第24話 アルブレヒトの報告と、インペリウム・レガリア
はじめましての方も、お馴染みの方も、お越しいただきありがとうございます!作者のティラピア池です。今日も皆様に楽しんでいただけるよう、気合を入れてお届けします!
翌朝。
アルブレヒト・ヴァルテリスは、数名の護衛を連れて王国政府の施設へ向かっていた。
昨夜、教会で起きた事件を正式に報告するためである。
アルブレヒトは大きな扉の前で足を止め、ゆっくりと扉を開いた。
「失礼する。」
部屋の中では、一人の政府高官が机の向こう側に座っていた。
高官はアルブレヒトを見つめ、真剣な表情を浮かべる。
「どうした、アルブレヒト卿。何かあったのか?」
アルブレヒトは姿勢を正した。
「報告したいことがあります。」
「話してくれ。」
アルブレヒトは一度息を吸い、口を開いた。
「教会の一部勢力が、明確にジェネシス・デーモンと手を組んでいます。」
部屋が一瞬で静まり返った。
「……何?」
「昨夜、私の屋敷が襲撃されました。」
「教会の者に?」
「その通りです。」
「目的は何だった?」
「現在、私の屋敷で保護している飛翔する魚です。」
高官は眉をひそめた。
「……あの生物。Sacred Beast(聖獣)と呼ばれているものか?」
「はい。」
アルブレヒトは、昨夜の出来事を一つずつ説明した。
「奴らは、あのSacred Beastは教会が所有すべきものだと考えていました。そして、それを奪うために我々を襲撃したのです。」
政府高官はしばらく沈黙した。
そして、静かに尋ねる。
「襲撃者は……全員倒したのか?」
アルブレヒトは首を横に振った。
「いいえ。一人だけ逃げました。」
「誰だ?」
「奴らを率いていた者です。教会の最高位に近い立場にいる聖職者でした。」
高官の表情が険しくなる。
「……その者は、まだ生きているのか?」
「はい。」
「ならば、そう遠くないうちに、奴は必ずどこかへ助けを求めるだろう。」
アルブレヒトも頷いた。
「私もそう考えています。」
高官は椅子から立ち上がった。
「奴らが再び動いたら、すぐに報告してくれ。必要ならば、こちらからも援軍を送る。」
アルブレヒトは少しだけ安堵した。
「どれほどの兵力を?」
高官は一瞬、言葉を止めた。
「……多くは出せない。今の王国の状況は、君も知っているだろう。」
アルブレヒトはすぐに理解した。
「王国は現在、ジェネシス・デーモン王国と戦争中……ということですか。」
「そうだ。王国軍の主力は、ほとんどが別の戦線にいる。」
高官は重い声で続けた。
「もし事態が悪化したとしても、こちらから送れるのは……おそらく五千の兵力が限界だ。」
アルブレヒトは静かに頷いた。
「五千の兵力でも、十分に助かります。」
「そう言ってくれると助かる。」
アルブレヒトは深く一礼した。
「何か動きがあれば、すぐに報告します。」
「分かった。気をつけてくれ、アルブレヒト卿。」
アルブレヒトはそのまま部屋を後にした。
――その頃。
ヴァルテリス邸では、俺が大量の希少素材を前に座っていた。
珍しい鉱石。
特殊な金属。
魔力を含んだ結晶。
そして、これまで見たこともない奇妙な素材。
俺はその中の一つを手に取り、じっくりと観察する。
「……興味深いな。」
科学者としての好奇心が、どんどん刺激されていく。
だが――ふと、別の考えが浮かんだ。
「それなら……新しい武器を作ってみるか。」
俺は素材を選び始めた。
Alexanderの戦闘スタイル。
Julius Caesarの防御と指揮能力。
そして、Genghis Khanの高速機動と奇襲。
もちろん、俺自身のための武器も作る。
それぞれの戦い方を思い浮かべながら、形状や性能を調整していく。
そして、しばらくして――。
いくつかの武具が完成した。
俺は完成した武具を眺める。
「これを……Imperium Regaliaと名付けよう。」
俺はAyaに声をかけた。
「アヤ。」
「なに?」
「三体を呼んでくれないか?」
