第156話
(まあ、とりあえず私が気にするべきは外だな……)
アエスさん以外に、転生者はいるのか?
いたとしてそれは〝プレイヤー〟だったのか?
もし〝プレイヤー〟がいたとして、その考え方はどうか?
それからスピンオフだかなんだかの〝神官〟は誰なのか?
まず転生者の存在は他にもいると考えていいと思う。
一人いて、二人いて……ってあったんなら他にいてもおかしくないって思うのが普通でしょ。
ただそれはそれで構わない。
どっかのラノベよろしく、知識チートで文化発展に貢献してくれる人だと嬉しいよね。
どうせだったらオーブンとかエスプレッソマシーンとか冷蔵庫とか掃除機とか作ってくれたらいいなあ、なんて期待するよ!
でもそれとは別に、問題は〝プレイヤー〟だった場合。
アエスさんと同じく何かしらの情報を持って動くことができるってことだもの。
私もそうだったからね!!
(……国内にいるなら、もうとっくに何かしらのアクションが起きていてもおかしくないと思うんだよね……)
でも戦争終結してもなーんもないってことは、国内にはいない……もしくは、現状で満足してるって考えていいのでは? と思うのだ。
アエスさんみたいに破滅願望的な行動はともかくとして、プレイヤーだったなら自分の好きだった世界、一度や二度は知識チートしたいもしくは推しのご尊顔を拝みたいと思うもんだと思うんだよね…!!
いやまあね?
戦争してたし、環境が良かったとはお世辞にも言えなかった我が国オーベルージュ。
王都はまだ治安も物流もマシだったけど、地方に行くにつれて当時はあまり良い状態と言えなかったのも事実。
現在はかなり状況も良くなったし復興も進んでいるから、みんな気持ちも前向きだし心に余裕もできたんだよね……。
私はこういう平和を迎えることができて本当に良かったと心の底から思っている。
絶望の中を足掻いて、藻掻いて、そして立ち上がる――あの〝ストーリー〟ほど劇的なことは起きなかったかもしれない。
それでもここで実際に生きて、苦しんだ人たちが今は笑える世界になって、良かったと思う。
(……勿論、ストーリー通りの展開でも最終的にみんな笑顔になっただろうけど)
その過程を早めたことが、良かったのか悪かったのか……それを判断するのは後世の人間の役目であって、今を生きる私たちではないと信じたい。
この国にもし〝プレイヤー〟がいるのなら、同じように感じてくれていたらいいな。
けど、問題はアエスさんのように国外に〝プレイヤー〟がいた場合だ。
戦争を実体験として好ましくないと思ってくれるタイプの人なら、穏便な解決に胸を撫で下ろしてくれた可能性もあるけど……少なくとも私だったらそう。
更に言えば私が国外に生まれてこの話を知ったら、アドルフさんが生き延びた! ってきっと五体投地で感謝してオーベルージュに観光して現物お布施……とか聖地巡礼とか言ってそう。
ははは、自分でも想像できて笑うしかないわぁ。
「イリステラ」
「はい! アドルフさん」
「……やはり陛下たちとも話したが、当面各地の神殿に護衛兵を配置することになった。これまでは教会外にも足を運び、治療にあたってもらっていたが……」
「教会だけに限定すると、民衆から不満が出ませんか?」
「……しかし、聖女だけでなく神官たちの身の安全を考えるならこれが最善だろうな。軍医を各地に派遣することで対応する予定だが……」
「長期は難しいですね……」
「ああ」
まあ今は水害で被害者が多いから問題なのであって、復興が進めばなんとかなるだろう……というのが陛下のお考えなんだけど。
そう上手く行けばいいんだけどなあーと思ってしまうのは、私だけだろうか?
(変なちょっかいがどっかから飛んできたり、とかね)
だってゲームとかだとお決まりじゃない?
こういう混乱に乗じて……なんて、もう定番中の定番でしょ!
まあそのくらいのことは陛下もアドルフさんもわかっているだろうから余計なことは言わない。
私に求められているのは、今後も届くであろうアエスさんの調書解読と、そこから有益な情報を見つけ出すことだろうからね!
……私が求める情報も、どっかに転がってないかなあ。
そんな都合のいい話はないか~、ないよね~!




