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20 転移魔法


『リリィ、転移魔法が使える奴って存在するのか?!』

『存在しない物に対策は必要ないでしょ。転移魔法は存在するわよ』


『魔法が存在するのは知ってるよ。俺は異世界から転移して来たんだから。

俺が知りたいのはその魔法が使える奴が何処に居るかっていう事。

そいつに会えば俺が元いた世界に帰る方法が解るかもしれないだろ?』


『それは無理ね。私達精霊が使える転移魔法は私達が知っている

この世界内での移動だけ。

それも私達古参の精霊の中でもかなり経験豊富な熟練の高位精霊でなければ

生き物を転移させる事は出来ないわ。

人間がもし転移魔法を使うとなれば古代の魔法陣と膨大な魔力が必要でしょうね』


頭の中で煌めいた希望の光は一瞬のうちに消え去ってしまった・・・

自分がここに転移して来た時には

この世界の精霊でも想像もできない程の力が働いたのだろうか?

リリィに分からない事は自分が考えても答えは見つからないだろう。

これ以上考える事を放棄して暫く茫然自失としていた。


次の朝、そういえば温泉に行こうと思ってたんだっけ、と昨夜の事を思い出した。

落ち込んでいるよりも不思議が一杯なこの世界の事をもっと楽しもう。

何といっても強い味方が出来て心強い事この上ない!と前向きに考える事にした。


チャリと外に出ると思っていた通り草むらへと伸ばしたツルに

立派なカボチャが育っている。

普通なら花が咲いてから日にちを数えて食べごろを判断するらしい。

しかし昨日蒔いた種が今日実っていては日にちでどうこうという手は使えない。

売り物でもないのでひっくり返して爪を立ててみた。

硬い!食べごろだ・・・たぶん。

この世界でも地球の作物が育つことは分かった・・・が

成長速度が半端ない。


この世界の作物は全部そうなのか?

いや、そうだとしたら子供達が野生の芋を掘って昼飯代わりにはしないだろう。

単純に芋が好きだから…という事は無いだろう。


取りあえず食べごろであろうカボチャを収穫して

アイテムボックスに保管して貰う事にする。


サバイバルナイフでツルを切っていくが結構な量の南瓜が生っている。

家にいた時は農作業なんて”手伝いなさい!”って言われてもやらなかったのに

何で此処へ来てからは自主的どころか積極的にこんな事してるんだ?


ああ、ゲームや学校へ行っていた時間、持て余して何もする事が無いからか。

何かやっていないと余計な事考えて寂しくなりそうだ。

無意識にそうなる事を避けているのかもしれない。


作業を終えたらやっぱり汗だくだ。

チャリに跨りスマホを取り出した。

地図のアイコンを押して文字入力ウインドウに

”ゲーロ温泉までの道案内と到着時間表示”

と入力してみた。

間を置かずしてスマホから声が聞こえた。


「和真!あんた精霊使い荒すぎ。私みたいな優秀な精霊じゃなきゃ

こんな芸当出来ないからね!道案内は念話で直接チャリに指示するから

ハンドル操作の必要はないわ。

所用時間はお任せ走行で三十分もあれば着くんじゃないかしら」


「ありがとうリリィ。君がスマホに宿ってくれて本当に感謝しかないよ。

もちろんチャリも。この世界で二人に出会えた事が一番の幸運だよ」


「じゃあゲーロ温泉までよろしく」

チャリにそういった途端ペダルを回さなくても発進した上に

加速が半端ない。

息が出来るのが不思議なくらいだ。多分チャリの結界に守られているお陰だろう。

以前ワイバーンっぽいのに追いかけられた時以上のスピードだ。

新幹線にも匹敵するかもしれない。

魔道具化してるから車体がバラバラになる事は無いだろう・・・多分。


異世界の景色と言ってもゆっくり見入る暇も無いけれど

山あり谷あり川がありで地球との違いは良く分からない。

流石魔道具、人とぶつかる事も無く幾つかの集落を疾風のごとく駆け抜けて

リリィの案内通り約三十分で山間に在る一軒の建物の前にチャリが停まった。


すれ違う人は驚かなかったかって?

忘れて貰っては困るけど、チャリは隠蔽魔法も使えるのだ。

すれ違った人々は”今日は突風が凄かった”と思っているに違いない。



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