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20話:オウガ戦・序


「おらぁっ!」


「うげぇっ」(ビチャビチャ


 快勝、4勝目!

 途中で絶対妨害が来ると思ってたんだけど何事もなく連戦(ストレート)勝ち!とは言えコイツらはオマケみたいなもん、戦いってのは……


『さ、さぁ色々ありましたが……快進撃もここまでだ!我らが頂点(チャンピオン)、オウガ選手の入場だーッ!!!!!』


 これからだろ?


「「「「「「うおおおおおおおッッッッッッッ!!!!!!オウガ!オウガ!!オウガ!!!」」」」」」


『オウガ選手の式は四十九式!これまでにここで殺してきた妖怪や人間の数は4桁を超える程!対して金華の式は十九式!ここまでは全てが前座!さぁ見せてくれオウガ!!!』


 オウガがやってくると同時にここを壊さんとする程の歓声が響く。俺は完全に悪役(ヒール)扱い。

 オウガが戦場(ステージ)に上がれば更なる歓声が湧き上がる。俺は完全に蚊帳の外。まぁ良いよ敵の本拠地だし。


「よっ。ようやく来たなオウガ」


「あぁ。……貴様はこの私が、闘技場(リング)の上で殺してやる」


 あっ、リングに上がったらキャラ変わるタイプの人なのね。

 まぁそのくらいは問題ないわ。よく見る奴だ。ナゴヤにも戦闘してない時はのほほんとしてるクセにいざ殺し合いとなれば死んだ目でブッ殺しに来る奴、いましたし。


「呼吸に揺らぎが無い。……ここまでのは前座にもならんってか?」


「そりゃそうだろ。アレで妖力を減らそうってんならもうちょっと式の高い妖怪を持ってくるべきだったな」


「そうか……。なら、この一瞬で貴様の妖力使わせてやる」


『さぁッ、試合鐘(ゴング)が鳴ったと同時にオウガ選手の正拳が金華に襲い掛かるッ!!!』


 あっコイツマジ……ンな事言ってる場合じゃねぇッ防御ッ!!!


「ぐぅっ……!!」


「ほぉ、よく防いだな」


『おっとォ!!!金華選手、オウガ選手のパンチ一発で腕にヒビが入っていますッ!やはりオウガ選手相手では分が悪いかッ!?』


「フゥ……ッ!ナメんじゃねーぞコラッ!」


 腕だけに妖力を注いで完全防御して……腕がへし折れる寸前だぞ?!確実に二度目は無いッ!

 だがまぁ相手は四十九式……、そのくらいなら妖力強化で普通にそれくらいやってくる……。普通なら!


「お前……妖力強化はどうした?」


「なんだそれは?」


 《《コイツは妖力強化を使っていない》》。


「……素でこの力と防御かよ……!」


 全力とは程遠いパンチの火力パワー、俺の反撃(カウンター)の一撃を防ぐことすらせずに受け止める防御力ガード……。そのどれもがコイツ自身の身体能力!


 素で俺の妖力強化状態を超えるってどういう事!?イカれてるのかコイツ!

 とは言え……相手が妖力強化を知らないなら、まだ勝てる余地はある。


『おっと?金華選手、突如サラシを取り出した!色仕掛けか?』


「するかッ!まぁよく見てろよオウガ」


 サラシを腕に巻きつけて~ヒビの入った腕を補強!そしてサラシに妖力を流し込めば……簡易的な布手袋(グラブ)の完成よ!

『ナカクニ』では鉄手菅(てっしゅかん)って言う武器があるんだけどな?それを疑似的に右手だけ再現した感じだ!


「ただ布を腕に巻いただけじゃないか!この私を虚仮コケにしているのか?!」


「まぁ見た目はな!──だが、食らって驚くんじゃねーぞッ!?」


『おっと!今度は金華が攻撃をするようだ!腕にサラシを巻いて何をしようと言うのか!?』


 オウガの言う通り強化したサラシを巻きつけただけ……。だがしかし!武器に妖力を纏わせ使う場合、当然肉体強化と武器強化で二種類の妖力を操作する事になる!

 その威力……ッ!


「私と同じ拳で来るか!ならば……その拳、正面から打ち砕いてくれるッ!」


「やってみろッ!」


 拳と拳がかち合う。さっきまでならば当然一方的に腕を壊されるだけだろうが……。この状態の俺の拳の火力はッ!


「……?!」


『な、何ィーーーーっ?!?!?!?金華選手の拳がオウガ選手の拳を上回った!?オウガ選手の腕に打撃痕がクッキリと撃ち込まれたぞッ!!!』


「ッ……!流石に無傷(ノーダメ)とはいかないが……!お前に打ち勝ったぞッ!」


 《《通常の拳の数倍の威力だ》》!


