ヤマネコの話
「私は、世界中を旅していたので日本にも何度も来ているので、聖帝会直系の南斗組の組長さんとは、古い付き合いなんですよ。」
「ヤマネコさん。僕のことをずっと探してたの?でも、この前会った時は記憶がなかったんじゃ?」
「王子様、それについてはこれからお話しします。はじめまして、洸。私が王子様をこの『セカイ』にお連れしたヤマネコです。」
いきなり、呼び捨て!?ヤマネコは、顔は包帯で見えないけど、体系からして…10代後半…高校生くらいだと思うけど…。
「…はあ、どうも。星野洸です。」
「まずは、私のことからお話しします。私は、生まれてすぐに山に捨てられたんです。理由は、このちぐはぐな瞳のせいです…。」
「そうなの?酷い親だね…。綺麗なオッドアイなのに…。」
「洸。私は、あなたのことを好きになれそうです!…みんな、私の瞳を不気味がるんです。ですが、ここにいらっしゃる王子様も私の顔を初めて見た時…この瞳を綺麗だとおっしゃってくれたのです!」
「だって、ヤマネコさんの瞳、本当に綺麗だよ!ねえ、洸。」
「ありがとうございます、王子様!その言葉で…私はあと10年は戦えます!」
何と戦ってるんだ…?
「話を戻しますね。山に捨てられた私は、ヤマネコに育てられたのです。ですから、私はずっと山にいたので人を見たことがなかったので、自分がヤマネコだとずっと思っていたのです。それに、私は名前がないので自分を『ヤマネコ』と名乗っているのです。」
ヤマネコに育てられたって…。そんな話、普通は信じられないけど…この人が言うと本当にそうなんだと思ってしまう…。
「それで、ヤマネコさんは、どうして王子君をこの『セカイ』に連れて来たの?」
「それは…王子様の運命を変えるためです。」
「僕の運命?」
「王子様、あなたは、ご自分の本当のお名前を思い出してはなりません!」
「えええ!?だって、この前会った時は、名前を思い出せば元の姿に戻れるって言ったじゃないか!」
「あの時は、まだ脳みそがつぎはぎだらけで、記憶があやふやだったんです!それで、私は王子様の運命を変えるために、この『セカイ』にお連れしたんです。王子様あなたは、弾丸なのです…!」
王子君が弾丸…?そういえば、この前、怒門君の弾丸を見て何か思い出しかけてたよね…。
「…お父様にそんなことを言われたことがある気がする。僕が『弾丸』だって…。でも、僕は幼くて何のことだかさぱっりわからなかった。」
「王子様。あなたの中にはまだ秘めたる『チカラ』が眠っています。それが弾丸でいうところの火薬です。そして、あなた自身が弾丸で、銃の引き金を今まで握っていたのは、あなたのお兄様です。そして、その引き金を今まさに握っているのは、洸、あなたなのです!」
「ごめん。俺、よくわかんない…。何が言いたいの?」
「つまり、私は王子様の引き金を握るのは、王子様のお兄様でなく、別の者が良いと思い、王子様をこの『セカイ』にお連れしたのです。道具は、使う者によって利器にも凶器にもなりますから。」
「僕に眠る『チカラ』っていったい何なの?」
「それは、私の口からは恐れ多くて言えません。そして、あなたは、もう名前を思い出してはいけません!名前を思い出すことによって、あなたは元の14歳の肉体に戻り、秘めたる『チカラ』が目覚める可能性があります。その『チカラ』は、あなたの大切なものや、あなた自身を傷つけることになります…。」
「その…王子君の引き金を握るのは…俺なんかでいいの?」
「あの変態ブラコン王子よりは、洸の方がずっといいです!いや、洸がいいです!…そもそも私が王子様の引き金を握るつもりだったんですが、空の上からこの『セカイ』に来るために、ふくらまし粉を使って体を浮かせたんですが…量を間違えたみたいで、途中でふくらまし粉がきれて、真っ逆さまに落ちて…この様なんです。王子様とも途中ではぐれてしまって…。王子様は、無事に着地できたようですが…私は、頭が木端微塵に吹き飛んじゃって…。」
ふくらまし粉で空を飛ぶって…なんかの絵本で読んだことある。
「それで、私が落ちたのが偶然、聖帝会直系の南斗組の事務所だったので、そこで組長さんに事情を説明して、王子様を探してほしいとお願いしたんですが…。残った少ない脳みそだけで会話をしたので、上手く伝わらなかったせいで、お二人に手荒なことをしてしまったみたいで本当にすみませんでした!」
俺、殺されかけたからね…!
「それで、私とはぐれてしまった王子様を洸が拾ってくれて本当に助かりました!」
「そういえば、どうして僕の体が縮んでしまったの?記憶もあやふやだし…。」
「それは、私がわざとしたんです。体を縮め、記憶を奪うことで、あなたの『チカラ』が目覚めるのを抑えることができますから!」
お前が犯人か…!
「そんなに僕に眠る『チカラ』ってすごいものなの?」
「はい!だから、王子様…あなたは、本当の名前を思い出してはいけません!私があなたに新しい名前をさしあげます。」




