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宋飛10
本格的な冬になり、牢城内で疫病が広がり始めた。
これ以上の拡大を防ぐため、病人は隔離され、一箇所にまとめられた。
看守が感染を恐れて、病人の世話も囚人がやるようになった。
ある時、宋飛も高熱を発し、倒れ込んでしまった。
幸い丈夫な体のおかげか、大事には至らず落ち着いたものの、しばらく隔離は解けなかった。
その隔離された囚人の中に、明らかに異質な男が一人いた。
回復して暇を持て余した他の囚人から、さりげない会話で情報を集めて回っている男がいる。
その男の周りだけ、ここが牢内とは思えないほど笑い声に溢れていた。
しばらくすると、男が穏やかな笑みを浮かべながらこちらに近づいてくる。
「お前が、宋飛か?」
「あんたは?」
「俺は武逹という。辛い労役をものともしない男がいると聞いた」
「体を動かすことは好きなんだ。今はまだなんとかやっていけているだけさ」
「すごいやつだな。俺なんか1日で音を上げたよ」
武達と名乗った男は声を上げて笑った。
ふと、顔を近づけ声をひそめた。
「揚州軍の史令からお前に伝言がある」




