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海底より愛をこめて....

ノーチラス号は快調なスピードで海底を進む。


遊斗「助かる...」


ツァン「海水を蒸留して飲み水にできるのね...この船...」


遊斗「ああ。問題は食糧と衣類だな。


余計な用がない限り、服は着ない方がいい。


着すぎて擦り切れたら話にならないからね。」


ツァン「い...嫌よ!


アンタの前で裸になれっていうの!?」


遊斗「もし現実になったら喜んで孕ませてやるよ☆」


ツァン「死ね!!!」


ボクのアッパーが顎を打ち抜いた...。




ノーチラス号が少し揺れる。


ツァン「え?なに?」


遊斗「恐らく...ノーチラス号を餌と間違えた何かだな?」



ライトを照らして辺りを観察すると...


遊斗「マッコウクジラだな...ちょっと感電させて追っ払うか...」


ノーチラス号のスパークスイッチをちょっと押すとマッコウクジラはビックリしてノーチラス号から逃げ去った...。


遊斗「船体の様子を見てくるよ。


ツァンは留守番してて。」


ツァン「え?置いてかないでよ...」


遊斗「あれ~?ひょっとして深海魚が怖いの~?」


ツァン「ち、違うわよ!!!」


遊斗は深海探索用のスーツに着替える。


遊斗「行ってくる。」


命綱を柱に括ると遊斗はノーチラス号から出た...。



ツァン「ひいっ!!!


やっぱ深海魚がキモいっ!!!!!」




*********




遊斗はノーチラス号の船体をくまなくチェックする。


遊斗「問題なし......!?」


突如、遊斗に向かって何かが体当たりしてきた。


抜群の選別眼で正体を推測する。


遊斗「ウバザメか...デカいなぁ...8メートルはある...だが!!!」


腰から銃を取り出す。


遊斗「ノーチラス号にぶつかったらツァンが危ない...よって、お宅を粛清する!!!」


銃を対象に向けて早打ちする!!!



それは大きく暴れまくると...力尽きて腹を上にした...。




*********


ツァン「おかえり。」


遊斗「ただいま...」


遊斗は笑顔で戻ってきた。



遊斗「いやぁ...デカい魚に会ったさ...」


ツァン「それより!聞いてよ!


さっきの電光で、あれが見えたの!!」


遊斗「?」


ツァン「古代遺跡よ!!!」


ツァンが指差した先には...海藻が住み着いた洞窟のようなものがあった...。



遊斗「行こう。」


ツァン「ボクも着いていくよ。


ボクが第一発見者だからね!!」


ノーチラス号を安全な場所に隠すとボクたちはスーツを着て洞窟の中に入った...。



*********


奥まで潜っていくと...いつの間にか浅瀬になっていた。



遊斗「何なんだ...?ここは?」


俺はスーツを脱ぐとツァンもスーツを脱いだ。


ちゃんと酸素がある...。


おまけに目の前には鉄製の扉があった。


遊斗「驚いた...こいつはエレベーターだ。


だいぶガタが来てるが起動できそうだな...。」


ツァン「...きゃっ!!」


ツァンの頭に水滴が落ち、彼女は跳びはねた。


遊斗「大丈夫か?」


ツァン「え、えぇ...」


遊斗「....よし!


クラッキング終了!


開くぜ。」


ツァン「ありがとう...」


俺はエレベーターの『↓』ボタンをタッチした。


鈍い音を立てて扉が開く...。



...が俺は異変に気が付いた。


遊斗「伏せてろ!」


キューを構え、打つ!!!


球は開きはじめた扉の隙間を走り、何かを切り裂いた。



遊斗「多分大丈夫だ。」


ツァン「本当...?」


扉が全部開いた時、エレベーターの中には...三人の裸の朽ち果てた男女の死体が転がっていた。



ツァン「(すごい入りにくいんですけど...)」


遊斗「入るぞ...」


ツァン「ボ...ボクはここでお留守番のワンちゃんになってるよ...」


遊斗「いいや、ついて来て欲しい。


また倒れるかもしれないからね。」


ツァン「...はーい」


俺は死体を踏み付け中に入ると、最下層のボタンを押した。




*********



ツァンはガクガクと膝を震わせていた。



遊斗「ツァン、死体のサンプルを。」


ツァン「...は?」


遊斗「死体の組織を俺に渡してほしいと言ってるんだ。」


遊斗は丁寧にナイフと試験管を渡した。


ツァン「...はい」


ツァンは足元にあった肉片の一部を切り取り、試験管に入れた。


ツァン「はい...って!!!


きゃあああああああああ!!!!!!」


なんと死体の中身から何か緑色の液体が出てきた。


ツァン「遊斗!!!遊斗!!!」


ツァンがパニックを起こす。


遊斗「ダメだ。このスピードではあと三分はかかるな...


