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一緒と隣と隣と上と下。  作者: 梅屋さくら
Story2 文化祭。
20/80

**ミノリノイエニテ。

ついたのはすごくボロい家。

ここがみのりが一人暮らしをしている場所だと言う。


ギシギシと軋む木の扉を開けると、少し懐かしい匂いがした。

ああ、おばあちゃん家の匂いだ……。


「おじゃましまーす……」

「ちょっと待って!? 片付けてくるから!」


私の中では女友達の家に遊びに来ただけ、でも、みのりからすれば男の子を部屋の中に入れると思っている。

そりゃあ緊張するだろうし、汚い部屋を見せたくないという恥ずかしさも感じるだろうと思ったので、私は素直に玄関で待った。

どうぞー、奥からみのりの声が聞こえたので、中に入る。


リビングはカーペットを敷いているが、窓には障子がある。

とてもアンバランスなインテリアだった。

この家には洋室というものがないようだから仕方がない。


「俺は軽く栄養バランス良いごはん作ってっから、みのりちゃんはベッドで横になってゆっくりしてて」


ちょっとは抵抗したが、私がだめと言うと渋々従った。

とりあえず由佑に教えてもらった栄養の良いおかずを作る。

冷凍庫には凍らせたご飯が入っていたので、それをレンジに入れた。


比較的早く作り終わった。なぜなら、簡単なものしか作っていないからだ。

白米にかぼちゃのみそ汁、おかずは大根の葉とじゃこをごま油で炒めた大根の葉ふりかけ。

少し苦めだが、おいしくごはんが食べられるのでふりかけを作った。


「みのりちゃん? ごはんできたから、早めの夕食食べちゃって」

「あ、ありがと……! もう帰った方が良いんじゃないの?」

「俺は大丈夫。ダッシュで帰ればぜんぜん行けるから! 安心して」


みのりは丁寧にいただきます、と言うと、黙々とごはんを口に運んだ。

箸の持ち方は綺麗で、姿勢も良かった。


「みのりちゃん姿勢も行儀も良いね」

「あたし、おばあちゃんに厳しく言われてて。『女の子は姿勢と行儀がいちばん』って。もうそのおばあちゃんも亡くなったけど……」


一気に暗い雰囲気になってしまったので、話題を選ばないとこの部屋全体が真っ暗な雰囲気に囲まれてしまうと思った。


みのりがゆっくりと食べていると、私の上に水が降ってきた。

初めは気のせいだと思ったが、私の目の前を水が猛ダッシュで通り抜けていった。


「ねえここさ……雨漏りしてない!?」

「え! 前直したんですけど……!」


私とみのりで動き回り、食器やバケツを水が出てくるところに置いた。

今雨が降っているわけでもないのに雨漏りしてしまうというのは重症だ。

ちゃんと工事の人を呼ぶように言うと、お金がどうしようもないと言われた。


「じゃあ俺のルームメイトとか呼んでくるね! んー、来週になっちゃうかもしれないけど大丈夫?」

「ルームメイトさんたちに迷惑かかんない?」

「うん、どーせあいつら暇だから!」


早めに言わないと、稜なんて特にめんどくさがりそうだ。


「俺早めにルームメイトたちに言うわ。もう落ち着いた?」

「うん、ごはんも美味しかった! ごめんね、ありがとう」

「じゃあ俺はもう帰るから、なんかあったらすぐに俺呼んで?

絶対すぐにここに来るから。頼ってな」


雨が止んだのを見てからみのりの家を出た。

出るときに感謝と謝罪の言葉を繰り返され、逆に申し訳ない気持ちになってしまった。

それにしてもかわいい女の子だなぁ、私はそう思った。


全力で走って帰ると、門限はギリギリ守れた。

部屋に入った瞬間、杜和が私のほうへ駆けてきた。


「おかえりーっ!」

「ただいま。あのさ……」


今日あったこと、みのりのことを話した後、本題である雨漏りについての話を持ちかけた。

もちろんすぐにオーケーを出してくれたので、明日由佑や夏帆にも手伝ってくれるように頼んでみようと思った。


もう寝ようかと思っている時、稜が部屋に入ってきた。

よっぽど心配して来てくれたようだった。

みのりの口調がため口になったり敬語になったりするのは、年上の衣良に対してため口で良いのかという戸惑いからです。

まじめで優しいみのりちゃん。

私のお気に入りです。。。

ちなみにみのりは中3。

中3でこんなに恋愛で悩むなんて大人ですよね。笑

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