さるお方の正体
あれ?ヤクザとオカマの悲鳴が聞こえない?…逃げたのかな?王子君の光が消えはじめ、俺がゆっくりと目を開けると…。
「…残念だったな、お兄さん。」
えええええー!?二人とも無事ってどういうこと!?滅びの呪文だよ…バ●スだよ!!
「私達が、バ●ス対策をしてないとでも思ったの?裏社会の超科学研究所に依頼して、バ●スから目を守るための超強力サングラスを開発してもらったの!」
そういえば、二人ともいつの間にかサングラスしてる!
「ええええー!!そんなの反則だよー!!」
「…さあ、もうお前たちに勝ち目はない。その子をこっちに渡せば…お前の命だけは助けてやる!」
「いやだ…!!お前らに、王子君は渡さない!!…だいたい、どうして王子君を捕まえようとするんだ?」
「…お兄さんには、関係ない。俺たちはただ『さるお方』に命じられてやっているだけだ。」
「『さるお方』って誰なんだよ?」
「私達にも聞かされてないの。私達は、組長の命令で動いているだけ…。」
「命令されれば、こんな罪のない子どもを誰かもわかんないやつに渡すのかよ!お前ら最低だな…!あれだろ、この子を捕まえないと自分の身が危ないんだろ?」
その時、一発の弾丸が俺の右頬をかすめる…!
「…お前に何がわかるんだよ!」
「星野先生…。私が王子君の母親に変装した時にした話…あれ私のことなの。私の父はね、働きもせずに酒に溺れて…酔うと私の母を殴って…。酒を買うために借金して…。それで、まだ子どもだった私を借金の肩に人身売買組織に売ったの…。それからは、もう地獄だった…。そんな時に、日本の裏社会のトップに君臨する聖帝会が私が囚われていた人身売買組織を壊滅させてくれたの。聖帝会のおかげで私は自由の身になれたの…!」
「俺は、紛争地域で生まれて…毎日弾丸の飛び交う中を生きてきた…。いつ殺されるかわからない地獄の中にいた…。そんな時に、聖帝会が武力介入をして、紛争を締結させたんだ…。」
「だから、私達は、聖帝会に恩があるの…。私達は、聖帝会に義理を果たしたいだけなの!」
「…聖帝会のためなら命なんて惜しくないんだ!」
「二人とも…ごめんなさい!俺…二人にそんな過去があったなんて…知らなくて…勝手なこと言って。」
「星野先生。どうか、王子君を私達に渡してくれない?私は『さるお方』には直接会ったことはないけど、その人は、うちの組長の古くからの友人らしいの。うちの組長は、ヤクザだけど…根は本当に良い人なの。私は自由の身になった後、身寄りがなくて困っていた時に、うちの組長が私を引き取って今まで育ててくれたの…。そんな組長の友人なら絶対、悪い人じゃないと思うの。それに、もしもその人が王子君を…私が昔されていたことのような目的で必要としているなら、私が全力で阻止するから!私が命にかえても、王子君を守るから…!」
「…あのさ。何で、初めからその話をしなかったの?だって、あの晩、いきなりこの馬鹿ヤクザが現れて、発砲してきて!そんな危ない相手に子どもを渡せるわけないじゃん!!あきらかに人選ミスだろ!!」
「…誰が馬鹿だって?」
「ああ。それは、私も思った。たしかに、こんなあからさまにヤクザですって言ってるような人に子ども渡す人はいないわよね…。」
「そういえば、二人の名前は?」
「私達は、聖帝会に入る時に本名は捨てたから…今の名前は、私は蝶胡。こっちの馬鹿は、怒門君。」
「…だから、誰が馬鹿だって?」
「王子君、どうする?なんか、二人とも悪い人じゃなさそうだね。ヤクザだけど…。」
「何の目的で僕を必要としているのか、その『さるお方』に一度、会ってみないとわからないね…。僕、この人たちについて行ってみるよ。」
「あら、本当に?ありがとう、王子君!!安心して、『さるお方』がただの変態ショタコン野郎だったら、怒門君が撃ち殺してくれるから!」
「…俺が殺るのかよ!?」
「あの、じゃあ俺もついて行っていいですか?俺、王子君の一応保護者だし!」
「別にいいわよ。でも、先生。お仕事はいいの?」
「午後の授業は自習にします!」
「その必要はないですよ!」
突然、俺の目の前に…顔が包帯でぐるぐる巻きで、目だけが見えていて…その瞳は左右とも色が違っていて片方は黄色で、もう片方は青色で…。服装は、白いワイシャツに黒のズボンに、裸足…なんだか王子君に初めて会った時の服装みたい!な、謎の人物が現れた…!
この人って…王子君が、用具室で会ったっていう、王子君をこの『セカイ』に連れてきた変だけど良い人かな!?それに、蝶胡さんと怒門君が気を失って倒れてしまった…!?一体どうなってるの?
「あなたは…!僕をこの『セカイ』に連れてきた人!」
「そうです。王子様、私は…全てを思い出したのです!!私の名前は『ヤマネコ』。そして『さるお方』とは私のことです!」
『ええええええー!?』




