ゴブリン
街から出て俺とリティアは木々が生い茂る山道を歩いていた。
この道の先にはここら辺一帯で暴れているゴブリン達の巣穴に繋がってるらしいが道がでこぼこしており歩きづらい。
行く前にリティアから靴をもらっていなかったら完全に怪我していただろうな。
「あっそうだセッカ!」
何かを思い出したかのようにリティアが呟いたかと思ったら持ってたバッグから何かを取り出した。
「はいこれっ!!」
リティアは何かを取り出したかと思ったらその取り出したものを俺へと突き出して渡した。
なんだろう?そう思いながら彼女が渡してきたものを取ろうとした……
「!!?」
しかしその物を見て手がとまる。
「リティア……これは……?」
リティアが俺に渡してきた物……それはリティアが持っているのとそう変わらないくらいの大きさの長物の剣だった。
「いちおう剣は2つ持ってて、これユウビに渡すから危ないと思ったらこれで身を守ってね」
それはリティアからの親切心あっての贈り物だ、もしもの時に身を守れるようにと。
俺は剣に手を伸ばして触れようとした……
「はっ、はっ、はっ……あっ、はぁ……はぁ……」
呼吸が乱れる……体調は悪くない、しかしリティアからの剣を取ろうとするとまるで剣を拒絶するかのように手が震え呼吸が困難になっていたのだ。
剣、刃物……これは先端恐怖症。
針や刃物といった先端が尖った物に恐怖心が湧くそんな状態だ。
でも生前では俺は刃物は別に平気だった……空き巣の男にナイフで刺されて死ぬまでは。
多分俺がこんなことになったのはナイフで刺されて死んだ事が原因なんだ……
「どうしたの、大丈夫?」
顔から血の気が引いてる感覚のする俺を見て心配そうにリティアが声をかける、まさか自分が渡そうとしている剣が原因だとは思うまい……
「ごめん……ちょっと受け取れないかな……」
俺は遠慮するように剣の受け取りを拒否した。
「そう……わかった」
リティアは少し残念そうな表情を見せた後また歩き出した。
多分俺が剣を見て動揺してたのに気付いたからだろう。
その後進んでいくと洞窟?のようなものが見えてきた。
「見えたよ、あそこがゴブリン達の巣だよ」
リティアがあの洞窟に指をさして俺に教えてくれる。
「早速行こう!!」
「あっ待って……」
足早に洞窟へ向かうリティアとそれを追う俺、少し怖い感情があるがそれでも何かの役に立ちたいとそう思ったのだ。
薄暗い洞窟内に入って少し歩いた場所、ちょっとした広くなってる空間にそいつらはいた。
緑色の肌に背丈は俺の腰よりちょい高いくらいで目付きの鋭い耳の尖った創作物でありがちな小鬼、ゴブリンだ。
「出たね。下がっててセッカ」
リティアがゴブリン達を目の前に剣を抜く。
俺は刀身を見ることが出来ずにリティアから目を逸らした。
そんな俺をよそにリティアは果敢にもゴブリン達に勝負を仕掛けていく。
チラッとだけリティアの方を見たがその時の彼女は軽やかにそして鋭い動きで1匹、また1匹とゴブリンを倒していった。
「キキッ!!」
リティアの戦う姿に感心していた俺の背後から1匹のゴブリンが襲いかかってきた。
「うわっ!!?」
咄嗟にゴブリンを躱すも俺じゃゴブリンへの対抗手段がなくしかもいつのにか洞窟の壁際に来てしまい逃げ道を無くしてしまう。
「キッーー!」
畳み掛けるように俺に飛びかかろうとするゴブリン、まずい……!
「危ないっ!」
しかし間一髪のところでリティアが飛びかかってきていたゴブリンを真っ二つに切り捨てて助けてくれたのだ。
「大大大!?」
切り捨ててすぐにリティアは俺に無事かを尋ねてくる。
「う、うん……」
そんな彼女の言葉に小さく頷く。
情けない……役に立つために来たというのにこれじゃあまるで足手纏いだ……
俺に出来ることなんて……この世界でもなんにもないんだろうな。
そんなこんなでリティアはここにいたゴブリン達をたった1人で殲滅させた。
俺の力なんて……いらなかったんだな。
「とりあえず一旦終わり……かな?」
安堵のため息を吐きながらリティアは戦闘体制を解いた……次の瞬間だった。
ドンッッ!!ドンッッ!!ドンッッ!!
洞窟中に行き渡るかのような地響きが鳴り響いた。
何かが来る……何かさっきまでのゴブリンとは違う何かが俺達の方に向かってきていた。
そしてその地響きの正体が洞窟の奥から姿を表す。
そこにいたのは俺達よりも数倍の巨体を持つ……巨大ボスゴブリンがいたのだった。