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転生したら鳥でした   作者: 小鳥遊あそぶ
3/3

能力の整理

 しばらく移動していると、木の幹に穴が開いている所を発見した。


(何も無さそうだな)

  

 幹の中は逃げ道は無いし怖いが、外にいるよりは安全だろう。

 

 ヒナの足ではどの捕食者からも逃げるのは困難だ。

 

 それに日も暮れ始め夜も近そうだ、これ以上外を彷徨うのは危険だ。

 

(入るか)


 意を決して、穴の中に潜り込む。


(悪くないな!)


 居心地いいし、外に居た時の恐怖も和らいだ。

 

 しかし、安全とは言えない。


 気を落ち着かせ、


(ひとまず今日の出来事を確認しよう)


 忘れていたが今日は転生初日だ。


 そう、俺は転生したんだよな?


 何故だろう、人として生きた記憶に実感が持てない。


 記憶はある。しかし、


 名前が思い出せないのだ。


 若い頃の自分を思い出せない、それに似た虚しさを感じる……。

 

 悩んでいても仕方ない、大切なのは今だ! 俺は無理矢理、気を改め、ここまでの事を整理する。

 

 今の所、脅威に思う生物はスモッグスネークだけだったが。森の中には、まだ沢山の生き物がいるのは間違い無い。


 探索は必須だ、明日にでも始める必要がある。

 

 理由は簡単だ、俺は強く成らなければいけない、そしてこの世界はファンタジーでステータスとレベルが存在する。レベルを上げる方法を見付け、実行する必要があるのだ。

 

 俺には前世の記憶がある。正直、コソコソしながら虫を食えば、生きながらえる事も可能な気がする。鑑定も有るしな。しかし、兄弟を犠牲にしてここまで逃げてきたのだ。あのサイコパス野郎を倒さなければ人間の俺が許さないだろう。


(魔王の因子か……)

 

 一つ気がかりな点も存在するが。これは人間としての尊厳も関わっている、余計な事は考えず、維持を通すしか今の俺には生きる道が無い。

 

 レベルを上げ兄弟の敵を取る。これが今の目標で生きる理由だ。その為には先ず、自分自身の能力を理解する必要がある。


(ステータス!)


 心の中でステータスと念じる


ステータス

レベル:1/10 ランク:G

名前:無し 種族:エアバードのヒナ(鳥) 

属性:無し 技能:鑑定、地形把握

特性:進化選別


 目の前にステータス画面が現れる。

 

 改めて確認するとモニターを見ているみたいだな。


(ステータスに関して、詳細な情報は得られないのか?)


 俺はステータスの文字に意識を向ける


ステータスとは

 ステータスは物に宿る魔力の個性です。魔力には属性、技能、特性、三つの個性があります。


(なんだ、説明っぽいのが出てきたぞ!)


 しかし、これはいい発見だ、他のも確認してもみよう。


種族とは

 種族は世界に与えられた役割(職業)であり、基礎能力レベル及びランク(階位)の基盤でもあります。


 種族、レベル、ランクは同一の物で、基礎能力の元になるものらしい。


(良くわからんが、使って行けば理解するだろう)。


名前とは

 名前には本名と真名があります。本名は魔力的盟約の無いもので、ただの名称に過ぎません。しかし、真名には魔力的盟約を帯、個性としてステータスに記載されます。真名を与えられた者は、その名付け親と盟約を結ぶ事に成ります。



 名前も俺が考えていたのと、少し違うようだ。本名は地球と変わらないだろうが、真名はファンタジーの匂いがする、意識しとく必要があるだろう。

 

(次は能力だな)。


 属性、技能、特性。これらは戦いに必要になるだろう。


属性とは

 属性は魔法を使う上で必要な性質です。魔力を属性化させ、その属性に沿った能力を行使出来ます。


技能とは

 技能は魔力に刻まれた特技で、本能と呼ばれる場合も有ります。


特性とは

 特性は魂の本質で、成長に大きく関わります。


 俺の感覚で考えれば、属性が魔法で、技能が超能力みたいなものか? 

 

 特性は成長に関わるものか……。


 説明がかなり不十分な気がする。


(先に俺の能力を確認しとくか)


鑑定とは

 鑑定は魔力の本質を見抜く能力です。


(えっ、それだけ?)

 

 いやいやいや、短いだろ! さっきから思っていたが、説明が大雑把だぞ。


『技能は使用者の基礎能力に大きく影響されます!』


 目の前に言い訳が記載された。


(俺のせいかよ)

 

 能力も持っているでけでは使いこなせないってことか。

 

 でも確かにその実感はあった。

 

 ここに来るまで鑑定を使い続けたが。最初は余計なものも勝手に鑑定していたが、途中からは脅威と思えるものだけ鑑定していたのだ。

 

 ゲームのように使えば規定通りの結果が出るのではなく、感覚で使うものなのだろうか。

 

 俺が見ているステータスも、この世界のシステムではなく、俺の記憶に合わせて情報を視覚化させているだけの可能性がある。

 

『ステータスと呼ばれるシステムは存在しません』


(なんと! 鑑定さんは中々親切だな!)


『………………』


 何か自問自答してるみたいで悲しくなってきた。


 兎に角、今のように鑑定だけでは無く、思案し情報を整理する必要があるって事だな! 鑑定は使うと言うより集中するに近い、森の中を鑑定し続ければ俺の精神は直ぐに限界をむかえる可能性がある。コツと性質を把握する必要があるようだ。


(次だ!)


地形把握とは

 地形を覚える。

 

 ピピッ!

(だから短いって!)


 やべっ! 思わず鳴いてしまった。逃げ道が無いのだ、鳴かないように気をつけなければ。


(実感が持てない説明だ)


 巣のまでの道は復讐の為に覚えてはいる。しかし、地形を覚えると言われるほど明確な記憶ではないし、今後も歩く地図に成れる自身はない。


 これまでの情報を整理すると、ステータスに記載されている事自体、俺の魔法みたいなものだ。


 地形把握に意識を向ける。


(なんだ! 地図か!?)


 目の前に産まれた巣から此処までの地図が現れた。しかし、ステータスと重なり見えづらく、目眩がする。

 

 そして目に写るステータスと地図がブレ始め、俺はそのまま気を失った。

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