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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第十三章 その喧嘩、買ったらぁ!!

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第122話

 同担拒否とは!

 同じ対象を応援する他のファン(同担)と交流を持ちたくないという姿勢を指すオタク用語やネットスラングのことだ!!


 いやまあ普通に考えたら公式の推し(ゲームのアドルフさん)の妻はエミリアさんであって私ではないので、そこを受け入れろというのは無理があると私も理解している。

 だからそういう意味で私が気に入らない、排除したい……だったらまあわかるのよ。


 でもアエスさんは明らかに『私のことは気に入らない』けど『アドルフさんが生きていることも気に入らない』っていう態度だから厄介だよね。


(……どういうことだろ)


 可能性として、アドルフさんが生きているのは嬉しいけど変な女と結ばれたことが許せない、からのかわいさ余って憎さ百倍パターンとか?


 私とアドルフさんがいちゃつく(!)のが許せないならこれかな。

 でもさすがにそれだったら私が諸悪の根源で~とかになると思うから、アドルフさんが本来死ぬ運命だった云々になる必要はないっていうか……。


(だとするとあれか)


 原作至上派。

 ネット上でもキャラクターの死亡率が高すぎて賛否が分かれたけど、同時に『だからこそいい』っていう、むしろキャラクターたちが死亡するからこそあの作品は最高なんだよってタイプの人たち。


 それも理解はできるのだ、プレイヤーとしてあのシナリオの凄さはキャラたちの生き様にこそあるとわかるからこそ確かに救えない命や、そのサイドストーリーによってより絶望を味わってこそ主人公たちと共に掴み取った未来への希望に大きな価値を見いだせるのだから!!


 でもアエスさんはアドルフさんが死んでいないことを非難しつつ、そんな彼に大事に抱きかかえられている私のことを憎々しげに見ていてとても複雑。私が。


「世界はァ、やっぱりちゃんとした姿であるべきだと思うんですよう~」


 私のことをぎゅっと抱きかかえるアドルフさんに対して笑顔なんだけど青筋を立てているアエスさんって言うこのよくわからない構図、内容を耳にしていなかったらめっちゃくちゃ修羅場に見えるような気がしないでもない。


 しかしながら彼女の声はよく通る……というか甲高いので周りに聞こえちゃうっていうか、わざとなのかなんなのか……周りの人たちも怪訝そうな様子でこちらを窺っているではないか。


(……でも、なんかおかしい、な……?)


 何がってこうはっきりとは言えないものの、良くない空気を感じる。

 上手く説明できないのがもどかしいけれど、ここにいたら良くない気がした。


「アドルフさん」


「ああ、任せろ」


 小声で私が訴えるのを、アドルフさんは即座に受け入れてくれた。

 おそらくアドルフさんもこの異変を感じ取っているに違いない。


「運命だか予言だか、よくわからないが……俺たちは俺たちらしく暮らしているだけだ。妙な言いがかりはよしてもらおう、いずれ迎えが来るまで大人しくしていてくれ」


 使節団の一員だから手荒い真似はしたくない。

 そう小さく威圧するようにアドルフさんが告げれば、周囲の雰囲気はぐっと緊張を孕む。


 確かに、彼女の言葉だけを考えたらとても失礼なものだからしょうがない。

 国内の人間が言ってもアレな内容だものね、一国の将軍格に対して『お前は死ぬ運命だった、お前が生きているから世界が歪んでいる』だなんて!


 それこそ証拠があるような話ではないし、予言の神子ってのがウーヌでどれほどの価値を見出されているのかはわからないけれどそれはあくまでウーヌの中での話であって、オーベルージュに適用されるわけではないのだから。


「……あんたたち、揉め事ならよしとくれ。ただでさえ天候が悪くて気が滅入っているんだから」


「女将さん」


 割って入ってきたその声に、私は思わずホッとした。

 私たち全員を注意するようで、女将さんの注意の目はアエスさんに向いている。


 まあ喧嘩(?)を吹っかけてきたのは彼女なので、当然と言えば当然かもしれない。

 なんといってもアドルフさんと私は宿泊客だしね!

 女将さんにとって大事なお客様だもんね!!


 そんな女将さんの登場に、アエスさんがまた無表情になったなと思うとすぐに笑みを浮かべるのが見えた。

 その笑みだけみれば、とても可愛らしいのに嘘くさいからなんとも不思議な人だ。

 

「ごめんなさぁ~い、ちょっぴり調子に乗っちゃったア! アタシったらそういうトコがだめって言われてるんだけどぉ……気をつけまアす」


 そんなことを言ったかと思うとアエスさんは踵を返して去って行くのを見て、私はやっぱり彼女とは相容れない何かを感じる。


「ありがとう女将さん」


「いいんだよ。本当に困ったもんだねえ。――ところであんたたち、あんな風に言われるんだったら離婚しちゃったらどうだい」


「え?」


「それじゃあ食べ終わったら食器はいつもみたいに持ってきてくれたらそれでいいから。いつもごめんねえ」


 ごく、自然に。

 女将さんは普段と変わった様子もなく、去って行く。


 それを見送って私はアドルフさんと顔を見合わせた。


「……え?」


 いや、おかしいな?

 自然に見えるからこそ余計に今のおかしかったよね!?

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