爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その17
さて。やって参りました、キメラタイガー第二戦!
うーん、いきなり襲いかかってきたキメラタイガー(♀)を正当防衛でやっつけただけなんだけど、そのせいで旦那タイガーが町を襲うかもしれないって言うんだから一応責任あるよねぇ。
でも問題の旦那タイガーはどこにいるんだろ?
あたしは体力に問題があるから、この広~いフィールドを探索して回るのはかなり不利。
嫁タイガーの復讐に来るかもしれないから農地への道で腰据えて待てばいいんじゃなかろうか。
そう思ったんだけど、もし張ってる所と違う所から町に入ってきたら大惨事だから、さっさと見つけてやっつけてほしいんだと。
うむむー……。素直に「体力ありません」って言えればいいんだけど、切り出せなかった。
会社勤めの弊害がここにまで……。
うーん、嫁タイガーの恨みを晴らしに来るってことなら、非道なのは分かるけどこの亡骸をダシに誘き寄せるのはどうだろか。この案は一部採用されて、即実行に移された。
伸び放題の草をちゃちゃっと刈り込んで、安全対策課の人達に嫁タイガーを農耕地の真ん中に運んでもらった。一応この亡骸に魔法トラップを仕掛ける。モンスターが近づいたら自動で火柱が上がって攻撃する奴だ。もともとは補助魔法で味方を防御するためにかける物だけど、ためしに嫁タイガーに使ってみたら発動した。
おお。ルファラ、魔法の使い方に幅が出てすごい! 今までにない戦い方ができるぞ。
キメラタイガーはもともと他の獣を獲って食べてる猛獣との事だから、よほどの事でもない限り別の獣は近づいてきたりはしないだろう。
つまり魔法が発動すれば、まず間違いなく旦那タイガーが嫁タイガーの傍に戻ってきてるって事。
なるべく嫁タイガーを置いた所から離れないよう、近辺から捜査する事にした。
もう一頭のキメラタイガーが一向に見つからないまま時間が過ぎていく。
だんだん日が暮れてきた。この状況で捜索を続けようもんならいい餌食になるだけ。
町の入口の辺に陣取って、向こうがこっちに来るのを待つことになった。
本当は町を危険に晒すからやりたくない方法だ。
あたしと安全対策課のみなさんが守りを固める所のほかは、ありったけの魔獣避けの薬を撒いてもらってある。旦那タイガーが襲ってくるだろうルートを限定しておけば対応しやすいだろうって言ってた。
なるほど、確かにそうだね。いっつも敵地に乗り込んでたから防戦を考えた事なかったなぁ。
いろんな角度から見れるルファラのステージって面白いな。
完全に日が落ちてすっかり夜。
シル【来ませんねぇ】
アル【ああ。でも油断はできない】
町の入口にはバリケード作ってもらってるけど、安全対策課の人達だけじゃなくて町の人達は誰一人として安心してる様子はなかった。
バリケードの前で火を焚いて、用意してくれた携帯食料をもらった。
ふむふむ、普通のお味。ぱさぱさしてるから飲み物が必須だけど全然食べれる。
……うーん、本当にVRなんだろうか。これまでずっとみなさんを観察してたけど、どう考えてもプログラムされてるNPCとは違うんだよな……。でも魔法もPFOUと同じのが使えるし、メニューも開けるし。会話ログは残るし看板やモンスターにポップが出る。どうなってるんだろ。
シル【そう言えばキメラタイガーはどのくらい前から棲みついたんですか?】
アル【三年前だ。南東の耕作地で作業していた町人が襲われた。この辺は特に強い魔物が現れる事が無かったから、ランクA前後に分類されるキメラタイガーが現れた時はパニックになったんだ。以来こっちの農地は全部放棄された】
ツァ【それでもこの辺はまだマシな方ですよ。中央の方じゃ邪眼王の事があってから滅んだ国や都市がたくさんあるって言うんですから・・・】
シル【邪眼王? なんですそれ】
アル【何って・・・。十年以上前に現れて世界を混乱に陥れた男じゃないか。シルフィーさんは十五だろう?邪眼王の事を知らないのか?】
シル【えっとー、そのー・・・この社会から隔絶されてたと言うか、何と言うか・・・】
ツァ【でもその邪眼王も、今から七年前に魔王によって倒されたって話です。僕も人づてに聞いた話なのでどこまでが正しいのかわからないですけど】
ず、随分不安定な情勢だな、ルファラ。聞くからに悪者な邪眼王に続いて魔王の登場。超怖い。
クリア条件はやっぱ魔王を倒す事かな。でもこれだけじゃ悪いヤツなのか分かんないなぁ。
みなさんのお話に相槌を打ちながらお茶をすすってると、ごぉん!と農地の方で火柱が上がった。
あたしの仕掛けた魔法トラップだ!
さーさ、獲物がかかりましたよ。いよいよあたしの出番だね!
後方支援と町の防衛をお願いして、火柱の立った方へと走って向かった。




