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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
(第四部)第十六章 それは誰のための物語か

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第155話

 それから一週間、アドルフさんと私は王城に通った。

 アドルフさんは陛下とヘルマンと、それから神官長も交えて聖女の保護に関する計画を。


 私はアエスさんの調書の調査を、それぞれに頑張った。


 頑張った結果――追加の調書も届いて、私としてはうんうん唸りながらの作業だったけど、とにかく解析できたのだ!!


「っはー! 疲れたー!!」


 彼女の主観たっぷりな語り口のせいでわからないことが多すぎたけど、まあ大体はこんな感じだ。

 

 オーベルージュ編、つまり私がいるこの国が第一作。

 それはアドルフさんの死でチュートリアルを終えて、聖女と獣化、そして王家の秘密について辿っていくストーリー。

 ヒューゴーかヒルデを主人公に据えた、戦争終結に向けての物語。


 リンドーン編が第二作。

 アンドレイ・スリコフを主人公に据えた、戦争終結後の世界。

 聖女と獣化、それが周囲に及ぼした影響とこれからの未来について考えるストーリー。

 別の視点から見たら、オーベルージュ編はこう見えた! っていう感じね。

 亡命した人たちが辿る悲哀を強く描いたもの……らしい。


 そしてなんとノベライズ? したようだ。

 ウーヌ編、曾祖母がオーベルージュの人だったという名前のない神官の語り話。

 先祖返りなのか他の家族に見られない獣化を、その神官は〝呪い〟として周囲に疎まれたという話。

 オーベルージュにいる〝聖女〟ならばなんとかしてくれるかもしれないと旅立った……というところで話は終わっているらしい。

 アエスさんはこれはスピンオフの布石らしいんだけど、結局第三作? とやらはあくまでファンの間で語られていたことっぽい。


(有名配信者とか、掲示板とかそんなこと書いてあったからなあ……出たのかなあ、第三作)


 とりあえずわかったのはそのくらいだろうか。


 アエスさんの主観によれば、オーベルージュ編でアドルフさんが死なず、リンドーンと和平を結んで予定より早く戦争が終結したことがリンドーン編に影響を及ぼしたと考えていたみたい。


(予定よりも穏やかにオーベルージュ編が終わったから、リンドーン編が不完全燃焼……ねえ)


 その不完全燃焼って、誰にとっての話なのかってのがよくわからない。

 わかっているのはアエスさんが『もっとみんな不幸のどん底にいてくれないといやだ』って思っているってことかな。


 どうして彼女がそこまで人の不幸を望むのかは私には理解できないけど、どん底に落ちてこそ救済があるんだって発言はウーヌの教えに関係しているんだろうか?

 

(あんまりあちらの教義には詳しくないんだけど……聖女長様ならご存じかなあ)


 でも勉強不足ですよ! って学び直せとか言われるのはな……。

 それ読むくらいだったらレシピ本読み漁ってアドルフさんと第五部隊のみんなに振る舞いたいじゃん……。


「おい、最弱聖女」


「なんで毎回その呼び方なんですか……」


「随分だらけているようだったからな。どうだ?」


「おおまかにですが、彼女の言い分? というか予言? についてはこんな感じだと思います。誰にどう話したのかについてはこれから着手するつもりです」


「そうか。ヘルマンもお前が解読してくれるならば助かると言っていた」


 なんだろうヘルマンの『面倒事引き受けてくれて助かるなあ! こっちは聞き出したことを全部メモにとればいいんだろう?』という朗らかな笑顔が脳裏に浮かんで殴りたくなった。

 まあ全部書き取ってくれるならその方が助かるけどね!


「陛下の方から見ていかがですか。諸国に動きはありますか?」


「あると言えばあるし、ないと言えばない」


「ええ……なんですかその問答」


「仕方が無いだろう。国家である以上、常に他国の目はある。聖女や獣化のことがなくとも、我が国の資源や新素材などの開発については虎視眈々と狙っていることだろうさ。……こちらだって同じだ」


「うへぇ」


「およそ聖女が出していい声じゃなかったな」


 フンと鼻で笑いながら去って行く陛下。

 若干その背中が疲れている気がして、次に会った時は少しくらい優しくしてあげようと思ったのだった。

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