表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第四部
70/102

爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その18

 


 火柱に照らされて、異常に大きな影が揺れていた。


 うわっ すごい! オスとメスでこんなに違うの?!

 めちゃめちゃデカいだけじゃなくて爪も牙もすごくごつい!

 オスの方が毛足が長くて、何だか雄大な感じが強い。

 こんなのに襲われたら町もひとたまりもないよ! こいつは退治しとかにゃならん!


 しかも嫁タイガーから火柱が上がって、せっかく連れて帰ろうとしたのを邪魔されて超怒ってる!


 あたしを見て大きく咆えるとこっちに向かって走ってきた。

 なんの! 足元の地面とバンっと叩く。まずは序の口、ロックスパイク!

 地面から固められた土で出来たトゲがジャキン!と伸びて旦那タイガーの前進を妨げる。

 普通の敵ならこのタイミングで串刺しになってるだろうけど、旦那タイガーは見事な反射神経で横っ飛びにかわして免れた。でも間髪入れずに飛びかかってくる。


 まだまだ! 第二波、エアスラッシャー!

 真空の刃を大きく開いた旦那タイガーの口に目がけて飛ばす。危険を察知したのか、旦那タイガーは右手を大きく振ってあたしの撃ったエアスラッシャーを迎撃し、そのままあたしの横を素通りした。アイスエッジよりも範囲が広くて速いし見えにくいから使ったエアスラッシャーだけど、見事に旦那タイガーは見切った。すごいな、これULT(※1)ボスクラスだわ。


 いきなりのミッションでULTレベルかぁ。容赦ないなぁ。


 向こうもあたしをなかなかの難敵と見たらしい。飛びかかってくるのを止めて距離を取った。

 しっぽの蛇が威嚇してくるけどその距離じゃ何もできなかろう。毒を飛ばしてくるかもしれないからそれは気を付けないと。

 警戒するあたしを中心にうろうろと歩き出した。ふーむ、こっちの出方をうかがってくるか。頭いいなぁ。

 そんじゃあこれまで連射を意識して戦ってたけど、チャージして撃ってみましょうか。


 嫁タイガーも一発で沈めたチャージ・ファイアーボールを足元目がけて三連続で撃つ!

 スキルツリーMAXのファイアーボールはチャージも早い。強いわ速いわ早いわで、連射してみんなに怒られた実績もあります。

 でもまあ今はこっちも命かかってるし? ソロでボス級に舐めプ(※2)はできませんよ!


 ファイアーボールが着弾した地面を抉る。飛び退くのが遅れた旦那タイガーは後ろ足で立ち上がって動きを止めた。おっしゃー! その手もろたで!!

 小さくバンザイしたような姿勢のところ目がけてさらにファイアーボールを撃つ。

 爆発とともにごっつい爪が折れ飛んだ。まず左手! そのまま右手もいただきます!


 両手の剣を奪われたのに旦那タイガーは戦意を喪失するどころか余計に闘志をむき出しにしてきた。

 そうか、お主も平野の王者のプライドがあるのじゃな?

 良いでしょう、かかってきなさい!

 

 嫁タイガーと同じように体を沈めて、一気に飛び出した!

 大きな口が開かれて牙があたしに向かって襲い掛かる!


 甘い! こっちの読み勝ちです! 近距離限定の防御かつ魔法なのに打撃技のグレイシャルシールド! しかもチャージ版!

 目の前に出来た巨大な氷塊にカウンターを喰らって、巨躯が地面を舐めた。この氷塊の大きさと威力は、使い手のマインドとスキルツリー強化具合によって大きさが変わる。まだまだ物足りないなぁ。

 旦那タイガーがよろめきながら体を起こす。牙も一本折れたと言うのに、それでも闘志を失わない。

 うーん、何かすごく悲壮……。そこまでして嫁タイガーの無念を晴らそうとするなんて。これ以上なぶる様な事はしちゃいけないな。まだ来るって言うなら次をとどめにするしかない。


 旦那タイガーがあたしの方を見て口を大きく開けると同時に、すさまじい大声を上げた。あたしの軽い体がいとも簡単に吹っ飛ばされる。やば! 目の前が赤い(※3)!

 目の前が赤くなるのと同時に物凄く体がだるくなる。まずいって! これじゃ魔法撃てない!


 速攻でアイテムパック開いてHPエイドを一個出す。旦那タイガーが襲ってくる前に回復しないと!

 あせるな、大丈夫。二口も飲めば取り戻せるっ


 何とか行動できる分だけ回復させて、けん制のために体の周りに炎の渦を起こす。

 あっぶねー。遠距離音波攻撃とか撃たれたら回避不能じゃん。撃たれる前にキャンセルさせないとダメか。油断したあたしがいけないんだけど、ULT初見ってやっぱキツいわ。

 でもこれで分かった。もう近寄ってちまちま攻撃する体力ないね? それじゃあ決着をつけさせてもらうよ。


 昼間に嫁タイガーと戦った時に嫁タイガーが受けたダメージを考えると、キメラタイガーに対して一番効果が高いのは雷系の魔法だ。同じようにサンダーストームでも良いけど、旦那タイガーの反射神経を考えると防御されるかもしれない。

 だったらちょっと時間かかるけど、ロックオンしたら外さないし攻撃判定発生速度も申し分ない一発のチャージアタックで決めてやろう。


 旦那タイガーよ、どっちが速いか勝負といこうじゃないか。

 あたしの周りにパリパリと電気が走る。これ雷系チャージの特徴。

 む。旦那タイガーがまた突撃態勢をとった。こっちはもうちょい。ちょっとドキドキするな。


 ピキンッ!とあたしのまわりに走ってた電気が集まって弾けた。チャージ完了!

 それよりちょっとだけ早く旦那タイガーが飛び出した!

 負けるか! 受けてみよ、ライボルトォォオオオ!!


 突き出したあたしの手から放出されたぶっとい稲妻が、弾丸のように迫りくる旦那タイガーの巨体を貫いた。

 空気が弾けて生じる雷鳴が辺り全体を振るわせる。

 命中と同時に雷鳴とは別の衝撃波が生まれて、あたしはまたしても転がされてしまった。

 旦那タイガーも来た方向に吹っ飛ばされて、嫁タイガーの時よりも大きな音を立てて地面に落ちた。


……電撃の影響で少しの間ビクンビクンと筋肉が痙攣けいれんしてたけど、程なくして治まった。

 胸も動いてないし、全身が脱力しきってる。


 多分勝利! 町防衛大成功だよ、おめでとう!!


 にしても何でこの程度でも目の前真っ赤なの?! ホント怖い!




 

~前も解説入れたような気がしないでもない単語を含む注釈~


※1:ULT・・難易度マックスのUltimateモード。その一つ手前の難易度ベリーハード(VH)がゴミとでも言わんばかりの極悪難度。ようやくVHプレイに余裕が出て、いよいよこの難易度に挑戦できるようになったプレイヤーが最初のステージの雑魚になぶり殺しにされるレベル。


※2:舐めプ・・舐めたプレイの略。弱装備オンリーで手を抜いたり、あえて攻撃を受けたりと、相手の出方を見て戦い方を調整するプレイ。かと言っていつも全力の装備で全力のプレイヤースキルを持って戦われても白けてしまうため、TPOをわきまえた遊び方を習得するのはネチケットとして必須。


※3:目の前が赤い・・HPが減少して残りわずかになった事を視覚的演出で知らされた状態。現在も一人称視点ゲームなどで採用されているケースがあるが、混戦時これになるとすごく焦る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