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過激派アジトに侵入①

いつもお読み下さり有難うございます!更新、大変遅くなり、申し訳ございません!m(__)m

出来るだけ次話も早く更新したいと思っております(>人<;)

晴一は財前を殴り放題だったが

彩世が近づくと晴一は退き、彩世に譲る。

この時ばかり、晴一も彩世も気持ちは同じなのか、互いの感情が手にとる様に分かった。

大切な者を傷つけられた怒り。


彩世は自身の指から血を出し、そこからコウモリを何匹も生み出す。これも彩世の能力の内の1つだ。彩世は自身の血で色々な物を生み出す事ができる。


無数のコウモリは色々な角度から財前の身体の血を吸い取る。それは、まるで死肉を食らう禿鷹(はげたか)が餌に集っているかの様だ。吸いこぼれて真っ赤な血がポトポトと畳を汚す。それだけでは、飽き足らず、血で作った矢を放ち財前の胸から背中を貫き、矢ごと後ろの障壁に縫い止めた。財前の身体は傀儡の様に前のめりに(くずお)れた。益々、財前からは赤い血が吹ぶき零れ落ち、座敷は血に染まる。

こんな残忍な事をしても、

彩世の怒りや焦燥は鎮まらない。


上坂の事を考えたら、こんな手緩い報復では気が済まない。もっと傷を負わさなければと怒りが込み上げた。

上坂の痛々しい外傷を見たら、サーッと血の気が引いて頭が真っ白になった。

あの華奢で温かな上坂の身体に傷をつけた事が許せない。

重症な上坂の身体を抱きしめて手を握り締めた時、温かだったその手が冷たくなっていき、上坂の勝ち気な綺麗な薄紅色の瞳がゆっくりと目を閉じてしまった時は胸がどうしようも無く締め付けられ、苦しくなった。

俺は上坂の為なら、幾らでも残酷になれる。


頼むから、死ぬんじゃねぇ。死ぬな...。




「晴、さっさと上坂の私物を探して、このアジトを攻落させるぞ。」今の彩世は鬼にでも邪にもなれそうなぐらいの気迫であった。

「ああ、うん。」晴一も憤っていたのだが、普段冷静な彩世の予想以上の憤怒具合に一緒になって怒っていた晴一ですら少し焦るのだった。


加賀の様に上坂を手術する事が出来ない己が恨めしい。これまで、これ程までに己の無力感を悟った事は無かった。


だが、何もしてやれる事はないと分かってはいても、一刻も早く上坂の下に行きたい。

容体を知りたい。そんなもどかしさが彩世の胸を締めるのであった。


気付きたくなかった上坂への気持ちを気付いたあの日、無意識に上坂の唇を奪いそうになってしまっていた。

未遂で終わった事にホッとした自分と心残りに思う自分がいて矛盾していた。


上坂への気持ちを自覚したところで俺は、

一族を担う者として、責任と義務がある。


子孫も残していかなければならない。只の人間で、しかも男となんか認めたくないし、許される筈がない。


俺はこの気持ちに蓋をする事に決めた。

だが、頭では理解していても感情や、身体が勝手に

上坂を求めて上坂の事を考え、目で追ってしまう。

上坂はあの日、俺が唇を奪いそうだった事をどう考えているのか?或いはあの日の事は無かった事にされているのだろうか?

無かった事にしたいと思う半面、無かった事にしたくないと言う矛盾した葛藤が生まれる。

気がつくと用も無いのに、上坂の後をつけ回していた。上坂に引かれている事は分かっている。

だけど仕様がない。上坂の小さな身体が視界に入る度背後から抱きしめてしまいたくて、たわいも無い話をしている時でも、その釣船草の花の様なピンクの唇を奪いたくなってしまっているのだ。


上坂を見る度、触れたくて、それを間違ってると思い上坂を避けると頭から上坂が離れない。


「ほんと、どうしろっつんだ!」気がつけばそう声に出して呟いていた。その声は酷く掠れた声をしていた。


重症だ。自分自身が信じられない。

嘗てそんな事があった事が無い。俺自身、大事な部分では冷静な方であるのに。


それから、今日に限って、上坂の帰りが遅い。上坂以外全員帰って来ていると言うのに。帰ってきていた各々(おのおの)も上坂を心配していた。

上坂を懸念するあまり、俺は家の外で様子を伺う。

何故かその時、偶々加賀と晴も付いてきていた。


日も暮れ街頭の明かりが目立つ頃、虫の知らせがやってくる。


彩世の頭に突然、麗の声が響き出す。

「彩世さん」

この声は上坂?どう言う事だ?