「どうだ!確かにお前は強いようだが……この状況なら俺の方が上だッ!」


 とは言え使う妖力もハンパじゃねぇ、本気で殴れて後三回ってところか……?

 しかし、それなら残りの三回の内でこいつを殺せばそれでいいッ!!!


「……小さな」「あ?」


「私よりも圧倒的に小さな妖怪が、それも女の妖怪が……。なぜそこまで強い?」


「妖怪ってのはよ、妖力で肉体強化をする事が出来るんだよ。お前はそれが出来てないんだ」


「そうか。……それは、こうやるのか?!」


 こ、コイツ!?ウソだろ俺だってコレを使うのに時間かかったんだぞ?!見ただけで再現するなッ!そしてこのパンチは確実にヤバい!食らったら俺の身体なんてなくなる!


 妖術は使用禁止だったか……。だが、使わざるを得ないッ!!!


「──『影法師(カゲボウシ)』ッ!!!」


「『殴駕(オウガ)』」


 俺が蜃気楼を発動し、分身を置いて即座に横っ飛びしてリングの外へ避難。

 その直後俺がいた場所にオウガの拳が突き刺さる。


 俺は驚く事しか出来なかったね。横を見てみたら《《会場に穴開いちゃってる》》んだもん。もちろん直線上にいた観客妖怪達は粉々に消し飛んでたよ。

 見てよホラ!天井に穴が開いてるんですけど!?すげぇ威力だ(小並感


「ん?……確かに殴った感覚はあったのだが……」


「お、おまっ!オウガッ!!!何観客を消し飛ばしてんだーーーッ!!!」


 あ、ガンマだ。やっぱりこの状況はアイツにとっても問題なのか。まぁ……そうよな。見てくださいよ観客が逃げ出していきますから。


『み、皆さん急いで逃げてくださいッ!巻き込まれて死んでも我々は責任を終えませんよッ!!!私も逃げますッ!』


「おいルールも無くなったな遂に!どうするよ!?」


「ん、……場外(リングアウト)か?」


「もうそれどころじゃねーだろ!ってなんだ、会場が揺れてるぞ?!」


「大変ですわお姉さま!今開いた穴でこの場所が崩れそうになっていますわ!」


「──え?!そんな事ある?!」


 と言うか銀孤はいつ俺の隣に来たの?あっヤバい天井がボロボロ崩れてきてる!

 本格的に試合どころじゃねーぞコレ!どのみち銀孤を取り返しに来るって目的は達成したし、逃げましょっか!


「待て貴様ッ!逃げる気か?!」


「バカ野郎この状態で何が出来る!?決着を付けるなら上でも出来る、逃げるぞッ!」


 みんな一目散に逃げまくる。俺ももちろん銀孤と一緒に逃げていく。

 ……なんか銀孤早くない?やまぁ……良いけどさ。そう言えば目も開いてたような……まぁ良いか。


 んで俺が脱出した直後に天井どころか全部が崩落、跡地には瓦礫の山だけが残る始末。トホホ、まぁあれだけの穴が開いたらそりゃ崩落もするか……


「お、オイオウガ!お前やってくれたな!?どうするんだコレ?!」


 しばらく呆然としてたら崩落したカジノの後からガンマを担いだオウガがやってきた。どうやら無事らしい。


「そうだったな。スマン」「スマンで済むかッ!俺が今までセコセコ十年もかけて貯めた妖力が飛んでいくぅ~!!!」


 あぁ確かに目に見えて妖力が飛んで行ってるな。どれどれちょっと吸収……。


「おーっすげぇ体が回復していく!」


 ちょっと吸っただけで腕のひび割れが回復していくぜ!とは言えこれでも式は上がらず……と。式ってどうやったら上昇するんだ?

 真面目に教えて欲しいんですけども。


「あっお前ッ!俺の回収して来た妖力を奪おうってか?!オウガ!やれっ!」


「ハイハイ……」


 っと、妖力を吸ってたら遂にブチ切れたガンマがオウガをけしかけて来たぞ。

 こうなったら本来見捨ててもいいはずだけどそれでも付き合ってる辺り何かあるのかなぁ?契約とかそう言う……。


 ま、どうでもいいか!


「もうこうなったらルールも何もねぇッ殺し合いだッオウガ!!」


「そうだな。正直に言って俺としても消化不良!ここで決着をつけるぞッ金華ァッ!!!」


 そう言って勢いよく戦闘態勢(ファイティングポーズ)を取るオウガ。ポーズをとっただけでガンマの奴が思いっきり吹っ飛んでいったけど大丈夫そ?

 まぁとにかく、俺は少しだけ呼吸を整えて……奴と同じように、ファイティングポーズをとった。


 コイツとの決着をつける為に。


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