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一緒と隣と隣と上と下。  作者: 梅屋さくら
Story2 文化祭。
21/80

**リョウカラノプレゼント。

「稜、ごめん。私は大丈夫だったよ」


私が耳元で囁くと、稜は私を手招きしながら出て行った。

ちょっと借りるな、口をぱくぱくさせて杜和に言った。


「いってらっしゃーい」


いつも通りにこにこしながら見送られ、走って稜について行こうとすると、ドアの前で待ってくれていた。

走らせたくなかったから。そんな思いやりが感じられた。

脚の長い稜について行き、上の階の彼の部屋に辿り着いた。

勝手に入って良いっぽかったので、小さい声で、おじゃまします、と言って入った。


「俺の部屋で待ってろ」


稜のベッドのある部屋で5分ほど待たされ、疲れたのでベッドに腰掛けた。


彼が手に持って来たのは女物らしいピンクや水色のワンピースなどなど。

私の隣にどさっと投げると、また別室に行って来て、今度はかわいらしい赤い靴を持って来て同じところに置いた。


「これって……私に?」

「お前もそろそろ女物のかわいい服? みたいの着たくなるだろ。

だから彼女とデートに行ってる間にちょっと遠出して買ってきた。

別に安もんだから金とか気にすんじゃねぇぞ」

「ありがとう。着替えてみて良い?」


すぐに稜は退室。私が久々にかわいい服を着る。

安もんだ、なんて言っていたが、生地はしっかりしているのが服に詳しくない私でさえ分かる。

きっとかなりのお値段だ。

でもそれで、これ高いんでしょ、とか言うのも馬鹿らしい。

せっかく気を遣ってくれたんだから、素直に甘えようと思った。


もう着替え終わったかー。ドアの向こうから稜の声が響く。

その頃私はワンピースの後ろにあるジッパーが閉められず苦しんでいた。


「ちょ、待って……。ジッパー届かないんだけど……」

「じゃあ入るな?」


え。戸惑っている間もなく、彼はこの部屋に入ってくる。

私をくるっと回してジッパーを優しく閉めてくれた。

途中、髪が挟まり痛かったが、それごとに謝ってくれた。

私がお礼を言うと、彼は照れ臭そうに下を向いて頬を掻いた。


「これも衣良に合うかなって思って買って来たんだけど、着けてくれるか?」

「わ、きれい……」


そう言って指にかけてあるものを私の前で揺らした。

それはきらきらと輝くパールとカラフルな花のぶら下がったネックレス。


「これ高くない? なんかどうみても高そうなんだけど」

「ん、ほんとに高くねぇから。花みてぇなお前に合うかなって思って。

つけてやっからちょっとこっち来い」


ぐいっと腕を引っ張られ、稜の顔がとても近くなる。

息を感じる距離のまま私の首元でネックレスを着ける彼は少し紅いようにみえる。

できた、そう言われて差し出された鏡を見ると、ネックレスはきらびやかなかわいいワンピースと艶のある靴をさらに引き立てていた。

でもなんか私には合わない気がしてならない。


「すごいかわいい! でも私には合ってないよ」

「これは俺がお前のために選んだんだから似合わないとは言わせねぇ。

つか、めっちゃかわいーんだけど」


何言っているんだ、この人は。

私を赤くさせるプロなのかと思うくらいドキドキさせるのが上手い。


私は見つめてくる綺麗な瞳の視線から逃れようと、


「もう部屋帰るね? ありがとう。またここに……着に来て良いかな……?」

「おう、また来い。なんも連絡しねぇで良いから」


稜のさりげない優しさがいつも以上に嬉しい。

私はゆっくりと部屋に帰り、少しの間その幸せの余韻に浸っていた。

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