第二十九話 アヌンナキの物語(前)
木藤刑事は震えていた。そう、彼は那須の神社の息子であり、神官でもある。祭神は白面金毛九尾狐。そして先祖は明治時代、刑事で九尾狐事件を担当した。何かスピリチュアルな部分で感じるものがあったに違いない。
「何故?震えが止まらないのか?わからなかったが、何か恐ろしいものを感じたんだろう」
思えば古代の人の中にもそのように感じた人がいたのではないか?
この世界の外の世界。浦島太郎、竹取物語、渾天説。全てが答えでは無いし間違っていることもあるが、古代からの異世界が存在すると云うサインだったのか?
そして聖書・創世記にある「禁断の果実」。
まだある。
釈迦は宇宙の真理を解き、人間はどのように生きるべきか?を説いた。それに仏教(釈迦教)用語の「六根清浄」。
これらは外部からの危険性を説いたものか?
アヌンナキは何をしたのか?
○禁断の果実
手にすることができない、手にすべきではないもの、あるいは欲しいと思っても手にすることは禁じられているものだが、かえって魅力が増し、欲望の対象になるもの。
旧約聖書・創世記では、禁断の果実とは、善悪の知識の木の果実を云う。アダムとイヴはエデンの園にある果樹のうち、この樹の実だけは食べることを禁じられるが、イヴはヘビにそそのかされこの実を食べ、アダムにも分け与える。この果実を口にした結果、アダムとイブの無垢は失われ、裸を恥ずかしいと感じるようになり局部をイチジクの葉で隠すようになる。これを知った神は、アダムとイブを楽園から追放した。彼らは死すべき定めを負って、厳しすぎる環境の中で苦しみ、生きなければならなくなった。
○六根清浄
欲や迷いを断ち切って、心身が清らかになること。私欲や煩悩、迷いを起こす目・耳・鼻・舌・身・意の六つの器官を云う。「清浄」は煩悩や私欲から遠ざかり、清らかで汚れがない境地。
アヌンナキの物語
地球時間で話を進める。
今から30万年ほど前、遥かな宇宙から太陽系に侵入する船があった。それは位置的にはよくわからない。「ニビル」と云う星からやって来たらしい。「ニビル」は地球と環境が似ていた。太陽らしきものに支えられ、温暖な星であった。幾つもの人種が住んでいた。地球型人種、鳥型人種、昆虫型人種、動物型人種(牛、鳥、狼など)。幾つもの動植物も住んでいた。ニビル人は高度な文明を持ち、繁栄した。しかし人種偏見による反発から戦争を起こし星全体が衰退した。木々で覆われた美しい自然は破壊され、砂漠化した。よって動植物は全滅し、食べ物さえ無くなった。よって第二の住居を探しに宇宙へ飛び出した。
「ここか?」「うむ。あの大きな燃える恒星がニビルと同様な環境を与えている星があるに違いない」
船に乗るのは人種偏見に反対していたトップレベルの者たち。市民も併せて3000人だ。
「あの青い星はどうだ?」「美しいな。あの青は水だな」
船内から環境成分を調べた。住むにはうってつけだ。しかし、有機物がいるに違いない。細かく調べる必要がある。間違いは出来ない。後が無いのだ。「隣の星も良さそうだ。空気は薄いが重力が軽い。女、子供でも動けるぞ」
「覚悟を決めよう。ここだ」リーダー格たちは皆、頷いた。
兼ねてから研究が進んでいた「オリオン計画」を実験できると踏んだ。
「環境が概ね同じだが、一つ違うな」
「重力か?」「うむ。ニビルより数倍重い」「動けるのか?」「大人なら30分てところだな」
ニビル人は大きい。重力が地球に比べ、軽いからだ。身の丈3mから4m。
その人種が3000人乗船しているのである。巨大な船だ。しかし、まだ人類は存在しない。
早速、偵察隊が組まれた。武器を持つ兵士、学者も同伴した。偵察船に跨り、10名ワンチームになり10ヶ所に別れて出かけた。「獰猛な未生物に気をつけて」「大丈夫。武器もある」
10日ほどして戻って来た。が、3船は戻って来なかった。皆、失敗したのだ。海で喰われた者、川で喰われた者、サバンナで襲われた者、船を大型猛獣に潰された者、武器が役に立たない。残った者たちはなんとか逃げ帰った。
「恐ろしい星だ。だが、不思議な生物を持ってきた」「持って来た?」「これだ」
それは麻酔銃で捕らえた7つのメスの類人猿だ。
「なぜ?連れて来た?」
あの猛獣だらけの土地で洞窟に住み、密かに生きていた。「身体つきも、我々と似ているし、勇敢でもある」
「どうする気だ?」
「我々の女のDNAを注入してみよう」「冗談じゃない!こんな下等な生物に」
意見は割れて地球型人種の女性学者がOKした。「なんと云う実験だ」皆、恐れた。
何万年かかるか解らぬが、いつか進化して我々に近いものになっているだろう。その時、我々の僕として使おう。
この青い星は結局、重力の問題で破棄され、7つの類人猿は地に戻された。
「生き抜いてくれよ。また会おう」
1つの民族は隣の星への移住を決めた。現代で呼ばれる火星だ。
空気なら作れる技術を持っていたし、酸素を膨大に産む植物の移植も考えていた。
「そうか・・・・仕方ないな」
そして彼らは火星に住み着き、残った者たちは更に善い星を探しに旅立った。