しかし、それ以降声は聞こえない。彩世の直感が警笛を鳴らす。何故か待っているだけでは駄目だ、上坂を探し出さなければと頭で考えるより、身体が動いていた。


彩世が後ろにいる2人を見ると晴一と加賀も彩世の異変に気付いたのか、近づいてる。

「行くぞ。」彩世の目配せに、加賀と晴が捕まってくる。

触れたものと一緒に瞬間移動出来る俺は加賀と晴を連れて上坂がいるであろうその場所まで移動する。


幸い上坂の声を聞いた場所が明瞭に分かった。


場所は、プラチナ学園とシェアハウスの中間辺りの道中だった。

だが、そこからの上坂の意識が感じられない。

近くに加賀の匂いのする、例のイヤリングが片方だけ転がっていた。ここで上坂は何者かに連れ去られたのだろう。


どうやら、血と涙の盟約の特質であるのか、上坂の意識があった場所までは、痕跡が分かる様になっているらしい。その証拠に、この道中までは難なく辿る事ができた。


それから暫くすると、又上坂の

声が響く。今度は掠れた、今にも途切れそうな声で俺を呼ぶ。その瞬間、どきりとする。上坂の居場所が分かったのはいいが掠れた声が頭から離れない。

上坂の安否が気になる。普段の元気な

上坂を知っているだけに、あんなに、心許ない掠れた声を聞いたのは初めてで、さらに俺の名を掠れた声で呼ばれグッと胸が締め付けられた。

彩世は、はやる気持ちを抑えて上坂が危ないと悟り、加賀と晴一で瞬間移動した。瞬間移動で来た場所は鬱蒼とした森の様な感じで倉庫の様なところだった。


ヴァンパイヤの香りがする。彩世等、温厚派は普段から、人の血も飲むが人の食べ物も食しており、人に近い匂いがするのだが、そうではなく、人の血を集めた様な濃厚な肉肉しい匂いがしてくる。

嗅いでいるだけで、クラクラする様な、彩世等の吸血衝動をあおり立てる様な香りだった。

間違いなく、過激派の住処だと悟った。


それに、上坂の血の香りが微かにした。その事に酷く動揺する。俺は血の匂いがした事で、上坂の身に降りかかった恐ろしい事を考えてしまったが、いや、上坂の死体が無い以上まだ上坂が死んではいないと正気に戻り、何とか冷静になる事ができた。


辺りを見回し、上坂を探す。上坂はここには居なかった。ここからは、上坂の匂いを辿るしかねぇ。上坂が居ない事に酷く心が乱れる。死んではいないがかなり危険な筈だ。


上坂を早く助け出さないといけない。


そして男だろうが、何だろうがあの

小さな身体をこの腕で強く抱きしめたいと思った。

「ここにも麗ちゃんは居ないね」

「ああ。」

「匂いはこっちの方向みたいだ。」そう晴一が北の方向に指を指す。

「行ってみるぞ。」そう言い向かった先には、石垣の塀に木製の門が構えられて、2人のヴァンパイヤが見張りとして立っていた。此方に気付く前に仕留め様と考え、彩世は自身の血で弓矢を作り出し、遠くから弓で2人のヴァンパイヤを目にも止まらぬ、鮮やかな手捌きで貫く。

あっという間に、過激派ヴァンパイヤ2人は意識を失い灰になり消えた。

ヴァンパイヤが死ぬ時は灰になって消えるのだ。


中は木や草花が丁寧に植えられており、脇には手水鉢ちょうずばち鹿威(ししおど)しが設置されて玄関へと続く足元には、飛び石が植えられその周りを白い砂利石で敷き詰められていた。


寝殿造りの様な立派な佇まいの日本家屋であり南に面して東西北にそれぞれ離れ屋があった。中門廊(離れにある細い廊下)にも先程と同じく見張りがいた。


先程同様に、彩世は弓でヴァンパイヤ達を心臓目掛けて射抜き倒していく。


加賀や晴一は彩世の様に血を操る事は出来ないので、接近戦で攻撃していく。


あまり、戦闘向きでは無い加賀の武器はフェロモンで人や動物(生き物であればなんでも思考を操作できる。催眠術の様なもの)を操作する事だが

フェロモン攻撃は、時間制限があり、15分しか持たない為、確実に仕留めたい時は、返って能力の無駄遣いになる。よって加賀よりも下級のヴァンパイヤを相手にする時は、

フェロモン能力は使わず、拳で勝負だった。

晴一はすばしっこく動き、その素早さを活かした戦闘法だ。敵の死角である

みぞおちに瞬時に潜り込み心臓に短剣を刺すと血が滲み灰になり消えていく。その鮮やかな捌きは、目にも止まらぬ速さだった。


3人の上級ヴァンパイヤは(いと)も簡単にこの過激派の手下達を撃ち落としていった。


奥に進むごとに段々と中級ヴァンパイヤや上級ヴァンパイヤが配置しており、徐々に戦闘力が高まっていった。とは言え

強豪な彩世、晴一、加賀にしたらお手の物であった。


本日も最後までお読み下さり有難うございました!

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