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男は悪魔を食った。  作者: 満たされたい心
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第19話 依頼主の決意。








 家の中の様子をレナに説明した。


 レナは。


 「・・そうですか。彼女は幸せな生活を望んでいるのですね。・・・しかし、それならどうして友達を追い返すようなことを?」


 この疑問に私は。


「・・おそらく壊されると思ったのだろう。・・よくあるだろう?心配した友達が余計なことをして壊されたという話。」


 レナは苦い顔をした。


 ・・・確かに、傍目から見ればそれはいけない事だが、当人にとっては大事な事。普通の幸せで生きるには安定した収入と住める場所。・・・・それだけさえあれば充分。


 しかし、このどれも持っていない者の気持ちは何だ?・・・将来どころか今も生きれるか分からない。


 最悪、犯罪に手を染めることもある。


 ・・・他人から見れば悪いことだが、そいつにとっては絶対に必要な事。悪いとか関係ない。生きるにはこれしかないのだと。



 話は逸れたが、そう言う意味では彼女の生活はある意味幸せを運んでいる。


 しかし、このまま放置すればどうなるか?あんな食生活をすれば、いつしか栄養バランスの崩壊で体を壊し、死んでしまう。


 ・・・それが彼女の幸せの結果なのか?こればかりは当人に聞かないと分からない。


 私は。


「・・・明日。友達に話す。その上で尋ねる。・・・このまま続けて良いのかを?」


 この提案にレナは。


「・・・残酷な事を言うのですね。」


 半ば責めるような眼差しをしていた。


 だが、仕方ない。騙していい流れにするよりも真実を告げて苦難の道を歩ませる。


 ・・その方がいいのだ。お互いの為にも。





 翌朝。


 レナは携帯に連絡した。


 しばらくすると依頼主が現われた。


「・・何か分ったと聞きましたが?・・一体にあの子に何が?」


 この質問に私は。


「・・率直に言うと。・・・彼女は薬に手を出している。」


 この言葉に依頼主は。


「!!く、薬って。・・・麻薬?」


 震える依頼主にレナは。


「・・それに近い物です。・・・どちらかというとアロマの一種です。・・しかし、効果は危険な物です。」


 この言葉に依頼主は。


「・・えっ?アロマ?・・・アロマって香りを楽しむ物でしょう?・・それが危険って。」


 この疑問に私は。


「・・・現状では窓から見た報告だが、その娘は幸せな家族生活を満喫している幻を見ている。・・おそらく、危険な薬物を手に入れてしまったかも。」


 この報告に依頼主はしばし考えて。


「・・・も、もしかして。・・あの香水が?・・・でも、そんな。・・・」


 あり得ることを口にしたが信じられない顔である。


 ・・・何しろ香水を嗅いだだけで幻覚に陥るなど魔術でも無い限り有り得ない。


 依頼主は。


「・・け、警察に連絡を・・」

 

 そう言って携帯を取りだしたが私は。


「・・・おすすめできないな。・・・こんな話をしても信じて貰えるかどうか。・・麻薬ならともかく。香水では信憑性がない。何しろ前例が無い。」


 現実を口にした。


 実際、警察が動くのは事件があったときだけ。


 ・・・それ以外では例え、予兆があったとしても本格的に動くことは無い。何しろ事件が起きていないからだ。


 勘違いやイタズラで通報する者が多いこの時代。


 ・・・市民の味方であり誰よりも信用しなければならない警察が`事件が起きていない`たったそれだけで出動を拒否するのだから。


 レナは。


「・・ご安心ください。こう言うときの為に私たちがおります。全ては神のお導きです。」


 神に祈った。


 私は。


「・・・だけど一つ問題がある。・・・彼女を助けたとしてもその後はどうする?両親は正気を失っていて戻してもあの状態ではまともな生活はできない。・・・確実に精神病院に送られる。・・・とすると一人になった彼女がこれからどう生活するのか?君は分るというのかね?」


 真剣に訪ねた。


 ・・・人を助けて後に幸せが来る。なんて都合は絶対に無い。


 世の中には助けなくてもいい人間というのはいる。


 ・・・例えるなら生きる為に盗みをする貧困者や裏取引をしなければ会社が倒産する経営者。・・・犯罪だと分っていても生きる為に手を染める者は必ずいる。


 彼女も同じだ。・・・いけないことだと自覚しても幸せな家族生活ができるのなら。


 依頼主は考えて。


「・・・・・だったら私があの子と暮らすわ。・・私は一人暮らしで両親はそれ相応に裕福だから多少のわがままは許してくれるわ。」


 これに対して私は。


「・・・分らないな。何故そこまでして彼女の事を?・・・ただの友達では?」


 この質問に依頼主は。


「・・・この街に来たとき私の家が裕福だからという理由で近づく奴らはいた。・・正直うんざりだった。結局は金しか考えていない連中に。・・・でもあの子だけは違う。・・私が図書室で勉強していたとき、よく問題が分らないから教えて聞いてきたの。最初は疑ったけど、だた純粋で素直な子だった。それから少しずつ仲良くなっていて、私が裕福だと知っても何一つ変わること無く接してきた。・・それだけよ。」


 懐かしそうに語った。


 ・・・そんな昔話みたいに語るなよ。高校生だろう?ほんの数日か数ヶ月じゃないのか?


 それを聞いたレナは。


「・・・な、なんて。・・・なんて純粋なのです。・・ここまでの話はフィクションしかないと思っていました。・・・わかりました。あなたのその思い。・・この私が必ず叶えて見せます。」


 そう言って依頼主の両手を握りしめた。


 依頼主は。


「・・・え。えぇ。・・・よろしくお願いします。」


 少しドギマギした返答である。


 ・・・どうやらウソではないようだ。もし、これが作り話ならレナの態度で更なる話をする。


 相手の心情を利用した人情話はいくらでもある。


 ・・・しかし、彼女はそうしなかった。しかも、握りしめられたときの表情は困惑の気味。・・どう答えたらいいか分らず短的に述べている。


 真実を話している可能性がある。


 私は。


「・・・もう一度だけ確認します。・・・これからやることは場合によっては犯罪に等しい行為です。・・・それでもやりますか?」


 真剣に質問した。


 ・・・薬物を使用していても他人の家に勝手に入り、家族間でやっていることを無理矢理終わらせる。


 警察は一切動かない。・・・捜査権限を持たない民間人が例え正しいことをしても犯罪になる。


 ・・・他人に対する思いやりが一切なくなった時代の象徴である。


 依頼主は。


「・・・あの子を救えるのなら。泥を被ります。」


 決死の顔である。


 私は。


「・・・了解した。・・・救う為の作戦を立てる。後は任せてくれ。」


 仕事人の顔をした。


 依頼主は一礼して去って行った。


 レナは。


「・・・それで?何か考えがあるのですか?」


 この質問に私は。


「・・・・・ふぅ~~。まずは幻覚作用の香り対策をするしかない。」


 そう言ってある店に向かった。




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