第27話 立ち塞がる壁(4)
「大丈夫かい?」
にーちゃんがとぼけた顔をしてオレを見下ろしている。
こいつ!何て白々しい!
「ト、トイレ…」
オレは絞りとるような声で何とかつぶやく。
敵の策略だったとしたら簡単には教えてくれないんだろうけど…。
「トイレならこの店の裏だよ、一人で行けるかい?」
「え?」
兄ちゃんは意外とあっさり教えてくれた。
あれ?
オレは兄ちゃんの説明通りに店の裏のトイレに向かった。
歩く度に爆発しそうなのを抑えるのが大変だった。
「さて、お嬢さん…」
兄ちゃんの興味の対象がレイに移る。
レイ、大丈夫かな?
オレはこの時それどころじゃなかったからその後の対応は自動的にレイに一任する事に…。
う…心苦しいけど仕方ない…。
「ナンパですか?」
とぼけた顔でレイが切り返す。
レイ、ちゃんと分かってるのかな?
「ナンパと言うかヘッドハンティングだよ…君はこのままアイツと行くつもりかい?」
「は?意味がちょっと分かりませんが」
「つまり…悪夢帝側に」
「お断りします!」
兄ちゃんが言い終わる前にレイが速攻でその誘いを却下する。
その態度に兄ちゃんもようやく本性を表した。
「ならここから出す訳には行かねーなぁ…」
「あ、私、そう言うの得意なんで」
その頃オレは別の敵と戦っていた。
この戦いは長期戦になりそうだぜ…。
「うおおおおー…」
何度目の水を流しただろう。
何mトイレットロールを犠牲にしただろう。
長い時間を掛けてようやくこの戦いにも終わりが見えて来た。
ジャアーッ!
ふぅ…。
長い長い戦いはついに終止符を打った。
戦いはギリギリでオレの勝利だった。
今回は本当にマジでヤバかったぜ。
あの兄ちゃん、焼きそばに一体何を混ぜたんだ…。
しかし夢の中でまで食あたりなんて聞いた事ないよ…(遠い目)。
オレが店内に戻って来ると兄ちゃんはその場で伸びていた。
ああ…ご愁傷様。
「ナンパされたから丁寧に断ったよ」
レイは笑顔でそう言ったけどそれ絶対嘘だよね。
オレ達が店を出るといつの間にか敵さんが勢揃いしていた。
こう言う展開、何か久しぶりな気がする。
うんうん、腕が鳴るなぁ。
「よくも極北支部特別諜報部隊長ルドラ隊長を!絶対に許さん!」
へぇ、あのにーちゃんはルドラって言うのか。
ま、もう二度と話す事はないだろうけど。
「一斉に行くぞ!それーッ!」
オレ達は襲ってくる敵を千切っては投げ千切っては投げ…。
あっと言う間に屍の山が出来上がった。
「あんまり手応えがなかった…」
「ね!」
数々の修羅場をくぐり抜けたオレ達に下っ端だけで対処しようってのがそもそもの間違いなんだよ。
敵さんもしっかりその事を把握して欲しいなぁ。
楽な方が嬉しいっちゃ嬉しいけどこうも手応えがないと物足りない…。