Ayaは頷いた。
「分かった。」
Ayaが召喚魔法を発動する。
床に魔法陣が浮かび上がった。
次の瞬間――。
Alexander、Julius Caesar、Genghis Khanの三体が姿を現した。
三体はすぐに俺を見る。
「我が主。」
俺は頷いた。
「お前たちに渡したいものがある。」
俺は、それぞれに作った武具を渡した。
Alexanderは自分の武器を手に取り、真剣な目で確認する。
Julius Caesarは防御用の武具を丁寧に調べる。
そして、Genghis Khanは――。
「おお……これ、カッコいい。」
武器を持ち上げ、楽しそうに眺めている。
俺は思わず笑った。
「気に入ったか?」
三体はほぼ同時に答えた。
「もちろんです!」
三体とも明らかに嬉しそうだった。
俺はその様子を見ながら、作った武器のステータスを確認する。
「……ん?」
俺は表示された項目を見つめた。
「耐久時間……なし?」
もう一度確認する。
やはり、時間制限が表示されていない。
「まさか……。」
俺は黙り込んだ。
今まで俺が作った武器には、一定時間が経過すると消滅するという制限があった。
だが、今回作った武具には――その制限がない。
「この武器……消えないのか?」
なぜそうなったのか、俺にはまだ分からない。
だが、一つだけ確かなことがある。
この武器は、今まで俺が作ってきたものとは明らかに違う。
俺は三体に向き直った。
「俺は、この武器群をImperium Regaliaと名付けた。」
三体は真剣に耳を傾けている。
「Imperiumは、帝国を意味する。」
「より正確に言えば、帝国における権力や最高位の権威を意味する言葉だ。」
Alexanderが手にした武器を強く握る。
俺は続けた。
「そしてRegaliaは、皇帝や王などの支配者が持つ、正統な権力を象徴する宝器や装具のことだ。」
俺は目の前に並ぶ武具を見る。
「だから、Imperium Regaliaはただの武器じゃない。」
「それは、最高位の権力と力を象徴する武具なんだ。」
Alexanderは静かに頭を下げた。
「……理解しました。我が主。」
Julius Caesarも頷く。
「この名に相応しい武具です。」
Genghis Khanは自分の武器を眺めながら、いつもの調子で言った。
「それなら、これを持って敵のところへ行けばいいんですね?」
「まだだ。」
「……残念。」
俺は呆れた顔でGenghis Khanを見る。
「戦争はまだ始まってないだろ。」
Ayaはその様子を見ながら、小さくため息をついた。
「……相変わらずね。」
――しかし。
俺たちが知らない場所では、別の計画が始まっていた。
ヴァルテリス邸から遠く離れた場所。
教会から逃げ延びたあの聖職者は、秘密の場所に身を隠していた。
その目の前には、一人の貴族が立っている。
その貴族は、すでに王国を裏切っていた。
「まさか……本当に生きて逃げてきたとはな。」
聖職者は怒りを抑えながら答える。
「私が敗北したと思うな。ただ退いただけだ。」
貴族は薄く笑った。
「そして今、私の力を必要としている。」
「その通りだ。」
「何が欲しい?」
聖職者は低い声で答えた。
「Sacred Beastを取り戻す。」
貴族はしばらく黙った。
「ヴァルテリス家はどうする?」
「奴らは障害になる。」
「では……Alaric Shiroganeは?」
聖職者は一瞬だけ沈黙した。
「……あの少年は、私が予想していた以上に危険だ。」
貴族は静かに笑った。
「ならば、奴がさらに力をつける前に動けばいい。」
聖職者は頷いた。
「私もそう考えている。」
二人はそのまま、次の計画について話し始めた。
その一方で――。
ヴァルテリス邸では、新たな武具が生まれていた。
そして、その武具には――。
これまで存在していた時間制限がなかった。
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