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レベル-99の大佐が異世界転生したら、身体の耐久度が水に濡れたティッシュ並みだった件〜天才的な脳だけで生き残る〜  作者: ティラピア池
第4章 戦争の終わり、そして新たな冒険へ

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第33話 帰還の日、勝利の宴、そして五千枚の金貨

はじめましての方も、お馴染みの方も、お越しいただきありがとうございます!作者のティラピア池です。今日も皆様に楽しんでいただけるよう、気合を入れてお届けします!

翌日。


長きにわたる戦争が、ついに終わった。


何日もの間、緊張に包まれていた街には、少しずつ穏やかな空気が戻り始めていた。


遠くから、各地の戦場で戦っていた兵士たちが、次々と街へ戻ってくる。


一列、また一列と、兵士たちが大通りを歩いていく。


その多くは、まだ戦闘用の装備を身につけていた。


中には、それぞれの部隊の旗を持っている者もいる。


王国軍。


ヴァルテリス軍。


冒険者たち。


魔法部隊。


そして、各戦場に配置されていた部隊。


彼らは皆、帰ってきた。


そして――街は、彼らを待っていた。


街の正門が見え始めた、その時。


城壁の上から鐘の音が響き渡った。


「カーン! カーン! カーン!」


その音は、街中へと広がっていく。


数秒後。


「帰ってきたぞ!」


その叫び声に、別の声が重なった。


「俺たちの軍隊が帰ってきた!」


「勝ったんだ!」


「みんな帰ってきたぞ!」


普段なら商人たちで賑わう大通りは、今や人の海と化していた。


道の両側には、大勢の市民が集まっている。


子供たちは小さな旗を持ち、商人たちは仕事の手を止めている。


そして、家族が帰ってくるのを待っていた者たちも、道の両側に立っていた。


最初の兵士たちが門をくぐった瞬間――


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


大歓声が街を揺らした。


疲れ切った顔をしていた兵士たちは、ゆっくりと顔を上げる。


そして、その中には小さく笑う者もいた。


これほど大きな歓迎を受けるとは、誰も思っていなかったのだ。


街道のいたるところから、兵士たちへ花が投げられる。


建物と建物の間には、色とりどりの布が飾られていた。


さらに、王国や戦争に参加した貴族家の紋章まで、あちこちに掲げられている。


そして何より目立っていたのは、大通りの中央に建てられた巨大な門だった。


その上には、大きな文字でこう書かれている。


「戦士たちよ――おかえりなさい!」


一人の兵士が、その文字をしばらく見つめた。


「……本当に、帰ってきたんだな」


隣の仲間が、小さく笑う。


「そうだな。俺たちは、本当に帰ってきたんだ」


二人は再び歩き始めた。


街の奥へ進むほど、歓迎はさらに大きくなっていく。


あちこちで音楽が演奏されていた。


魔法使いたちは魔法を使い、空中に花びらを舞わせている。


子供たちは旗を振りながら、兵士たちの列について走っていた。


「英雄だ!」


「英雄だ!」


「英雄だ!」


その声は、いつまでも響き続ける。


しかし、その歓声の中で、黙ったまま街を見つめる兵士たちもいた。


家族。


子供たち。


そして、戦争の間ずっと遠くから彼らを待ち続けていた人々。


一人の兵士が、拳を強く握った。


「……俺たちが耐え抜いたからこそ、今、この景色があるんだ」


隣の兵士が頷く。


「それと……俺たちと一緒に帰れなかった人たちのおかげでもある」


二人の笑顔が、少しだけ消えた。


だが、その数秒後には再び市民の歓声が響き渡る。


それは、戦場で散った者たちを忘れるためではない。


今、生きて帰ってきた者たちを迎えるためだった。


その長い列の後方。


一台の馬車が、ゆっくりと街へ入っていく。


その中には、アラリックたちが乗っていた。


アラリックは窓のカーテンを開ける。


そして――


「…………」


言葉を失った。


外には、すぐには数え切れないほどの人々がいる。


道路は人で埋め尽くされていた。


建物は装飾され、花びらが空を舞っている。


様々な方向から音楽が聞こえてくる。


そして、兵士たちを歓迎するための料理まで、あちこちの店で用意されていた。


アラリックは眉を上げる。


