王子君は14歳
午後6時、ようやく今日やる仕事を全て終えて、これでやっと帰れる!そして、王子君を警察署に送って…。これで、王子君ともお別れだね…。ああーなんか、さみしいな…。いや、でも王子君はまだ幼稚園児だし、早く家族の元へ…本当の自分の家に帰りたいよね…。よし、王子君を保健室に迎えに行くか!
保健室に入る俺。
「王子君、お待たせー!」
「星野先生!大変です、王子君が…私が部屋を少し出ていた間に居なくなってしまって…!!」
「何ですって…!?」
「本当にすみません…!」
「今は、とにかく王子君を探しましょう!俺は、北校舎を探すので、南先生は、南校舎をお願いします!」
「…わかりました。他の先生方にも声をかけてきます!」
「王子君ー!!どこにいるのー?」
北校舎内を走り回る俺。教室一つ、一つを見て回るけど、王子君は見つからない…!王子君、どこ行っちゃたんだろ?まさか…また、あのヤクザに…さらわれちゃったとか!?
俺は、上へ上へと進み、ついに屋上まで来てしまった…。まさか、こんなところにいるはずないよね…。屋上は事故防止のために鍵がかかってるし…。でも、一応屋上のドアに手をかけると…鍵が開いてる!?ドアを開けて、屋上に飛び出す俺!そして、そこに…王子君がいた!
「王子君…!?どうして…こんなところにいるの!勝手にいなくなっちゃだめでしょ!それに、ここは立ち入り禁止だし…。てか、王子君、髪の色が変わってるじゃないか…!学校内では、髪の色変えちゃだめだって俺言ったよね!?」
夕焼け空を眺めていた王子君が、俺の方を振り返る。王子君の銀色の髪が赤い夕日に照らされて輝く…。
「…洸、約束を破ってごめんなさい。ここからなら、空に届くと思ったんだけど…だめみたいだね…。」
「王子君…。君は、いったい何者なの…?本当に…君の家は、空の上にあるの?」
「僕にもよくわからないんだ…記憶があいまいで…。洸、僕の年齢は、本当に14歳なんだよ!でも、昨日の夜、気づいたらあの公園にいて、体が縮んでしまっていて…!」
黒ずくめの組織に変な薬を飲まされたのかな…?
「僕が覚えていることは…僕は、みんなに『王子』と呼ばれていて…。空の上に住んでいて…。あと『め●ましジャンケン』があと少しで100ポイントに届きそうだったことしか覚えてないんだ…!」
ジャンケンのことは、覚えてなくてもいいんじゃない…?どんだけ、魚沼産コシヒカリ欲しかったんだよ!てか、空の上でもテレビ放送してるの!?
「それで、黒髪の状態だと、知能も幼稚園児に戻ってしまうみたいなんだ。でも、銀髪の今のこの状態でいることは、すごく体力を消耗するんだ…。」
「そうだったんだね…。てか、14歳ならどっちにしろ俺より年下じゃん!俺のクラスの子達と同い年くらいじゃん!何で、俺のこと呼び捨てなの!?」
「それは…僕が王子だからだよ。僕は、王子であってそれ以上でも、それ以下でもないからね…。」
お前は、どこぞのク●トロ・バジーナだよ!?
「それに、洸ってすごく良い名前だなって思って…!なんというか、響きが好きなんだ…!」
「そうなの…?」
「…洸。警察に行っても、僕の本当の家は見つからないよ…。だから…僕の本当の姿と記憶が戻るまで、僕を君のところに置いてもらえないだろうか?」
「…王子君、一人養うくらいの収入はあるけど…。でも、またあの怖いお兄さんがやって来たらどうするの?アイツ、馬鹿だけど…俺じゃ王子君を守りきれないよ…。」
「大丈夫だよ。またバ●スを使えばいい!」
「いや、今朝思いっきり寝てたじゃん!俺、おばあちゃんが来なかったら、殺されてたからね!」
「あれは、今朝ずっと銀髪バージョンだったから体力を消耗してしまったためだ…。だから、普段は黒髪バージョンで、体力を温存しておけば問題ないよ。」
「…うーん。警察行っても、家が空の上じゃ見つけようがないしね…。いいよ、家で一緒に暮らそう。」
「本当にいいの!?」
「いいよ。だってもう、どうしようもないじゃん…。」
「…ありがとう、洸!」
俺に抱き着く王子君!あああー!可愛い…!もう、よろこんでお世話をさせていただきます!!
「今日から、よろしくね王子君!…王子君?」
王子君は俺の胸の中で眠ってしまっていた…。あ、黒髪に戻ってる。
こうして、俺、星野洸(29歳)は、王子君(14歳)と一緒に暮らすことになったのだ。




