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ジンヤの能力

ジンヤ

「……とにかく、それは売るな」


ユズハラ

「嫌や」





即答だった。





ジンヤ

「は?」


ユズハラ

「危ない石ほど高く売れるやろ♪」





ジンヤは数秒黙り込み、 深くため息をついた。





ジンヤ

「……最悪だ」


ユズハラ

「褒め言葉やなぁ♪」





ユズハラ

「……で?」


ジンヤ

「あ?」


ユズハラ

「さっきから“未来が見える”とか、 “ロクな未来じゃねぇ”とか。 なんなんそれ」




ジンヤは面倒くさそうに頭を掻く。




ジンヤ

「そのまんまだよ」


ユズハラ

「は?」


ジンヤ

「俺は少し先の未来が見える」




ユズハラ

「…………」




数秒の沈黙。




ユズハラの目が、 すっと細くなる。




ユズハラ

「なんやその力……!」


ジンヤ

「?」


ユズハラ

「めちゃくちゃ儲かるやん……!」


ジンヤ

「そこ?」





ユズハラは勢いよく身を乗り出す。





ユズハラ

「競売! 相場! 交渉! 全部勝てるやん!」


ジンヤ

「別にそんな使い方してねぇよ」


ユズハラ

「なんで!?」


ジンヤ

「めんどくせぇ」


ユズハラ

「もったいな!?」





ジンヤは呆れたようにサングラスを押し上げる。





ジンヤ

「つーか、 見えた未来全部変えられるわけじゃねぇし」



ユズハラ

「ほーん?」



ジンヤ

「変えねぇ方がいい未来もある」




ユズハラ

「……なんやそれ」




ジンヤ

「そのまんまだよ」




ユズハラには、 いまいち理解できなかった。




未来が見えるなら、 得する方を選べばいい。




損する未来なんて、 避ければいい。




それだけの話だ。




なのにこの男は、 わざわざ危ない未来へ向かっていく。




妙なやつだった。






——その時。




街道の向こうを、 一匹の白猫が駆け抜けた。




子ども

「あっ、まってー!」




小さな男の子が、 猫を追いかけて走っていく。





ユズハラ

「ん?」





ジンヤの目つきが変わる。





白猫はそのまま、 立ち入り禁止の柵をすり抜け

——





ルナヴェイル遺跡の中へ消えた。




子どもも、 迷わずその後を追いかける。




モフリオンも、追いかける。




ユズハラ

「ちょっ、あかん!」


ジンヤ

「……っ」




その瞬間。




ジンヤの視界に、 未来が流れ込む。




崩れる天井。


落下する岩。


赤黒い血。




そして——




瓦礫の下で、 泣き叫ぶ子ども。

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