第16話 破壊された街 前編(3)
「ここにアサウェルがやって来たって敵に知れたらその四天王ってヤツが襲って来たりして」
「?!」
やめて!冗談でもそんな事言うのやめて!
今のオレの実力じゃそんな大物相手に何の役にも立てないから!
相応の実力が身につくまでは出会いたくないから!
「ま、その可能性は高いですね」
ア、アサウェルまでーっ!
怖い怖い!四天王怖い!超怖い!
どうかこれがただの冗談で済みますように…。
ガラッ
その時、どこかで瓦礫のカケラが崩れた音がした。
オレはさっきの会話の事で頭がいっぱいになってその音に気付かなかった。
オレ以外の他の二人はこの音に気付いたのだろうか…?
「ここです」
アサウェルが立ち止まった場所。
そこは確かにそれなりの大きさのかなり立派な建物があった。
周りは瓦礫の山なのにこの場所だけはその破壊から難を逃れていた。
その建物は破壊の後に建てられたにしてはかなりの年季を感じさせてもいた。
「ここは元々研究所だったんです…その建物を彼らは利用していました」
なるほど…この建物が古い理由はそう言う事か…。
外から見た所、やっぱりこの建物にも人気は全く感じないんだけど…。
オレがじっくり観察しているとアサウェルが躊躇なく建物に入っていくのでオレも慌てて後をついて行く。
全く…地元の惨状に気が動転しているのかも知れないけどちょっとは周りの事も見て欲しいよ。
カツ…カツ…カツ…。
静かな建物内の廊下は靴音がよく響く。
オレ達はまるでドラマや映画の登場人物になったみたいだった。
街がこんな惨状の中で不謹慎かも知れないけど何かこの雰囲気、いいな。
「懐かしいです…まるで何も変わっていません」
アサウェルはそう言って思い出を確認するように歩いている。
その言葉でこの場所が彼にとって特別な場所だと言うのが理解出来た。
「ここはあなたにとって特別な場所だったりするの?」
唐突にレイが無遠慮にアサウェルに質問する。
流石レイ!オレが空気を読んで出来なかった質問も平気でぶつけていく!そこに(略)!
「そうです。ここは私の生まれ故郷であり職場でもありました」
「そ、そうなんですか…」
「タダシと出会う前の話ですよ」
「そうだ!今度はアサウェルさんとタダシ様が会った時の話を聞かせてくれませんか!」
「お前なぁ…」
話を強引に自分の好きな方向に捻じ曲げていくレイにオレは呆れてしまった。
この話の展開に流石のアサウェルも苦笑い。うん、気持ちは分かるよ。
「その話はまた今度にしましょう」
ほら、やんわり断った。
アサウェル、その選択位は正しい。
オレ達はもぬけの殻のこの建物を隅から隅まで調べまくった。
しかしめぼしい情報は…見つからなかった。
さすがに移転する時に重要な情報を残して移転する訳はないよね。アホ組織じゃないんだし。