……これは、ただの帰還祝いじゃない。


もはや国家規模の祭りじゃないか。


隣に座っていたアヤも、窓の外を見る。


そして、その視線が一つの長いテーブルで止まった。


そこには大量の料理が並べられている。


焼いた肉。


温かいスープ。


パン。


果物。


そして、アラリックですら知らない料理まで並んでいた。


アヤがテーブルを指差す。


「アラリック……」


「何だ?」


「あれ、食べたい」


「……お前、あれが何なのかすら知らないだろ」


「でも、美味しそう」


アラリックも料理を見る。


その瞬間――


「ぐううう……」


「…………」


アヤがアラリックを見る。


アラリックもアヤを見る。


「……あとで行こう」


「えへへ」


後ろの座席から、突然エリアスが口を挟んだ。


「食べるなら、俺も忘れないでくれよ」


アラリックは振り返る。


「お前、自分で食料を持ってるだろ」


エリアスは、ずっと手に持っていた食料袋を掲げた。


「これは予備」


「お前、本当に食べるのをやめられないんだな」


「戦争は終わったんだ。これからはゆっくり食べる時間だろ」


「お前の理屈は何かがおかしい」


馬車は、そのまま街の中心へ向かって進んでいく。


中心広場に近づくほど、市民の声は大きくなっていった。


そして馬車が大通りを抜けた瞬間――


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


広場全体が、大歓声に包まれた。


何千人もの市民が腕を上げる。


無数の旗が風に揺れる。


花びらが空を舞う。


前方にいた兵士たちは、武器を空へ掲げ始めた。


広場へ到着したアラリックは、そこでようやく気づいた。


この場所は、完全に勝利の宴へと変わっていた。


長いテーブルには大量の料理と飲み物が並んでいる。


兵士たちは市民と一緒に座り、談笑していた。


中には、長い間離れていた家族と再会している者もいる。


笑い声。


会話。


そして、戦争が終わったことを実感するような穏やかな空気。


中には、家族と再会した瞬間、涙を流している兵士もいた。


その一方で、商人たちは帰還した兵士たちへ無料で料理を配っている。


広場のあちこちから音楽が聞こえてくる。


魔法使いたちは魔法を使い、来場者の頭上で色とりどりの光を回転させていた。


アラリックは人混みの中を歩きながら、周囲を見渡す。


……これが、勝利の宴か。


しばらくすると、アラリックは見慣れた顔を見つけた。


「おっ! みんな、ここにいたのか!」


アヤが振り返る。


「アラリック!」


リリア、ネリア、ミラもすぐに彼のもとへ駆け寄ってくる。


だが、アラリックはすぐに一人足りないことに気づいた。


「待て……カイルは?」


ネリアが何でもないように答える。


「カイル? 遠くで用事があるみたい」


「遠く?」


「うん。何か片付けないといけないことがあるんだって」


アラリックは頷いた。


「……そうか」


それ以上聞こうとした、その時。


背後から足音が聞こえてきた。


アラリックが振り返る。


そこにいたのは――


アレクサンダー。


ユリウス・カエサル。


チンギス・ハン。


三人とも、それぞれの部隊と共に戻ってきたところだった。


「アレクサンダー! ユリウス! チンギス!」


アラリックが笑顔になる。


しかし、彼が三人を迎えるより先に――


「あなたたち三人!」


アヤの声が広場に響いた。


三人が固まる。


「…………」


「…………」


「…………」


アヤは怒った顔で三人へ近づいていく。


「戦争中、どうして一度も連絡してこなかったのよ!」


アレクサンダーは即座に姿勢を正した。


「任務を遂行しておりました、御主人様」


「だからって、連絡くらいできるでしょう!」


ユリウスが説明しようとする。


「戦場の状況が非常に激しく、そのため――」


「言い訳!」


「…………」


普段なら冷静なチンギス・ハンまでも、ゆっくりと頭を下げた。


「……我々の落ち度でした」


しかし、アヤはまだ終わらない。


「それから、あなたもよ! アラリック!」


アラリックは自分を指差した。


「俺も?」


「そうよ!」


「俺が何をしたんだよ!」


「あなたも三人について何も教えてくれなかったでしょう!」


「…………」


アラリックは完全に黙った。


なんで俺まで怒られてるんだ!?


