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第23話 操られた父(2)

 折角父さんが救った小人を父さん本人が苦しめる事になってはいけない…これもアサウェルの心遣いだろうな。


「ここならいいか?」


 父さんが指定したのは洞窟を出てすぐの何もない空き地だった。

 ここなら多分どこにも迷惑はかからないだろう。


「ええ…問題ありません」


 さっきまですごい気迫だったアサウェルがいつの間にか普段通りの口調に戻っていた。

 しかしその心の中には深い悲しみと淋しさと父さんを洗脳した悪夢帝への怒りを宿している…ようにオレには見えた。


「じゃあ早速行くぜぇ!覚悟しなっ!」


 父さんはそう言うとオレの目にも止まらない早さで攻撃を仕掛けてくる!

 それをアサウェルが同じ早さで受け止める!

 人形と人間、体格差からも不利なはずなのに二人は全くの互角のように動いている。

 これが極めた者同士の戦いなのか…っ!


「やるじゃねぇーか!」


「あなたも…衰えていませんね」


 父さんが使っている技は間違いない…狼牙虚空拳…。

 同じ技を使っているのに精度や威力が桁違いだ…何このレベルの差!

 本当にオレはいつかこの領域まで技を極められるだろうか…?

 達人二人の戦いを見ながらオレはただ自分の将来について不安が増すばかりだった。


「ねぇ…私達どうすればいいと思う?」


 珍しく気弱なレイがオレに尋ねる。


「そんな事言ったってオレにもどうしていいやら…ただ…」


「ただ?」


「アサウェルがピンチになったら彼を助けるよ…どれだけ出来るか分からないけど」


「そうね…」


 そんな訳でオレ達は二人の戦いに何も出来ずただ見守っていた。

 何かしようにも結局それは二人の戦いの邪魔になるだけだって分かっていたから。


 息の合った二人の戦いはずっと続くように見えた。

 それは見ようによっては美しい演舞のようだった。

 父さんが攻めればアサウェルが受け、アサウェルが攻めれば父さんが受けていた。

 それは寸分の狂いもない精密機械のようなやりとりだった。


(今後の参考にしようと思ったけど凄すぎて参考にもならない…)


 オレは二人の戦いをポカーンとした顔で眺めていた。

 それをレイが少し情けないと思って見ていただなんてこの時は気付かなかった。


 ガキッ!


 戦っている二人の力が拮抗する!

 その時生まれた衝撃波は辺りに爆風を生み出していた。

 強い砂嵐の中でそれでも二人は笑いながらこの戦いを楽しんでいるようだった。


「このままじゃ埒が明かねーな!」


「そのようですね!」


 その時、オレはアサウェルの気持ちが少し分かった気がしていた。

 洗脳されたとは言え、そこにいるのは間違いなくずっと探していた親友だったんだ。

 きっと会えた事が嬉しくて仕方ないんだ…って。


「仕方ねぇ…したくはないが卑怯な手を使わせてもらうぜっ!」


 父さんはそう言うとオレ達に向かって手をかざす!

 父さんの攻撃対象が変わった!ヤバイ!

 今のオレ達の実力じゃ父さんの攻撃には耐えられない!

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