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第14話 ネットの国 後編

 で、その幹部は後2時間ほどで到着するらしい。

 それまでは大人しく捕まっているつもりなのかな?

 幸いまだ手足を縛られているだけで特に拷問もされていない…このまま体力温存と言う手もあるな。


 時間がゆっくりと流れていく。


 オレ一人が捕まったのならオレの単独の考えで行動したんでいいけど

 今回はアサウェルと一緒に捕まっている。

 ここはやっぱり経験豊富な先輩の行動に合わせよう。

 こんな怖い場所で下手こいたらそれこそどうなるか分からないし。


 いや、そりゃあ本気出せば大した事ないよ、うん。

 ただアサウェルに何か考えがあるみたいだからそっちを優先しようってね。

 本当、こんな雑魚共だったらオレが本気出せばちょろいちょろい。

 参ったなー。本気出せばこんな奴ら朝飯前なんだけどなー。

 そう考えているとアサウェルから指示が。


「まだ動かないでくださいね…」


「分かってるって…」


 オレ達はただその時を待っていた。

 いつでも動ける準備はしてある。

 無駄に抵抗しなかったのは強く拘束されないためでもあった。

 おかげでこの拘束は本気を出せば簡単に弾け飛ばせる程度のゆるいものだった。


 ガヤガヤガヤ…

 ガヤガヤガヤ…


 しばらく待っていると周りがやたら騒がしくなってきた。

 どうやらその支部長ってヤツがここに着いたらしい。


「来たみたいですね…」


「……」


 ゴクリ…。


 オレはつばを飲み込んだ。

 このエリアに来てから初めての戦いだ…。

 ただ、このパターンだとアサウェルが一人で倒して終わりな気が…。

 それはそれで今後の参考にはなるけど…あ、周りの雑魚退治って仕事があったわ。

 今回は実力差から行ってこのパターンかなぁ。


 ドカドカドカドカ…


 景気のいい足音が近付いてくる。

 もうすぐだ…このエリアのボス的存在がここに来る。


 ガチャッ!


 ドアが開いた!

 ここの事務所のボスとこのエリアのボスが入って来た!


「支部長、今日はいい土産があるんですよ!」


 事務所のボスがいやらしい笑みを浮かべながらオレ達を紹介する。


「ほう?こいつらが…」


 支部長と呼ばれた男がオレ達を見下ろしながらつぶやいた。

 ヤクザな事務所のボスよりは多少紳士的なその男はしかし同じくらいゲスな笑みを浮かべていた。

 やはり下っ端がゲスいとその上司もゲスいものなんだな…。


 さてと、そろそろ行動を移すべき時かな?

 役者は揃った。後はアサウェルの合図待ちだった。

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