しかし、アヤの説教が長引くことを悟ったアラリックは、結局大人しく頭を下げた。


「……はい。ごめんなさい」


「よろしい」


アレクサンダー、ユリウス・カエサル、チンギス・ハンは互いに顔を見合わせた。


三人は、同時に一つの結論へ辿り着いた。


八万の軍勢と戦うより――


御主人様のアヤに怒られるほうが怖い。


一方、広場の別の場所では、アルブレヒト・ヴァルテリスがすでに数人の貴族や商人たちと話をしていた。


その前には、厚い布に包まれた何かが置かれている。


「この素材を持っていってはどうだ?」


一人の貴族が、その包みをしばらく見つめた。


「ジェネシス・デーモンから渡された素材か?」


「そうだ」


貴族は即座に首を横に振った。


「いや、遠慮しておこう。そのような物には関わりたくない」


隣の商人も、一歩後ろへ下がる。


「私も遠慮します。そんな物を持っていると知られたら、面倒なことになりかねません」


アルブレヒトは小さく息を吐いた。


「そうか……」


すでに何人もの人間に、この素材を譲ろうとしていた。


しかし、答えは全員同じだった。


誰も欲しがらない。


アルブレヒトは、ふと人混みへ視線を向ける。


そして――一人の少年を見つけた。


「……アラリック」


アルブレヒトは手を上げる。


「アラリック! 少しこちらへ来てくれ!」


アヤと一緒にいたアラリックが振り返る。


「俺?」


「そうだ。こちらへ来てくれ」


アラリックはアルブレヒトのもとへ歩いていく。


「どうしました、アルブレヒト公爵?」


アルブレヒトは先ほどの布に包まれた物を指差した。


「実は、すでに何人かにこれを譲ろうとしたのだ」


「それで?」


「誰も欲しがらなかった」


アラリックは眉を上げる。


「何の素材ですか?」


アルブレヒトが布を少しだけ開いた。


その瞬間――


アラリックの目が変わった。


ジェネシス・デーモンの素材……?


アラリックの目が、まるで金塊を見つけたかのように輝く。


「……もう少し近くで見てもいいですか?」


アルブレヒトは笑った。


「もちろんだ。欲しいのなら、全部君のものにしても構わない」


「本当ですか?」


「本当だ」


アラリックはすぐにMagic Bagを開いた。


「じゃあ、ここに入れてください」


アルブレヒトの護衛たちが素材を持ち上げようとする。


しかし、アラリックが片手を上げた。


「必要ありません」


アルブレヒトが眉を上げる。


「ん?」


アラリックはTelekinesisを発動した。


素材が地面から浮かび上がる。


そのまま、ゆっくりとアラリックのMagic Bagへ向かって移動していく。


「シュッ!」


素材は、誰にも触れられることなくMagic Bagの中へ吸い込まれた。


アラリックは満足そうに笑った。


新しい研究材料だ。


しかし、彼が何かを言うより先に――


「おおおおおおっ!」


広場の反対側から歓声が上がった。


「今度は何だ……?」


アラリックが振り返る。


そこでは、いつの間にか即席の大食い大会が始まっていた。


長いテーブルには、無数の皿が並んでいる。


そして、そのテーブルの中央には――


「……エリアス?」


アラリックが目を細めた。


エリアスが、何食わぬ顔で座っていた。


周囲には空になった皿が積み重なっている。


一枚。


二枚。


十枚。


百枚。


そして――


すでに、およそ千人前……いや、千皿分もの料理が積み上げられていた。


「す、すごいぞ!」


「千皿だ!」


「まだ食えるのか!?」


観客たちは大盛り上がりだ。


エリアスは最後の料理を食べ終える。


そして、ゆっくりとスプーンを置いた。


「ふう……」


審判が近づいてくる。


「エリアスさん、もう満足しましたか? お腹いっぱいですか?」


エリアスは無表情で審判を見る。


「まだ」


「…………」


審判が固まった。


「え?」


「まだ腹減ってる」


観客たちは一斉に笑い、拍手する。


しかし、審判は両手を上げた。


「ですが、この大会は終了です!」


エリアスは少し残念そうな顔をした。


「そうか」


審判は景品の入った箱を掲げる。


「優勝者には――五千枚の金貨が贈られます!」


アラリックの目が大きく見開かれた。


「……五千?」


一瞬。


世界が止まったように感じた。


アラリックの目が、再び輝き始める。


先ほどの素材を見た時以上だった。


まるで、両目そのものが巨大な金貨になったかのように輝いている。


五千枚の金貨。


五千枚だと!?


