第三十二話最終 贖罪
「アヌンナキって何だい?」木藤が聞いた。
「正体は不明です。世界中の古代遺跡に描かれている謎の生物。宇宙船のようなものや指差す方向に星が描かれたもの。人類に知恵を与え、建築なども教えたなどと云う学者さんもいます」
「へ?」木藤はついていけなかった。「宇宙人かい?」
「そう採るのが妥当とも云えますが、何もわかっていないんです」
例えば、アヌンナキが人類を作った。奴隷として扱うためだ。しかし、人類は自由を欲した。アヌンナキは人を従順であるよう作ったはずだ。それを阻止したのは婆稚が時間を超えて組み入れた外来DNAだとしたら?アヌンナキの知恵をもらい、従順さをかけ備えた存在。
須佐は元々は人間だと云う。須佐は異質だ。なぜ?存在している?
百目野は頭がこんがらがった。
須佐とは何者なんだ?
「それって想像だろ?よくもまあ、それだけ組み立てられるなあ」
「そう、想像ですがこう考えれば辻褄が合うんですよ」
「でもなあ」
小泉教授が木藤に聞いた。「木藤刑事、どう報告しますか?」
「困りましたね」
「我々も困っています。婆稚は一体何をしたのか?彼しかわからない。未来に何が起こるのか?さえわからない。しかし、この世の調和を仕向けたのは確かです」
「調和とは?」
この星の歯車となる生き物。人類が外しているとしたら?
外来DNAはアヌンナキがオリオンを発動したように、静かに崩壊をはじめるかもしれない。
「その注意勧告をするのは、あなた方学者の仕事だ」木藤は述べた。
そうだが、想像ではどうしようもない。なんの証拠もない。
木藤は困り顔で帰った。警官も共に帰った。「木藤さん、何の話だったんですか?」「聞くな」そして解散した。
一週間後、百目野はアパートに居たら窓に梟の百目が居た。
「百目じゃないか?どうした?」文を咥えている。手紙か?百目野がそれを開くと佐助からの文だった。こう書かれていた。
先生、武角様が我が部落に誘っていたと思いますが、来れますか?歓迎しますよ。日にちを教えてくれれば八咫烏を送ります。
百目野は小躍りした。須佐部落が見れる!!!!!
柳田先生、ばくは行きます。この目で見てきます。
百目野は八咫烏を断った。電車で行きたかった。この目にこの国の風景を目に焼き付けるためだ。
我々や須佐は戦いには勝ったが阿修羅に結局負けたのだ。
この世界は人類が解明していないことが山ほどある。迷信だと片付ける。しかし、古代の人達は神を恐れていた。敬っていた。そして慎ましく生きていた。自然とともに生きていた。
化学は人類にとってなくてはならないものだが、自然を動物を駆逐してきた。自然や動物は何も文句を云わなかった。
最近、月の中は空洞なのではないか?と云われている。NASAが月に地震計を設置し、揺れを観測した。中からの反響がまるで鐘のようだったそうだ。月には巨人が居た。などの報告もある。これが本当なら月に誰か住んでいるようだ。月の中は住居か宇宙船のようなのではないか?
アヌンナキは遠くに逃げたのではなく古代に月を構築しこの星の行く末を見守っているとしたら?何か気づいたに違いない。
百目野は想像をやめた。「まるで絵空事だ」
DNAと云ったのは我々だ。婆稚が人類の遺伝子に入れたと云ったからだ。それは遺伝子なのか?微小な目にも見えない電子顕微鏡にも捉えられないマクロの意志を持つ生物だったら?我々の想像を超えた存在?そうであれば影響を受けるのは人類だけとは限らない。
百目野が須佐部落で過ごしている間に世界で事件が多発した。
世界のトップがいきなり身体中から血が噴き出して死んだ。その幹部連中も血を噴き出して死んだ。その国のトップ達は他国に攻め入り大虐殺を行い、自然も破壊していた。そんな同様の国が次々とトップや幹部が突然身体中から火を吹き死んだ。このもの達は敵からの攻撃と判断した。原因は不明だ。「化学兵器、細菌爆弾だ」などとのたまわった。
一般市民には何も影響がなかった。
動物、植物、昆虫などにも何も起きなかった。
ある宗教家がのた回った。「神の御意志だ!」
始まった・・・・
百目野は思った。これは手始めだ。婆稚はなんと云う贖罪を起こしたのだ。須佐でさえ手が出ない。
地球の再生・・・・何が起きるのか?恐れ慄き、傍観しかないのか?。
もしかしたら武速が全てにおいて覚醒したら変えられるかもしれない。一糸の望みだが。
「阿修羅」完




