22話:オウガ戦・急
「……マジか」
「オイ!今の妖術が一発でも当たれば確実に勝てる!打て打て!」
き、気が付いてないのか……?あんなに左腕が裂けそうなくらいにヒビが入ってるのに……?しかし気が付いてないなら好都合、俺の妖力もそろそろ呼吸回復が追い付かないくらいだ、ここからは……短期決戦だ!!!
「陽炎・影法師ッ!!!」
「またそれかッ!その下らん妖術もろとも……粉々にしてやるッ!!!」
オウガ。確かに俺の妖術はくだらないかもしれない。確かに小手先の技と言われればその通りさ。
けどな、だからこそ今の俺はお前に勝てるんだ。
「皇瓦・旋風で来いよッオウガァ!!!」
「言われずともッ!」
二発目の皇瓦・旋風。それは分身の俺を軽々と吹き飛ばし、ついでに地面もえぐり取られてた。一応命中はしなかったが影法師が全部吹き飛んだぞ!
けど分かった。やはりアレはヤツの身体には過ぎた代物!あのパワーにヤツの腕は耐えられていない!恐らく二発がギリ、三発打ったら確実に腕が粉々になるだろう!
「影法師が全部消えた!今だぶん殴れオウガ!!」
「これで終わりだ!皇瓦・旋風!!!」
「うおおっ一世一代の賭けだやってやる!」
なら俺がするのはコレ!俺の尻尾を地面に突き刺してからのカウンター気味の頭突きだよッ!!!
えっ何?!パワー足らなくて明らかに死ぬだろって?!ハッ!博打ってのは外れて痛い目見るからオモシレーんだよッ!!!
「馬鹿めそのままぶっ殺せオウガ!」
「来いやぁッ!!!」
あっすげぇ痛い……!頭と尻尾に妖力を1点集中してこの痛み!?
けどなぁ……ッ!それでも賭けは俺の勝ちだッ!!
「ぐぅ……ッ?!」
「どうしたよ!今更気が付いたのかぁ!?」
俺の頭突きを受けて、奴の左腕がボロボロと崩れていく。と言うか、放った時点で崩れ落ちかけていたのだ。
それは骨が見える程でもう二度と技はおろかただのパンチも打てないだろう。ようやく痛みが襲ってきたのかオウガの顔に脂汗が浮かび上がっていた。
「これは……ッ!そういう事か!」
「あぁオウガ。お前は強すぎたんだ。……その身を滅ぼす程にな」
「お、オウガ大丈夫か!?」「明らかに大丈夫じゃないよね」
ただ、これでコイツが戦意喪失するとは思えない。
となれば恐らくやってくる行為は……!
「ぬぅっ!!!」
「なっ、残った妖力を全部右腕に……!」
妖怪が生命活動をするのに必要な妖力すらも右腕に集め始めた。コレさえ打てれば後の事は考えない……と、言うことなのだろう。
「金華!どの道腕を1本失った時点で俺は死んだ様なものだ!」「そうだな」
「今から放つこの一撃は……俺の最期の一撃だと思え」「あぁ」
「《《受けれる物なら受けてみろっ》》!!金華ァ!!!!」
「やってやるよッオウガァ!!!!」
コレを言っちゃおしまいだろうが、この攻撃を避ければコイツは確実に死ぬ。
そもそもコイツの全力にコイツの身体が耐えられていないから自壊していくのだから。
けどよぉ〜。それを避けて勝ったって言える?心の底から完全勝利って言える~?
言える訳ねぇよなぁ!??!!?
相手の自滅を待ってハイ勝ちなんて下らねぇな!そんな勝利をするくらいなら負けた方がまだマシだ。
貪欲な程に勝ちへの向上心が無けりゃ強くはなれないんだよ!強くなりたきゃ完璧に勝つ!だろ?
「お姉さまの妖力も右腕に集まっていきますわ……」「互いにアレを打ったら妖力切れ状態になるね」「お、オウガ!せめてそこまで行ったら勝て!!!」
「コレが俺の……最期の技だ!『真・王我』ァッッッ!!!!」
「おらぁッ!!!!」
すげぇ威力の拳が俺の腕とぶつかり合う。ハイネとか衝撃波で吹っ飛びかけてんぞどんな威力だよ?
