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夏休み②

夏祭りが終わり、綾女とお別れの日がやってきた。

綾女は、また革ジャンにフルフェイスのヘルメットをかぶり祖父母宅の玄関前に止めてあったバイクに跨った。

千夏はとても寂しい気持ちになったが、綾女は

「また年末帰ってくるから、寂しがらないで」

と言い残し祖父母宅を出発した。

千夏は綾女を見送った。


千夏が綾女を見送ると待ち構えていたのは夏休みの宿題だった。

千夏が明久だったころは宿題を最後にまとめてやるタイプだったため非常に宿題が溜まっていた。

普段温厚な川口先生だったが、宿題の量を見て千夏は鬼だと思った。

もちろん、千夏の中身は元サラリーマンの男なので小学校一年生の内容は全然簡単であったが、量が多いので手が非常に疲れた。

千夏は始業式に間に合うように大急ぎで宿題の山を片付けようとした。

だが、そんな千夏を誘惑する物が非常に千夏の家にはあった。

一つ目は、テレビである。

千夏は明久だったころから深夜アニメが大好きだったのでよく録画してみていた。

普通の家庭なら小学校一年生の女の子が観てはいけないようなアニメを観ていたら親が止めると思うが、千夏の両親は非常に千夏を甘やかしていたため全然お咎めがなかった。

二つ目は、ラジオである。

これも明久だったころからよく聴いており国内のAMラジオ局やFMラジオ局はもちろんのこと、国外の短波ラジオ局もよく聴いていた。

千夏になってからもその習慣は変わっておらず、家の中の押し入れに合った千夏の父が昔聴いていたBCLラジオを見つけて使っている。


千夏はテレビやラジオが好きなため宿題をしながら観たり聴いていたりしたためなかなか進まなかった。

そうこうしているうちに夏休みの最終日になってしまった。

夏休みの絵日記という宿題ではテレビやラジオの事ももちろんかいた。

千夏の手は非常に疲れていたが、なんとか宿題の山を片付けることが出来た。

すると、千夏は疲れからか机に突っ伏して寝てしまっていた。

そんな彼女を見た千夏の母は千夏に毛布を掛けてあげた。


千夏が気付くとテレビでは某番組で座布団をかけた大喜利のコーナーがやっていた。

千夏は中身が元サラリーマンの男なのでこのコーナーは毎週欠かさずに見ていた。

その中でも特に司会者を罵倒する回答がお気に入りだった。

司会者を罵倒する回答をした回答者が座布団を全没収されたり、座布団運びを罵倒した回答者が押されて没収されたりするシーンがありとても千夏は笑った。


そんなこんなで千夏にとって小学校生活最初の夏休みは幕を閉じたのであった。


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