ボスゴブリンと魔法
リティアが倒したゴブリン達より3回りくらいの巨大、ゴブリン達の主言わばボスゴブリンと言える化け物が洞窟の奥からやってきたのだ。
俺はそのあまりの巨大ゆえの威圧感に気圧され身動きが取れなくなっていた。
それはリティアも同じようだった。
突如現れたボスゴブリンを目にして動く様子がなかったのだ。
そしてボスゴブリンは容赦なくリティアを襲った。
大きく開いた手がリティアに向かい勢いよくリティアの体を物を掴むように握りしめたのだ。
その際強い衝撃がリティアを襲ったのかリティアは握っていた剣を手から離してしまい剣は少し離れた地面へと落ちる。
「がっっぁぁぁぁぁ……」
ボスゴブリンに体を強く握られ呻き声を上げるリティア……このままじゃ握りつぶされてしまう。
なんとかしないと……
──逃げなきゃ
助けないと……
──逃げなきゃ
あの人は俺を助けてくれた……こんなところで逃げるなんて……
──もう死にたくない
俺の体は彼女とボスゴブリンから背を向けようと動こうとしていた。
そりゃそうだ、だって俺は何もできない役立たず。そんな俺が誰を助けるっていうんだ?
俯きながら逃げようとした……その時、俺の目に自分が履いてる靴が映ったのだ。
こんな俺にも少しでも優しさを見せてくれた人、俺に何かを任せてくれた人……
そんな人を……俺は……
「うっ、うっ……うぉぉぉぉぉぉ!!」
見殺しになんて出来ない!
俺は再びボスゴブリンの方を振り返って走り出す、リティアを助けるため。
幸いにも近くに他のゴブリンはいないし奴も片手が塞がってる、なんとかリティアを助けないと!!
ボスゴブリンの脚に飛びかかろうとする、手が片手しか使えない今なら脚を狙った方が……しかしボスゴブリンは容赦なく足で俺を蹴り飛ばしたのだ。
「ああっっ!!」
蹴られた衝撃で後ろに飛ばされる……
肉弾戦では勝ち目がない……それでもなんとかしないと。
「異世界なんだろ?」
必死になっていた俺は訳もわからず両手をボスゴブリンへと突き出していた。
「だから!なんでもいい!!俺に力を!!!」
俺は非力だ、そう実感すると共に彼女を助けるという事しか考えていなくて無我夢中だった。
しかし……その影響かどうかなんてわからなかった。
手の先から温かい何かふんわりとした感触がしてそれが掌から溢れそしてそのまま前へと鋭い風の刃が放出されたのだ。
「なっ……!?」
放った俺ですら驚く中その刃は真っ直ぐボスゴブリンへ向かい、リティアを握っている腕の肩に直撃したのだ。
これって、魔法……だよな?
「グォォォォォォ!!!!」
流石に痛かったのかボスゴブリンは叫ぶ。
しかしそれでもリティアを話そうとする気配が無い、まだ足りない……リティアを助けるためにはまだ足りないっ!
もっとだ、もっともっとさっきの様な力を……
力を振り絞れ!!
「まだだ……まだっ!!」
さっきとはまた別……それでもさっきと同じこともあった。
それは……
「また、出る……」
再びの感覚、これはまた……魔法を放てる!
「はぁぁぁぁ!!!」
再び同じ様な感触がした後にまた魔法が掌から発射された。
今度はさっきと同じ風の刃では無い、これは……火の球っ!
俺から放たれた火の球はまたもやリティアを握る腕の肩に直撃したのだ。
「ガァァァァァァ!!!」
そしてようやくボスゴブリンの手がリティアの体を離した。
だけど現状リティアは剣を飛ばされて素手……それなのにボスゴブリンの相手だなんて無茶だ。
何か武器が無いと……
そんな事を思いながら俺は近くに転がっていた剣が目に止まる。
さっきリティアがボスゴブリンに掴まれた際吹き飛んだ剣。
「はぁっ!はぁっ!はぁっ!!」
やはり刃を見ただけで呼吸が難しくなった、自分が死んだ時の事がフラッシュバックしてしまっているのだ。
──それでも、
──それでもっ!!
俺は駆けていた。彼女が落とした剣の元へと走る。
逃げないっ!
もう逃げない!!
ここで!
俺は変わるんだ!!
そんな葛藤をほとんど一瞬ですませて落ちた件を拾った。
正直呼吸が苦しくなる……けれどそんなのではもう止まれない!!
「リティア!!!!」
彼女の名を叫ぶ、彼女はボスゴブリンから手を離されて今現在宙に浮かんでいる様で落ちてきていた。
そんな中俺は彼女の剣を彼女へと投げつけた。
剣はぐるんっぐるんっと回っていく。
頼む届いてくれ!!
「ありがとう、セッカ!!」
彼女は剣と俺の思いをしっかりと受け取った。
そして彼女は落ちてくる勢いを利用して剣をボスゴブリンにへと振るった。
左肩から右脇腹らへんにかけてバッサリと深く切り捨てそのまま着地したのだ。
リティアが着地したと同時くらいにおそらくボスゴブリンがりてに斬られた影響ですボスゴブリンが膝をついてそのまま地面に倒れたのだ。
「勝った……?」
この状況に驚きながらボソッと呟く俺の声が聞こえたのかリティアが振り返った。
「……!!セッカ!!」
彼女はまだ握られた時のダメージが残ってるはずなのに俺の名を呼びながら近づいてきて手を俺へと向けた。
「え?」
「え?じゃなくて、ほら手を出して、上手く行った時のハイタッチ!」
彼女に言われるがままに手を差し出した。
パチーンッ
2人のハイタッチ音が洞窟内に響いた。