サラシで思い切り縛って補強しているとはいえ腕にヒビがビシビシと入っていくのを感じる。まだ折れてないだけ温情があるわ。
「あぁっお姉さま!」「良いぞオウガ!そのまま殴り抜けろーッ!!!」
「ぐぅ……ッ!」「この身が砕け朽ち果てようが……!貴様は確実にここで殺すッ!」
正直このままかち合えば俺の腕どころか全身が消し飛ぶだろう。
しかし何と言うか……、俺はコイツの拳が何故やたら強いのか分かった。今更?と思うかもだけどな。
コイツはパンチを打つ際、肘から妖力を勢いよく噴出している。それが拳を超加速させていると言う訳だ。それも今までは無意識的に行っていたんだろう、それがコイツの強さの種。
「言っておくが……お前に出来て、俺に出来ない事はねーんだよォッ!!!」
「何ッ狐火を自分に?!」
だったら俺も右肘に狐火を放ち、その勢いで拳を勢いよく加速させるッ!
若干ヤツの腕を押し込んだ感触があった……。なら更にもう一発俺の肘に狐火を叩き込んでやる!いいや何度でもだ!俺の腕がどうなろうが知った事かァ!
「コイツ……!」「うおぉぉぉっっっっっ砕けろよぉッ!!!!」
一瞬。
時が止まったのかと思うほどに、互いの拳が止まった。
「と、止まった……?」「違う、二人の拳の力が完全に均一だから一瞬止まって見えるだけ」
ま……まだ足りないか!
俺の右腕全てと妖術を撃てるだけの妖力を全部使って……!
「正直今のには驚いた……。だがしかし、その程度で俺との差が埋まるものか!!」
「クソォッ!!」
腕にヒビが更に入っていく。自分で焼いた肘なんかもうボロボロだ。狐火を打てる妖力も残っていない。今は俺とコイツのパンチの威力が同じだから止まってるが、オウガが少しでも妖力を回復したら即座に死ぬ。
「コレで……。俺は死ぬが……。俺の勝ちだッ!!」
コレで死ぬのか?俺は。
死ぬ……。いや、待て。俺にはまだ一つ奥の手が残っている!
「──まだ残ってるぞッ!!!」「何っ?!」
俺がサラシに注いでいた妖力!まだ残ってたコイツを俺の腕に戻して……ヒビ割れた肘から放出するッ!!!
「マズイッまだ妖力が」「うおおぉっっ貫けェーーーーッ!!!」
妖力の吹き出すまま、俺は腕を思いっきり振りぬいた。
振りぬいた先には、右腕どころか肩まで消し飛んだオウガの姿。
俺の右腕も完全にボロボロだが、俺は……まだ折れたとはいえ無事な左腕がある。
「……負けたか。俺は」
「……あぁ。──俺の勝ちだ」
倒れ付すオウガの顔はどこか穏やかだった。
まるでこうなる事を心の底から望んでいたみたいに。
するとぞろぞろと周りで見てた妖怪共が集まってきた。
「お、オイオウガの奴がやられたってよ」「どないする?」「今ならアイツらまとめて殺せるんじゃねーのか?」
ん……。な、なんか怪しい雲行きだな?
「所詮残ってるのはボロボロな奴らと戦闘出来ない奴らだ、消耗してる今が好機!」
「「「「「「「多勢に無勢だいっけぇぇぇぇぇぇ」」」」」」」
あっこいつら!俺とオウガの戦いを遠目で見てて今なら俺らを殺せるって判断したのか襲い掛かって来たぞ!
俺はほとんど使い物にならん左腕しか使えねーしマオは骨折、銀孤&ハイネは戦力外って言う最悪の状態!えぇいどうする!?
「……『白猫屏風』!」
「「「はわわっ」」」
あっ、銀孤がマオを直したみたいだな。どいつもこいつもなぎ倒していくわ。やっぱり強いなぁマオは。
台風くらいの風が吹いてるじゃん。すげぇ威力だな……。
「……。ボクさ、そう言うの嫌いなんだよね。横入りとかさ……。よくないよ」
「ってあれ!?腕折れたままじゃないマオ?!」
「大丈夫。折れた状態でも全然余裕。こんな雑魚くらい……。腕が折れてても余裕」
おぉ頼もしい。まぁ正直俺も一緒に戦うにしても右腕壊滅左腕が結構ボロボロ、オマケに妖力皆無だから無理ポって感じなんだよね。
「……奴らは、俺の霊魂を狙っているのだろう?」「ん、どうしたオウガ?」
「おいオウガ!お前もう死にかけてんだから喋んな!ソイツはお前をこうした本人なんだぞ!?」
「悪いガンマ。……最期の頼みなんだ」
なんだコイツ……。おぉっ?!ガンマに頼んで自分の胸を抉らせ始めたぞ?!心臓でも取り出すつもりか?
「来い、金華……。お前に渡さなきゃならない物がある」
──コレはオウガの霊魂……。こいつ、俺に霊魂を食わせようってか……?
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