その間にサンプルの研究を...」

遊斗は完全に考え事に集中していて声が届いていなかった....。

ツァン「いやあああああああ!!!」

液体がツァンに襲い掛かり、包み込んだ...。



遊斗「...なるほどな。


ここは海底都市って訳か...」


ツァン「...ピー、ガガーッ」


遊斗が振り向くと...何かに洗脳されたような顔をしたツァンが立っていた。


遊斗「...頭大丈夫か?」


ツァン「....おはようございます。



少しこの体を使わせてもらいます。」


遊斗「だ、誰だ!?」


???「自己紹介なんかどうでもいいです。


私の話を聞いていただけませんか?


あなたならきっとできる....」


遊斗「説明してもらおうか。


ここの人間は即席の調査の結果.......





地球人のどのDNAも合わないんだ。」


???「当たり前ですよ。

なぜなら私たちはあなたの知るDNAの知識では鑑定できる人間ではありませんから...」


遊斗「!?」


???「我々は『アトランティス人』。


あなたたちが乗ってきたノーチラス号...とは言ってもあれは大戦用なんですけどね?


それの設計を考案した人たちです。


私たちがここに住みはじめたのはちょうど紀元前。



ゼウスの怒りによって海に沈められたアトランティスの都市はなぜ見つからないか...



その理由は....



エレベーターが止まりましたね?


先に進みましょう。」

エレベーターを開けると、そこに広がっていたのは大きな未来都市だった。



ただ...


遊斗「誰も人がいない...」


???「アトランティスの都市は我々が破壊したからです。」


遊斗「何だって!?


じゃあ今俺らがいるこの場所って...」


???「はい、地球の裏側...すなわちダークサイドの世界です。


あなたたちは地球の裏側に飛ばされたようなのです...。」


遊斗「....」


あまりの急展開に遊斗は頬を掻いた。


???「アトランティス人は誰も寄り付けない...アトランティス人が設計したノーチラス号とそれに内蔵された海底調査用のスーツでしか入れないこの洞窟に美しい都市を作り上げました。



しかし.....」


遊斗「?」


???「この土地には我々アトランティス人にとって致死毒に値する気体が発生していたのです。


ですから...私たちは定期的に調整用プールに入らなければならなかった...。」


ツァンを乗っ取った何かは俯いた。


???「もう一つ話さなければならないことがあります...それは...」


遊斗はとっさにやって来た電磁剣を回避する。


攻撃した物の正体は3メートルはある巨人のロボットだった。


???「インターセプターAK3...私たちが造った、意志を持つロボット自警団です。」


遊斗は銃を抜くとロボットの頭を撃ち抜いた。


???「我々アトランティス人は自ら造った兵器により滅亡の道を歩みはじめたのです...!!」


遊斗「な...」


???「よそ見はしないで!自警団は私の推測では合計で4000体はいます!」


遊斗「可愛い娘ちゃんは下がってな!!


俺が奴らを全員粗大ごみにしてやる♪」


銃をしまうとキューを構える。


???「それはオレイカルコス製の...」




遊斗は襲い掛かる自警団を片っ端から棒術で殴り倒すとビリヤードで数体切り裂き、先端に手斧とナイフを連結してハルバートにする。


遊斗「かかってきな!

明日は燃えるごみの日だ!」



ハルバートを振り回し、インターセプターを切り裂き、押し潰す!



十分後には、粗大ごみの山が築かれていた。


???「お強い方ですね...その...一目惚れしました。」


遊斗「よしてくれよ...。


戦いに強い人間に惚れるだけならゴリラ顔の男にも惚れるのか~?」


???「な」


遊斗はケタケタと笑った。


遊斗「やっぱ女の子は面食いなんだな♪」


???「ち!違いますよ!!!」


ちょっと明るい雰囲気になったところで本題に戻る。


遊斗「で?君の正体は何だい?」


???「それは禁則事項です」


遊斗「やれやれ」


???「中央に綺麗な塔がありますね?


真っすぐ行ってください。」


遊斗「了解した♪」


遊斗は武器をしまうと走り出した...。


遊斗「外壁からは中に入れないのか?


電子ロックがかかっている。」


???「なぜですか?

普通にこじ開けれぱいいじゃないですか?」


遊斗「あるんだな?」


???「あそこにある監視棟の窓なら...」


ツァンを乗っ取った何かは塔の中央の窓を指差した。


遊斗「しっかり掴まってな!」


体にしがみつかせると遊斗は腕時計に仕込まれたフックショットを窓より少し上の壁に突き刺し、一気に引っ張られる勢いで窓を蹴破り侵入した。



???「かなり手荒いですね。」


遊斗「電池がもったいないからね」


???「!!!


何なんですか!?」


何かは振り返り、恐怖に戦いた。



そこには、まるで壁のようにびっしりと巨大な鉄の触手が犇めく光景が広がっていた...。


遊斗「下がってな!」


遊斗はその人を隠れさせると、戦闘体制に移った...。



キューをハルバートにして白兵戦に入る。


???「気をつけて!あの触手は鋼鉄すら難無く貫きます!!!」




死闘が始まった。


斧無双が触手を次々と切り裂いていく...。


全部潰す頃には遊斗の体はあちこちに切り傷ができて痛々しい姿になっていた。


遊斗「さぁて...次は...?」


???「ひいっ!!!」


ボロボロの体なのにその目は確かな殺意に満ち溢れていた...。


???「あの扉です...そこに答えはあります。」


遊斗「そうか...」


遊斗はふらつく足取りで扉まで歩くと...


