8 会話?
チャリに積んだことが有る物が出てくると分かって
おっ母に感謝の気持ちが湧いた来た。
おっ母は一応車も運転できる。田舎では婆ちゃんだって軽トラに乗る。
ただ、あの辺には沈下橋が多い。生活道路と直結している。
地元の者は分かっているから譲り合って渡る。
問題は迷い込んだりナビで強引に渡ろうとする車だ。
狭い橋だから当然すれ違う事は出来ない。
いちいちバックさせられることを考えると
近場は自転車の方がいいか、ってなる。
おっ母は毎日の買い物は殆んどチャリだった。
それだけチャリに積んだ物も多い。
俺は中学は徒歩通学だからおっ母のチャリで出歩いてた。
チャリか釣り竿とゲームか?と聞かれれば何方を買って貰うか決まってる。
チャリは高校に入るまではおっ母ので我慢できる。
チャリが出してくれる物の検証も済んだので寝るのに必要な物を考える。
砂地に直に寝るのは避けたい。かといって大人用の布団は出せない。
「ブルーシート、出して」
出てきたシートを受け取りながら「サンキュ」とお礼を言う。
運動会や農作業の時弁当を食べるときに使うブルーシートを
砂の上に敷く。
後は幼児用の布団を敷いてベンチコートを掛けて寝れば何とかいけそうだ。
シートに胡坐をかいてさっき出して貰った弁当と
ペットボトルのお茶で晩飯にする。
弁当を食べていたら急に涙が込み上げてきた。
異世界に来ておっ母の弁当食べて・・・
一人ぼっちになってしまったんだと実感が湧いて来た・・・
その時 “チリリン” とチャリのベルが鳴った。
ビックリして顔を上げる。また“チリリン”と音がした。
傍に行って「お前、会話できるようになったのか?」
と聞くと“チリリン”と返事が返って来た。
ひょっとして色々出して貰った時にお礼を言っていたから
会話?が出来るようになったんだろうか。
「じゃあ、これからは ”はい”の時は一回 ”いいえ”の時は 二回鳴らして。
今のお願い分かったなら二回鳴らしてみて。」
分かったら二回ってのも変だけど確認したいからしょうがない。
“チリリン、チリリン”と二回返事が返って来た。
あっちの世界だったらチャリに話しかける変な少年だが
ここは異世界、なんでもアリだ。
話し相手が出来たようでちょっとだけ寂しさが紛れたような気がした。




