4 第一異世界人発見
釣りに夢中になっていて気付いた時には小学校低学年位の数人の子供が
バケツの中を覗いていた。
振り向いた俺に一番年長そうな子供が話しかけてきた。
「これ全部兄ちゃんが獲ったのか?」
おっ、ちゃんと言葉は理解できるぞ。
「ああ、俺が釣った魚だけど、なんていう魚か分かるか?」
「これ岩マスだろ。こんなに沢山町に売りに行くのか?」
「町で売ったら良い金になるのか?」
「なんだ兄ちゃん何にも知らないんだな。この魚は警戒心が強くて手づかみじゃあ滅多に取れない。それに岩場の陰にいるから網でも獲れない。それでもって美味いと来たらそりゃ高くても売れるってもんだぜ。」
生意気そうだがちゃんと教えてくれた。
「食いたいのか?」
「食べさせてくれるのか?!」
バケツを覗き込んでいたガキ全員が揃ってこっちを向いた。
「食べさせてやっても良いが条件がある。」
「なんだよ、金は持ってないぜ。」
「ガキから金なんて取らないよ。
俺ここに来たばかりでこの辺の事はとんと分からないんだ。
だから食べながら色々教えてほしいんだ。
町の事とか、この辺の危険な動物の事とか。」
「なんだ、そんな事で良いのか?いくらでも教えてやるから
こいつらみんなでご馳走になって良いか?」
「ああ。その代わり薪を集めたり魚刺す串の代わりになる小枝探して来てくれ。」
「よっしゃ、おいお前ら聞いただろ。木の枝とか燃えそうなもの集めるぞ。」
ガキンチョたちは ばらばらっと散っていった。
安請け合いしたけどどうやって火をおこす?
マッチやライターなんて持ってないぞ、と考えながら河原の石で囲って
簡易竈を作っていると第一陣が小枝を集めて戻って来た。
手慣れているようで下に枯れ草を敷き上に小枝を重ねていく。
そして・・・一人の女の子が手をかざし何か唱え・・・
火が付いた
「!!!」
「なんだ!今の何どうやったんだ?!」
女の子は一瞬ビクッと目を見開いたが小さい声で
「魔法」
と一言呟いた。
それを見ていた近くの子供が寄ってきて
「なんだ魔法、知らないのか?」
と逆に聞いてきた。
「魔法は知ってるけど、皆使えるのか?」
「赤ん坊の頃は無理だけど、大きくなってきたら何かの魔法が
使えるようになるよ。たまに何にも出来ないのもいるけど。」
「・・・」
俺って落ちこぼれなのか?
それとも何年かしたら使えるようになるのか?
まあこれ以上聞いてもその話は解決しそうにないので
気を取り直して魚の下ごしらえを始める。
小物ケースからサバイバルナイフを取り出し内臓を取り出す。
まあエラはこのままでいいか。しかし塩は欠かせないよなと思い
チャリに近づき小声で話す。
「塩、欲しいんだけど・・・」
するとかごの中にいつもおっ母が買ってくる五キロ入りの塩の袋が現れた。
「もっと小さいのない?」
5キロ入りの塩が消え食卓用瓶入り塩の詰め替え用小袋が現れた。
瓶入りの方じゃないんだ・・・
贅沢は言ってられない。塩の袋を持って魚を捌いたところに戻る。
二陣が太めの枝と串用の小枝を持って来たので小枝を受け取り
ナイフで先を尖らせていく。年長の子供が出来た串を器用に魚に刺していく。
刺した魚に指で摘まんだ塩をパラパラ振って見せると
見ていた子供が真似をして塩を振る。
分担して作業を終え熾した焚火の脇に串を立てていく。
「お前ら、手慣れてるな。いつも誰かに魚強請ってるのか?」
「うちで手伝いしなきゃ飯にありつけないんだよ。
”働かざる者食うべからず”ってこの辺りじゃ常識だぜ。」
異世界のガキンチョはシビアだった・・・