遊斗「おらああああああ!!!!!」


拳で叩き破ってしまった...。



???「(華奢な体からはとてもじゃ想像できないパワー...あの扉...隕石がぶつかっても無傷になるよう設計されているのに...)」




*********


俺がたどり着いた所にはまたしても巨大な鉄の触手が蠢く地獄地帯だった。


しかしその中央には液体(恐らく調整液)で満たされた大きなカプセルがあり、中では美しい女の子が昏々と眠っていた。


???「よくぞここまで来てくれました。」


気がつくとツァンは倒れていて、声が直接頭の中に届く形となっていた。


???「私はここで何年も何年も待ち続けました...この事件を止めることができる人間を...」


遊斗「事件?」


???「紀元前...私はここ...アトランタ総合病院の難病患者として余命三ヶ月の中、静かに余生を送っていました。


私の手足の筋肉はほとんどなくなり、いつもベッドの上で読書ばかりしていました。


そんなある日...インターセプター自警団が何者かによるシステムのハッキングで暴走を始めました。


この病院も...例外ではありません。


大砲による砲撃で私は瀕死の重傷を負い、集中治療室に送られました。


しかし...次に私が目を覚ました時、私にとってはつらすぎる都市がありました。



調整液に入ることができず毒によって汚染され朽ち果てた私の仲間...抵抗を続けたり、赤ちゃんを抱え命乞いする人間を虐待するインターセプター...




私はそれをただ泣きながら見守るしかできませんでした...。


もう...お分かりですね?


そう、私の正体はあなたの目に映る...」



カプセルの中の少女が目を開け微笑んだ。


???「私です。」



遊斗はツァンを安全な場所に寝かせると腰から二丁銃を取り出し構える。



???「最期のお願いです...。


私の体はシステム中枢と一つになり、この都市のロボットを暴走させています。


このまま野放しにしていたらこのロボットたちは地上に飛び出し暴走してしまいます!



これが私がアトランティス人たちを助けるためにできる最初で最期の抵抗です。





...システム中枢を破壊して下さい。」





*********



ツァンが目を開けるとそこでは死闘が繰り広げられていた。


襲い来る触手をかわし、それに飛び乗るとカプセルに入った少女目掛けて二丁銃を発砲する。


しかし、大量の触手に行く手を阻まれて攻撃は届かなかった。


さらに接近する触手はビリヤードのキューで殴り潰す。



...一見優勢に見えてるけど...遊斗は満身創痍だった。


持久戦に持ち込まれてかなり動きは鈍っていた。


ツァン「私にも何かできないかな...?」


ツァンが考えに考え...見つけた。


ツァン「きっとどこかにこのマシンと繋がるコードがあるはず...それさえ切断できれば...!」


ツァンは芋虫みたいに這って辺りを伺い...



ツァン「あった!


あれをさっき遊斗からもらったナイフで...!!」



が!触手に見つかった。


触手は高速でツァンに迫った。



ジ・エンド....




が、急いでやって来た遊斗のキューによってそれは殴り倒された。


遊斗「ツァン!勝手な真似はよせ!


今俺は大嫌いな病院に行かされそうになってんだからな!」



ツァン「じゃあ...あの触手に処方箋でも渡しますか?」


遊斗は一瞬驚いたが...ウインクした。


遊斗「医薬品の運送手伝いはお任せを♪」


遊斗はツァンを防衛する作戦に変更した。


遊斗はビリヤードの光球を高速で跳ね回らせる荒業を披露する。


遊斗「急げ!!!」


ツァンは大急ぎで走り、手に持ったナイフを....


ツァン「喰らえ~!!!!」


コードに突き刺した。



触手は突然の故障にパニックを起こした。


その隙を遊斗は逃さなかった。


キューを真っすぐに構え、そこに己が今放てる全力を光球に込めて撃つ!!!




光球は真っすぐ、でも大きく拡散して少女をカプセルごと蒸発...させずカプセルと、少女をカプセル内で拘束するワイヤーと体に接続されたいた鉄線のみを焼き切った。



少女がバランスを崩して前のめりになって倒れて落下して....走ってきた遊斗に抱き留められた。



???「(あぁ...やっぱり私はみんなの所には行けないんですね...)」



*********




遊斗とツァンは崩壊してゆく都市の中を駆ける。


その背に眠る少女を抱えて...。




エレベーターを使い、その様を眺める。


ツァン「人間たちが憧れたアトランティスの文明...それはもう荒れ果てていたのね...。」


遊斗「未来永劫続く世界は存在しない...いくら高度な文明を持っていたアトランティス人をもってしてもその摂理に逆らうことはできなかったんだ...。」



洞窟まで戻ると遊斗たちは急いでノーチラス号を近くまで寄せると少女を乗せて脱出した...。




間もなく、洞窟は爆発し藻屑となって消えた......。




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