「もっと体力つけないとだねぇ」

「そうですね。もっと食べて、“ケツのでかい良い女”になります…!」



それはヴォルフラムにいつぞやに教わった“男社会のノリ”のつもりだった。


ビシリと男三人がすごい顔で同時に固まる。


ニコニコと冗談を振ったつもりのステラだったが、アルベルトが持っていたワインのグラスを取りこぼし、慌ててナフキンを押し当てる。


ワインの世話をしていた執事のヘクターが、フッと吹き出すのをヴォルフラムは見逃さなかった。



「ステラ…ッ!待て、それは…!」

「私今何か変なこと言いました…?

“男社会のノリ”ですよね?兄二人も男同士ですよ」

「あー!もう…!…アレは俺が悪かった…!」



キョトンとするステラに、アワアワするヴォルフラム。


ヘクターに視線を向けるが、目を逸らされ、顔に日頃の行いが悪いと書いてあって何もフォローをしてくれそうにない。


焦るヴォルフラムをじーっと見つめる兄二人。

昨日エリックの嫌がらせに難しい顔をしていたのに、朝はどこか晴れやかな表情をしていた。


さすが辺境伯、心を切り替えてきたな、と思っていたが、体力が着いたと言っていたステラが朝から寝込んでいたことと今の下ネタ発言。


やたら頭の回転の早い兄たちは、頭の中で一瞬でカシャカシャと計算してあっという間に正解を導いた。



「…え、なに。ステラが朝起き上がれなかったのって、そういう事?

意地悪したかっただけなのに、夫婦のスパイスにされた…!」

「エ、エリックお兄様…?」

「ち、違わないが、普段はもっと配慮してるんだ」



頭を抱えるエリックに、よく分かっていないステラが驚いて覗き込む。

その様子に、もう最近は殆ど寝込ませたりしないと、焦って余計なことを口走るヴォルフラム。


ゆらりと立ち上がるアルベルト。

腹の底から低い声を絞り出す。



「…つまり、俺たちの可愛いステラの体に不満があると…?」

「ち、違う。誤解だ!!」

「野蛮で下品じゃん…。ステラ、やっぱり俺と田舎暮らししようよ。ね?」



ステラは話の流れが掴めず、首を捻る。


ギャーギャー盛り上がるアイゼンベルク辺境伯の夜は、まだまだ始まったばかりだった。




お読みいただきありがとうございます。


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よろしくお願いします。



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