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転生者な俺と勇者な私  作者: みなと
9/17

少女の決断

 部屋の前に立っている知らない男の人。

 その人はいきなり自分を私のパーティメンバーに入れてくれと言ってきたのだ。


「えっ……といきなりなんですか?」


 さっきまでセッカとかに関して色んな感情でぐちゃぐちゃになりそうだったのに知らない人にそんな事言われてどう対応すればいいか頭がこんがらがってしまう。


「まぁ急で悪い、でも俺をパーティに加えて損はない」


 一応は謝罪はするがそれはそれとして彼は自分が私にとって有意義な存在だと言い切る。


「いや……いきなり言われても私は貴方のこと知らないですし……」


 なに言ってるんだこの人と困惑しながら対応する。


「そうか。俺の事は……とりあえずユウトって呼んでくれ」


 いや、名前教えられても……

 というか今とりあえずって言いませんでした?

 それにユウトって……


「大昔の勇者さんが何かようですか?」


 皮肉混じりに彼に尋ねる。

 ユウトという名前はこの国の人なら誰でも知ってる名前、彼は昔に存在していた勇者でその世代の魔王をあと一歩のところまで追い詰めたとかなんとか……


「さっきも言った通り、お前のパーティに入れてもらいにきた」


 さっきと同じ言葉……

 もう無理矢理にでも扉を閉めてしまおうか……そう思った時。


「シンゴブリン……アレ倒したのお前1人だけの力じゃないだろ?他の仲間は?」


 その言葉に扉に手をかけようとした手が止まった。

 彼の事を聞かれてなんと言えばいいのかわからなくなってしまったのだ。

 

「か、彼は……」


 声が震える……さっきの凄惨な現場が頭の中でフラッシュバックする。


「何かあったんだな、話してみろ」


 私の様子なんて気にもしないように彼は私に話を聞こうとする。


「結構ガッツリ聞くんですね」


 人の気も知らずに聞いてくる彼を冷めた表情をしながら聞き返す。

 それでも彼は帰りそうにない……何か言って誤魔化した方がいいのだろうか。

 

「彼は……彼は……」


 初めは誤魔化す気だった、けれども彼の事を口にして彼を思い浮かべた瞬間、涙が勝手に溢れ出してくる。


「ゆっくりでいい、聞かせろ」


 そんな私に彼はズバッと言い放つ。

 だけど私の話を聞いてくれる彼の言葉を信じて私は彼にセッカの事を話したのだった。


 セッカとの出会い、彼との依頼、そして昨晩彼を自分のパーティに誘ってから彼が出かけてそのまま帰って来ず、街で起こった殺人事件の犯人が彼の可能性がある事も話した。


 思っていたことを話して段々と気持ちが落ち着ついてくる。


「なるほどな、それでソイツは今行方不明と」


 話を一通り聞き終わった彼が冷静に話す。


「それで?本当にお前はソイツが人を殺したと思ってるのか?」


 彼は冷静に私に問う。

 彼が本当に人を殺したかなんてわからない……けれどあの状況だと彼を疑ってしまう自分がいる。


「まぁ確かに複属性使いは珍しいから疑うのも無理はない」


 そうだ、彼は風と炎の魔法を操る。

この街でその2つの属性を使える魔法使いは他にはいない……


「確かに彼がやった可能性は高い」


 彼はハッキリとセッカが犯人の可能性が高いと断言し私は顔を俯かせる。


「……でも何か事情があったのかもしれない」


 しかし彼が続けた言葉を聞き私は顔を上げて彼の顔を見た。


「どうやら君が立ち去った後殺された人達の身元がわかったようで、そいつらはここいらで暴力や恐喝で人から金を巻き上げる子悪党だったらしい」


「まぁだからと言って殺してもいい訳にはならない、だから……」


「とりあえずソイツ捕まえて話を聞くくらいはしてもいいんじゃないか?」


 彼は……ユウトと名乗った男はそう私に告げた。

 彼の言葉に戸惑う。私はセッカが犯人かどうかしか見ていなくて彼自身の事を考えていなかった。

 そんな私にユウトは話を聞くと簡単な解決案を出したのだ。


「でも……セッカが見つからなかったら……?もしももうこの街にいなかったら?」


 けれど話を聞くにはまずはセッカを見つけて捕まえなければいけない。

 彼が今この街にいるかどうかすらわからない。


「探しまくって見つければいい、この街にいなければ別の街を探せばいい。

君は勇者になりたいんだろ?なら彼を探すついでに勇者としての実力と実績を付ければいいじゃないか」


 彼は私にそう提案した。一気に色々とあって色々と言われて頭が混乱している……

 

「俺はお前より強くてお前はまだ弱い。

だから俺を仲間にしろ」


 何故この人がそこまで私にしてくれるかわからない……けれど私の心のどこかで確信というかちょっとした期待があった。

 この道が私にとって正解なんだと。


 そうして私は彼の提案を受けたのだった。

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