しかし、エリアスは景品の箱を見ようともしなかった。


彼はアラリックを指差す。


「俺はいらない。それ、あの人に渡して」


「…………」


アラリックは自分を指差した。


「俺?」


審判も驚いた。


「あなたに!?」


観客たちも一斉に騒ぎ始める。


「五千枚の金貨だぞ!?」


「あの少年に渡すのか!?」


「あいつは何者なんだ!?」


アラリックは、まだ状況を理解できていなかった。


すると、エリアスが何気なく付け加えた。


「ただし、これは無料じゃないぞ」


アラリックが固まる。


「……何?」


エリアスは笑った。


「五千枚の金貨は、君がもらえばいい」


そしてアラリックを指差す。


「その代わり、俺に料理を作ってくれ」


「…………」


「それと、俺にも飯を奢ってくれ」


アラリックは無表情でエリアスを見る。


「……それ、プレゼントなのか? それとも借金なのか?」


エリアスは立ち上がった。


「プレゼント」


「条件付きの?」


「条件付きの」


「…………」


エリアスは手を振る。


「じゃあ、俺は先に行く。バイバイ、アラリック」


「おい!」


エリアスはそのまま歩いていってしまった。


アラリックは、その場に立ち尽くす。


五千枚の金貨を置いて、俺に料理を作れって……。


しかし――金は金だ。


アラリックの目が再び輝いた。


「……まあ、いいか」


アラリックが手を上げる。


Telekinesisが発動した。


「ヒュン!」


箱の中に入っていた大量の金貨が、一斉に浮かび上がる。


一枚。


十枚。


百枚。


やがて、五千枚すべてが宙へ浮かんだ。


「「「おおおおおおおおおおおおっ!!」」」


観客たちが一斉に歓声を上げる。


太陽の光を受けた金貨が、空中で眩しく輝いた。


アラリックが指を僅かに動かす。


五千枚の金貨が、一斉にMagic Bagへ向かって移動する。


「チャリン! チャリン! チャリン!」


一枚。


また一枚。


そして、すべての金貨がMagic Bagの中へ入っていく。


一枚たりとも落ちない。


数秒後。


五千枚すべての金貨が収納された。


アラリックはMagic Bagを見つめる。


五千枚。


完全に入った。


しかも、手を一度も触れていない。


満足そうな笑みが浮かぶ。


……Telekinesis、最高だな。


しかし、その直後。


アラリックは突然、動きを止めた。


Magic Bagを見つめる。


……待て。


このMagic Bagの収納限界って、いったいどれくらいなんだ?


先ほどのジェネシス・デーモンの素材も入った。


五千枚の金貨も入った。


それ以前から、様々な武器、Potion、食料、その他の道具まで入れている。


それなのに――


Magic Bagは、一度も満杯になったことがない。


アラリックは、小さな物を一つ取り出してみる。


そして、再び入れてみた。


入った。


警告もない。


もう一度。


入った。


「…………」


アラリックは眉を寄せる。


まさか……。


Magic Bagを見つめる目が、完全に科学者のものへ変わっていく。


これは、一体どれほどの容量なんだ?


しばらく考えた後。


一つの可能性が頭に浮かんだ。


……Infinity?


アラリックは黙り込んだ。


久しぶりに、科学者としての頭脳が本気で理解を拒否している。


「……俺の常識の外だな」


その時、遠くからエリアスの声が聞こえてきた。


「アラリック! 料理のこと、忘れるなよ!」


アラリックが振り返る。


「覚えてるよ!」


エリアスは遠くから手を振った。


「よし!」


そして、そのまま去っていった。


アラリックは長いため息を吐く。


五千枚の金貨。


ジェネシス・デーモンの素材。


もしかしたら無限かもしれないMagic Bag。


そして――


千皿分もの料理を食べた男との料理の約束。


アラリックは頭を抱えた。


「……戦争のほうが、日常生活より楽だったな」


隣にいたアヤが、思わず笑う。


「ふふっ、あははは!」


アラリックはアヤを見る。


「笑うな」


勝利の音楽が鳴り響く広場。


料理。


笑い声。


歓声。


そして、戦争から帰還した人々の姿。


その日、街ではいつまでも勝利の宴が続いていた。


そこには、もう戦略もなかった。


敵軍もいない。


戦闘命令もない。


ただ、家族と再会した人々。


再び集まった仲間たち。


次々と運ばれてくる料理。


そして、勝利を喜ぶ兵士たちの姿があった。


その中心で――


アラリックは、今もMagic Bagを見つめていた。


……いや、マジで。


もし本当にInfinityなら――


この中に、一体どれだけの物を入れられるんだ?


長い戦争を終えたアラリックの頭に、初めて新たな問題が浮かんだ。


戦略でもない。


敵でもない。


もっと単純な問題だった。


――このバッグの中には、一体どれほどの物が入るのだろうか。


――第37話 終。

少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ページ下部の**【ブックマークに追加】や【評価(★★★★★)】**をいただけると嬉しいです!皆様の応援が執筆の大きな励みになります!もしかしたら「こういう設定の小説は途中でエタる(エピソードが途絶える)んじゃないか……」と思って、ブックマークをためらっている方もいるかもしれません。ですが、断言します。私はこの作品がライトノベル化、コミカライズ、そしてアニメ化するまで絶対にエタりません(更新を止めません)!ぜひ大佐の行く末を、一緒に最後まで見届けてください!

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