第29話 極北支部の用心棒 後編(2)
「っぶねー!」
しかしここで攻撃を避けた事で今度は逆にシドウの方に隙が生じた。
このチャンスをオレは見逃さなかった。
「高速螺旋神速!」
オレは超高速でシドウに近づきつつうまく死角に回り込む。
シドウは達人だからこのオレの動きにもすぐに気付くだろう。
でも、それが気付かれても対応出来ない動きなら?
そしてここでこの流れから撃ち込む!
回避不能の大いなる風の牙!
「龍爪旋風撃!」
この技は拳に龍の意識を宿らせ強力な風の剣を発生させる!
今までまともに成功した事はなかったけど今なら出来る気がしていた。
打撃から発生した何本もの風の剣が死角からシドウを襲う!
シドウはそれに気付きとっさに刀でその風を防ごうとするが間に合わず吹き飛ばされていく。
ドカァ!
決着はついた。
戦いの中で成長したオレに軍配が上がった。
ドサッ!
吹き飛ばされたシドウが壁に叩きつけられ沈んでいく。
あの技をまともに食らったら身体が原型を留めていられるはずがない。
きっととっさに技を防ぎ力を分散させたんだ。
そこは流石達人と言ったところだろう。
「シドウ!」
倒れたシドウにオレは駆け寄って行く。
オレはさすがにやり過ぎたかなぁと思っていた。
彼は悪夢帝の仲間でもないのに…。
でもここまでしないと達人であるシドウに勝つ事なんて無理だっただろう。
「見事だ…完敗だよ」
シドウは倒されたオレに向けて賛辞を送ってくれた。
流石達人、実力を素直に認める潔さがある。
このシドウの武人らしい言葉にオレは感動していた。
「ごめん…ちょっとやり過ぎたかも…」
「何を言う…本気の技の応酬こそ礼儀と言うもの…むしろ本気でなかったらそっちの方が無礼に当たる」
うぅ~ん、シドウさんかーっこ良い!
そこに痺れる憧れるぜっ!オレもこの態度を見習わなくちゃ!
戦いの決着がついた事でオレ達の所にレイが駆け寄って来た。
「ちょっと、二人共大丈夫?」
戦いに決着がついて二人共大丈夫って…(汗)。
その時、レイがオレの変化に気付いた。
「ちょっと!何か光ってるよ!」
光る?オレは改めて自分の身体を眺めてみた。
確かに光ってる…ポケットの辺りから…。
オレはすぐに気づいて父から託された本を取り出した。
「おお…」
光っていたのはやっぱりこの本だった。
オレがあの戦いの中で目覚めたから封印が解けた…のかな?
「ねぇ、開いて見せてよ!」
目を輝かせながらレイが急かす。




