14 異世界の食肉事情
「いただきます。」
と言って焼肉定食を食べだしたけど
これってどっちかと言うと鳥の照り焼き定食?っていう感じだ。
肉が鳥っぽいうえに味付けが照り焼きチキンの甘辛醤油味そっくりだ。
「これって何の肉か分かる?」
目の前で夢中になって上手そうに食べているジルに聞いてみる。
「ブッシュダッグだよ。うちでも祭りの時なんか用に小屋で飼ってる。」
やっぱり鳥の肉なんだ。調味料も醤油っぽいものが有るんだろうな。
「祭りの時用?」
「うちは村長やってるから領主様の使いの人とかが偶に祭りを見に来るから
もてなし料理用に飼ってるんだ。
卵用の鳥は別に飼ってて、卵産まなくなったら食べるけど
元々食用じゃないから硬いんだ。」
そうか。家畜を飼う事は普通な事なんだ。
でも村長クラスでもなかなか肉料理にはありつけないのかな。
「鳥以外の肉は無いのか?」
「鳥は小さいし飼いやすいから良いけど他の動物は大きいし
暴れたりして大変なんだ。
エサだってたくさんいる。魔獣や動物を捕まえて食べる事はできるけど
そんな事冒険者とか貴族しか出来ないよ。
俺らはたまに罠とかしかけてピットラビットとか捕まえるけど
殆んど町で売っちゃうよ」
そうなんだ。食べた事なければ味も分からないからずっと食べなくても平気か。
でも俺は肉が好きだ。鶏肉もから揚げとか好きだけど、やっぱり焼肉は牛!豚!
ステーキやトンカツが良い。
そんな事を考えながら食事をしていたらちょっと手が空いたのか
ベティさんさんが寄って来て
「食べ終わってから時間が有るなら
少し話したいから昼休憩までそこの奥の部屋で待っててくれる?」
と話しかけてきた。
ジルが目を輝かせて俺を見るので“NO”とは言えない。
「わかった」と伝えると彼女はにっこりして厨房に入って行った。
食事を終えて立ち上がるとジルが案内するように前を歩く。
俺はちょっと思いついた事が有ったのでジルに
「ちょっとチャリのところに行ってくる」
と言って表に出た。
チャリは店の横の目立たない所に停めておいたが誰かが悪戯したり
持って行っていこうとしても阻止する術を持っているので安心だ。
でも用心に越したことは無いので周りに人気が無い事を確認してから
「クリかぼちゃ一個だして」
そうお願いしてチャリが出してくれた物を持って
待っていてくれたジルのところへ戻った。
ついて行った先の部屋は小上がりになっていて厚手の布が敷かれ
小休憩スペースの様で小さなテーブルが置かれている。
靴を脱いで敷物の上に胡坐をかいた。
「姉ちゃんは此処で寝泊まりしてるのか?」
「うん。二階の部屋を借りて生活してる。定食屋は年取った夫婦が料理するんで
姉ちゃんが接客してるんだ。」
「そうか。ジルはたまには会いに来るのか?」
「父ちゃんが町に用事がある時、たまに連れて来てくれるけど
仕事とかの邪魔になるからってあんまり会いにこれない。」
「ジルの姉弟は姉ちゃん一人だけ?」
「間にもう一人姉ちゃんがいるけど俺より一つ上なだけだから・・・」
「ああ、喧嘩ばっかりしてるんだな」
「何で分かるんだ?」
「俺も一緒」
「・・・お互い苦労するよな」
「・・・」




