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アマルナへの扉  作者: 田丸 彬禰


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ギザのピラミッド群とオリオン座の関係

エジプトのギザ台地に聳えるピラミッド群は、オリオン座の配置を模したもの。


某エジプト学者も加わっていかにも本当らしい理由を並べてそう語られているのに対し、真っ向からそれを否定する意見もあるその話。

今回はそれについてです。

ちなみに、私は当然後者の側に立つ者となります。


では、いってみましょう。


まず、その話は賛否両論のほぼすべてが星座とピラミッドの配置を比較してのものとなります。

ですが、私は星座については門外漢。

その議論に深く加わることができません。

ですので、星座に関するものを除いた部分からそれに対する意見を述べたいと思います。


このギザに聳える3つのピラミッドをあの位置にするのはクフ王の時代にはすでに決定されていた。

つまり、その発想はどんなに遅くてもクフ王のもの。

ギザのピラミッド群とオリオン座は深い関係があるという方々は皆そうおっしゃる。


だが、これはおかしい。

なぜなら、クフの次にエジプト王になったのはカフラーではなくジェドエフラーなのだから。

もし、クフがそのような形で3つのピラミッドを並べるつもりだったのなら、現在カフラーのピラミッドが建つ位置にあるのはジェドエフラーのピラミッドでなければならない。

だが、実際はどうかといえば、ジェドエフラーのピラミッドはギザから見て北に位置するアブラワシュにある。

どうしても、そう主張したいのなら、この問題を解決しなければならない。

これが私の意見。


これについて返ってきそうな答えはふたつ。


アブラワシュのピラミッドも、一応その説の構成要素となっている。


ジェドエフラーは当時としては異端の王であり、父王の計画に反対だったのでギザではなくアブラワシュに自らのピラミッドを建造した。

兄に代わって父の意志を引き継いだのがカフラーである。


ひとつめについては、そういうことであれば問題ないのかもしれませんが、それでも、そのようなプロジェクトが父王の時代に計画されていたのであれば、なぜジェドエフラーが重要位置を次代以降に譲ったのかという疑問は残ります。

そして、以前「消されたファラオ列伝」で取り上げたあのピラミッドをどのような位置づけにするのかという問題も出てきます。

なにしろ、あの未完成ピラミッドの主は最低でもカフラーとメンカウラーの間、場合によってはジェドエフラーとカフラーの間に即位していたのですから。

しかも、あれは未完成。

ピラミッド建造はそのようなプロジェクトであるのなら、なぜ完成させず放置したのかという当然の疑問も出ます。


ジェドエフラーが異端の王だというもうひとつの理由については、ハッキリ言って話にならんというレベルです。

父王のピラミッドの仕上げをおこなったのはジェドエフラーであるのは太陽の船を覆っていたブロックに残る労働者の落書きからもあきらかです。

更に、カフラーもメンカウラーもジェドエフラーが始めた多くのもの、たとえば、名前、そして、ピラミッドの下部を花崗岩で装飾する手法を引き継いでいるのを見れば、ジェドエフラーが異端ということは単なる妄想です。

特に名前に関して言えば、最後につくラーとは太陽神。

つまり、彼らは信仰していたのは太陽。

オリオン座を模したとされる根拠となる星辰信仰とはまったくの別物です。

現代の日本人には想像できないくらいに宗教に依存し、何を崇拝するかということが重要だった古代エジプトにおいて、その神の名を自らの名に含めるような王が別の信仰に関わる壮大なプロジェクトに与するのかという批判が出てもおかしくないです。


ただし、たとえ一ミリグラムも信用していなくても、話全部を否定するのはこの話の面白さからいってもったいない。

一応妥協案的なものをひとつ用意しました。


あれを思いついたのはクフではなくカフラーだった。


実はこうすると都合のよいことがたくさんあります。


ひとつめ。

ジェドエフラーの問題が一挙にクリアできる。

もちろんもうひとりについて依然問題は残りますが、力業でなかったことにする。


そして、もうひとつは、「王はそれぞれ別の墓地を用意する」というそれまでの暗黙の了解的な決まりをカフラーが破ったことに対する理由にもなる。


と、書いてはみましたが、やはり私はこちら側の人間にはなれないですね。

やはり。


ということで、今回は「ギザのピラミッドはオリオン座の星の位置を模した」という楽しい話について書いてみました。


この話に乗った某エジプト学者の真意はどこにあるのかはわかりませんが、少なくてもこの話を信じている方々は、例の消されたファラオどころか、ジェドエフラーという王がいたことも知らないのでしょうね。

「ジェドエフラー友の会」の会員としては非常に残念なことですが。


まあ、それぞれが信じたいものだけを信じても他人にはそれほど迷惑にはならない。

これが考古学のよいところなのかもしれません。

これはその際たる例かもしれません。

では。

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