ポロル登場
ノクシアに導かれ、一行は森の奥へと足を踏み入れる。
やわらかな光が差し込む、静かな場所。
風もほとんどなく、音といえば葉の揺れる気配だけだった。
みちる
「ここ……なんか、空気が違う」
イネリア
「静かだべ……」
ディジル
「ここに妖精なんて、本当にいるのかよ」
そのとき──
葉の一枚が、ふるりと揺れた。
みちる
「……あれ?」
視線を向けると、
花のそばの葉っぱが、ぺらりとめくれる。
そこから、小さな影がぴょこんと顔を出した。
???
「み、見つかったロル……!」
みちる
「わぁ……! あ、あなたが妖精さん……?」
思わず声が弾む。
葉っぱの羽を揺らしながら、
小さな妖精がふわりと浮かび上がる。
ポロル
「うん! ポロルは妖精だロル♪」
胸を張って言い切る。
みちる
「ほんとに妖精だ……!」
目がきらきらと輝く。
ノクシアは一歩前に出る。
ノクシア
「少し、頼みがあってねぇ」
ポロル
「頼みロル?」
ノクシア
「涙を、ひとしずくもらえないかい」
一瞬の沈黙。
ポロルは首をかしげて──
にこっと笑った。
ポロル
「いいロルよ♪」
みちる
「え、いいの!?」
ポロル
「ポロルを泣かせられルならね♪」
ディジル
「……は?」
イネリア
「条件つきだべ……」
ポロル
「簡単ロル! 泣けばいいロル!」
ディジル
「いやそれが難しいんだろ……」
ノクシアは腕を組み、静かに見ている。
ノクシア
「やってみるといいさ」
ディジル
「……ったく」
ポロルに近づく。
ディジル
「おい、お前……」
少し考えてから、
ディジル
「……仲間いないんだろ?」
ポロル
「いるロル!」
即答。
ディジル
「……」
イネリア
「もっと悲しいやつだべ……」
イネリアが前に出る。
イネリア
「ポロル、もしもこの花が全部なくなったら……」
ポロル
「なくならないロル!」
イネリア
「だべよね……」
フワンも静かに口を開く。
フワン
「……あなたの大切なものが、突然失われたとしたら」
ポロル
「失われないロル!」
フワン
「……強いですね」
ディジル
「無敵かよ……」
みちるは少し考えてから、そっと言う。
みちる
「……寂しくなったこと、ないの?」
ポロルはきょとんとする。
ポロル
「……?」
みちる
「ひとりで、誰もいなくて……」
ポロル
「ポロルはひとりじゃないロル!」
にこっと笑う。
ポロル
「ここにいるロル♪」
みちる
「……そっか」
ディジル
「ダメだなこれ」
イネリア
「全然泣かないだべ……」
そのとき──
ガサッ、と茂みが揺れる。
???
「おーい!」
ディジル
「……あれ? この声……」
モフリオン
「もふ?」
ひょいっと顔を出す。
コッチャン
「みんな、何してるんだぱーーーん☆」
イネリア
「コッチャンだべ! ……じつは、妖精を泣かせようとしてるんだべ!」
コッチャン
「え!?!?」
ポロル
「ポロルを泣かせられたら、涙あげるロル♪」
コッチャンは一瞬固まり、
そして──
ぐっと拳を握る。
コッチャン
「……なるほどぽん」
渋い決め顔でこたえる。
ディジル
「いやお前もやる気かよ」
コッチャンは首を横に振る。
コッチャン
「違うぴん」
コッチャン
「俺ぴっぴ、だれかを泣かせるなんて、いやだぷん☆」
ポロル
「……?」
コッチャン
「笑わせるんだぱーーーん☆!!」
ノクシアの目が、わずかに細まる。
ディジル
「は?」
イネリア
「え?」
アマリュウ
「……ほう」
コッチャンは一歩前に出る。
くるりと回って、ポロルの前に立つ。
コッチャン
「見てろぴん……」
ポロル
「な、なにするロル……?」
森の空気が、ほんの少し変わる。
みちるは思わず息をのんだ。
コッチャン
「いくぞぷん」




