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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第五章 推しが幸せなら、まあいっか!

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第43話

 自宅に戻ってからさらに一ヶ月が経過した。


 アドルフさんが過保護って言うか介護士かな? くらいに献身的に私のサポートをしてくれて、なんだか逆に申し訳なくなってきた……。

 推しには尽くしたいのであって尽くされるのは解釈違いなんですよ!


 あ、でも乙女としては最高ですありがとうございますこの思い出だけで生きていけそう。

 ちょっと誇大表現でした申し訳ございません。


 ところで、第五部隊のメンツとはちゃんと再会できました。

 私が無事に目を覚ましたことで涙を流して喜ぶ人もいれば万歳三唱をいきなりする人もいて驚きの連発だったけど、ひとしきり再会を喜んだ後は大説教大会だったことは解せねえ。

 いや心配かけてごめんって!


「第五部隊の宿舎への行き帰りを歩くだけでかなりリハビリになりますねえ」


「そうだな。だが辛くなったらすぐに言え、馬車を拾う」


「過保護ぉ……」


「無理をされては困るからな。早く良くなってもらいたいと願っているんだ」


「もう大分平気ですよ! 自分のことも殆どできるようになりましたし!!」


「そうか」


 そうなのだ、意外と私が思っていたよりもずっとダメージは深刻だったのだ。

 自宅にも戻れたし筋力と体力も徐々に戻るだろーって楽観視していたら、まず食えないの。


 食べたいんだよ? 食べたいんだけど胃が受け付けない。

 ずっと寝ていた弊害か? って思ったんだけど、どうやら毒の影響というやつらしい。

 解毒されているからそれ以上悪化することもないけど、内臓のダメージは治癒魔法ではどうにもならんかったんだとか。


 いや、死にかけた臓器を治してもらっただけでもすごいことなんでしょうがないよね。


(でもまさかここまでくるのに一ヶ月も使うとは……ううぬ)


 歩けるし大丈夫! とか思ってたけど本当にちょっとしたことでまるでお前は二歳児かってくらい突然電池切れみたいに体力が尽きちゃうのよこれが。

 限界を理解して休むとかそういう次元じゃないの、本当に気がついたらぶっ倒れんの。


 おかげでアドルフさんの過保護が加速したんだけど。

 下手したら移動が姫抱きになっちゃいそうな勢いだったので、妥協案で外を歩く時は必ず手を繋ぐっていうことになりました。

 わしゃ二歳児か。

 いやどうみても要介護者ですね。


 でもそんな感じで一ヶ月、少しずつ食事と運動、そして睡眠と健康的な生活を送って自分で着替えもできるし一日普通に生活できるレベルまで復活したんですよ!!


(もうこれで寝室を元通りにしてもいいですよーって言えるんだけど。……言えるんだけど)


 約束の、結婚して一年経過するまで、残すところあと二ヶ月。

 たった、二ヶ月なのだ。


 私は『元気になった』とアドルフさんに言ってみせたけど、でも……寝室を分けてももう大丈夫、とは口に出せずにいた。


(あと少し、だけだから……)


 彼の優しさに、もう少しだけ甘えたい。

 そんな風に願ってしまうずるい自分がいる。


 アドルフさんは優しい。

 きっと責任感もあって、私に対して献身的になってくれていることは理解できた。

 戦争が終わって、その立役者でもある私に感謝の気持ちが強くあるってのも要因の一つだと思う。


 でもまるであのアドルフさんの髪色みたいな蜂蜜のように、甘い甘い対応に……こう、一人のアドルフさん推し人間として! もう少し、もう少しだけ!!

 甘やかされたいんですよ……!!


(クッ、推しの負担になるようなことはしてはならんと自戒すべきところなんだが……)


 どうせ離婚をされるなら、夢を見たっていいじゃなーい。

 そう私の中の悪魔が囁くのだ!!


「どうした、百面相をして。ほしいものでもあったか?」


「子供じゃないですよ!?」


「……ふ、そうだな」


 ああ、もう。

 そんな風に笑うから!


 ドキドキするこの気持ちは、もっとアドルフさんの傍にいたいと訴えている。


「なあイリステラ。もう、体調はほとんど(・・・・)大丈夫なんだな?」


「え? ああ、はい。まだ重たい荷物なんかを持つのは無理ですけど、日常生活では不足も減ったかなと……」


「なら」


 繋いだ手に、僅かに力が込められた気がした。

 痛いとかそういうのじゃなくて、離れないように、みたいな?


 どうしてって思って見上げたら、アドルフさんは私を見ていた。

 その目はなんとなく切なさを孕んでいて、私はその感情を見たことがなかったから少し驚いて思わず立ち止まってしまった。


「アドルフさん?」


「なら、イリステラ、今夜――」


 アドルフさんが囁くような声で、私に何かを言おうとする。

 それを聞き逃してはいけないと私が思わず息を止めて耳を澄ませたところで。


「アドルフッ!!」


 甲高い悲鳴のような声で、アドルフさんを呼ぶ声がした。


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