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天女の笑顔  作者: 時宮のシロ


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第6話 お母さんの笑顔

 男性の若々しい笑い声と、──弾けるような少女の声が響く、夜のリビング。


 少女はソファに寝そべる兄の隣に座り、兄に負けじと父親を笑わせている。

 父親は一人掛けの椅子に体を沈め、目を細めて子どもたちの話を聞いている。



 母親は隣室で、いつものように机に向かっている。


 母親の机には、デザインペーパーとはさみ、テープ、そして額縁が乗っている。

 母親は器用にはさみを動かし、台紙を作っていく。


 リビングから届く賑やかな声に、ゆっくりと顔をあげる母親。


 机に視線を戻し、何枚もの家族写真を、コラージュした額縁に並べていく。

 母親は、新しい写真を手にする度に、イタズラっぽく目を光らせて笑い出す。



【家族写真】


 笑顔を作った少女と、真顔の兄、穏やかな笑顔の父親。

 笑顔を作った少女と、しかめっ面の兄、穏やかな笑顔の父親。

 兄に向かって目を釣り上げて怒る少女と、大笑いする兄、顔をほころばせて子どもたちを見守る父親。


 笑顔を作った少女と、優しそうに笑う兄、笑顔の父親。

 真顔になった少女と、優しそうに笑う兄、笑顔の父親。


 笑顔を作った少女と、小さく微笑む兄、穏やかな笑顔の父親。


 顔をクシャクシャにして笑う兄と、驚きで笑顔が崩れる父親。

 ──勝気に目を光らせ、美しく微笑む少女。


 同じ顔で目を丸くした兄と父親の笑顔。

 ──二人の間で無邪気に笑う少女。



 完成した、家族写真が並ぶ額縁。

 持ち上げて見つめる母親の表情が、柔らかく光る。


 母親は両目に光と優しさを宿し、──写真に向けて、花がほころぶような笑顔を向けた。

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