41 言わんこっちゃない
ーーー 雨だ ーーー
やっぱり雨じゃん。
それも結構な土砂降り。どうするんだ?
この雨の中、馬車で移動って雨漏りとかは大丈夫なんだろうか。ぬかるみに車輪を取られて立ち往生? 下手するとずぶ濡れになりながら馬車を押さないといけないとか?
風呂もろくに入れないこの世界、絶~対に 嫌だ!!
朝起きて雨音を聞いて一人憂鬱になる。
「和真だけならチャリの結界で濡れないけど馬車ごと結界張ると魔法がバレちゃうもんね」
リリィが心配してどうにか濡れない方法を考えてくれる。
「結界張ったとしてぬかるんだ道まではどうしようもないだろ?
チャリは魔法で進むから悪路なんて関係ないけど馬車はそうはいかないよね」
「そうよね・・・それにこの降り方だと雨だけじゃ済まないわね。
荒野で雷雨になんてなったら立ち往生だけじゃなくて死活問題よね」
「雷雨になる可能性高い?」
「ほぼ確実に・・・」
「もう一泊できないか護衛の人達と相談して来るよ」
「その方が賢明ね」
という事で起きて早々に着替え騎士たちが詰めている部屋に向かった。
ドアをノックして応対した騎士に事情を話すと部屋へと招き入れられた。
「我々も今その話をしていたんだ。それで ”今日雷雨になりそうだ”
というのはどの位の信憑性があるんだ?」
「ほぼ間違いないかと」
「どこから得られた情報だ」
「どこから…というか俺の経験上の勘でしかないんですけど…
今までほぼ外したことは有りません」
此処は嘘も方便。まさか元国宝級の水晶玉の予言とは言えない。
「・・・和真の経験か。まだ15歳だったか?」
「俺は15歳だけど父も祖父もそれなりの冒険者でしたから・・・」
ーーー 嘘も方便 ーーー 便利な言葉だ。
「そうか、 市長に確認してはみるが予定は一泊と伝えて有るからなぁ。
まあ御領主のお嬢様一行に嫌な顔をして断るなんて事は考えられないがな」
そう言って一人の騎士、この一行の代表を務めるザックさんが部屋を出て行った。
暫くして戻ったザックさんが市長代理の者とのやり取りを報告する。
「宿泊自体は全く問題ないそうだ。ただ、我々の為の食材が一泊分しか準備してなかった上にこの雨では街中の商店も営業するかどうかわからない状況らしい。よって食事はパンとスープ位の簡素な物になる事を了承して欲しいそうだ」
「そんな事は俺は気にしませんから皆さんとお嬢様次第ですね」
「我々も野営とかで慣れているからな。お嬢様も雷雨で危険な目に合う事を思えば不満があったとしても我慢されるだろう」
その後ザックさんがエリザベートさんに確認したが、流石に雷の中を馬車で移動する勇気は無かったようで市長宅にもう一日お世話のなる事が決まった。
しかし雨の日に全く知らない他人宅で過ごす事ほど暇を感じることは無い。
それもスマホのネット機能が使えないからネトゲも出来ない。
朝食後部屋に戻った俺は暫くゴロゴロしていたけれど
30分もすると暇を持て余した。
「リリィ、ちょっと屋敷内の散策にでも行こうかな」
「良いんじゃない? ロディの隠密魔法なら誰にも見られないし」
そっか、その手が有ったんだ、と
ロディに隠密魔法を発動して貰って廊下に出た。




